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ショシャ舞い・・・
シットギ塗りが終わるとショシャ舞いになります。神社神前での舞は装束が普通の着物でしたが、ここではカラフルな衣装になりました。舞の流れを追ってみました。
ショシャ舞 1 ショシャ舞 2 ショシャ舞 3
ショシャ舞 4 ショシャ舞 5 ショシャ舞 6


権現舞・・・黒森神楽の権現様は2頭1対で、雌雄とも言われる。悪魔払いや火伏せを中心とする、権現様の呪力による儀礼の中で権現舞が舞われる。

錫杖と扇を持った舞手が、二人一組で激しい動きと歯打ちの後、拍子が変わって舞手が幕をかぶり下から上に歯打ちして、二頭の権現様が絡み合う。(※以前に頂いた資料から)

広場には二組の権現舞だけでなく、もう一組の舞がある。気をつけてよく見ると、道化役の方が獅子頭の代わりにふたの付いた桶をかざして舞っている。しかも、幕はかぶっておらず桶に付いた青いひもを引いている。その先はしっかりと後ろにいる方が握っている。

先にも紹介しましたが、道化役の演じる桶権現舞(勝手に名付けますが)は桶の底が頭になり、ふたの部分が下あごになります。ほかの権現様が歯打ちをするときは、ふたを下から上にぶつけ「カタカタ」と鳴らします。動作をよく見ていると、本物の権現舞を見ながら真似る動作なのですが、これがぴったりと決まって見事なのです。

初めて見た珍しさと、あまりにも巧みな所作に見とれていた私です。そんなことから後半の画像は、ひょっとこ面の道化役の方が中心になっていました。

権現舞 1 権現舞 2 権現舞 3
権現舞 4・・・道化役の方がさりげなく隣を見て真似をします。 権現舞 5 権現舞 6
権現舞 7・・・獅子頭を高々に持ち上げてカタカタと歯打ちをしています。 権現舞 8・・・桶のふたを打ち付けて歯打ちの動作をしています。 権現舞 9・・・道化役の方がぴったりと決まっていました。


宿に舞込む最後の儀式です。長老の方が松明の小枝に火を付けて燃やします。その松明を権現様が踏んで火を消し、公民館に入りました。

この儀式は「火伏せ」と言い、お世話になる神楽宿の防火祈願をすることになります。私は知らなかったので、何だろうと思っている内に火が付けられ、そして踏みつけて消されていました。画像が少ないのが気になりました。

火伏せ 1・・・入り口で松明に火がつけられます。
火伏せ 2・・・これから権現様が火を踏みます。 火伏せ 3・・・燃えさしを片付けています。


1月3日に行われた黒森神社神前での新年初めての舞立ち(魂入れ神事)、魂入れをした権現様を携えて麓の山口公民館で行われたシットギ舞込み、初めて接した私にとって楽しくも厳かな気持ちになった一時でした。

その後でしたが、公民館では舞初めが行われました。演目は、打ち鳴らし、松迎え、狂言「花買い」、山の神、恵比寿舞の五演目でした。会場での様子ですが、地域の皆さんがお祝い(御花)をもって権現様を拝んでいます。そしてほとんどの方が額の中央にシットギのオマブリを付けています。付けていない自分は、その場に居るのが恥ずかしくなったのは事実でした。山の神でふるまわれた御神酒が会場に廻ります。皆さんぐいぐいと飲んでいます。私にも廻って来ましたが、車で帰るのでと遠慮したら、隣にいた同年配の女性が代わりに頂くからとぐいぐい飲みました。

しばらくしたら酔いが回ったらしく、神楽衆に気合いと合いの手が入るではないですか・・・。会場全体が和やかで楽しい雰囲気に変わっていきます。以前からこのような催しが地域で行われ、神楽が舞われるのを皆さんが待ちこがれて居ることが感じられます。ここではそれぞれの演目は紹介しませんが、開会行事の中で保存会会長の方が話されてことを紹介してみます。

顔をざっと見渡して、地元の方以外の黒森神楽フアンの方々が沢山お見えのようで、保存会長としてこれほど嬉しいことは御座いません。先ほどは神社本殿におきまして、ご神体が権現様に宮司の導きによりまして迎えました。今年一年、権現様が各地を廻りまして人々の幸せを運ぶために出かけるわけでございます。

今年は北回りで御座いまして、明日から五日間この地域を廻り、それから北の方をやって参ります。皆様方のおかげで、黒森神楽が国の指定を受けました。国の指定にならないときに比べて、巡業がずっと伸びております。今年も沢山のお呼びが来ております。皆さんのおかげで神楽衆も元気でおります。今年も一年皆さんと共に幸せを運んで参りたいと思っています。

これから神楽が始まりますが、どうか声をかけて欲しいと思います。本来神楽というのは酒を呑みながら舞手と見る人が呼吸一つにすることによって、舞手も張り切ってきます。どうか声をかけてください。舞手はますます本気になり奥の技を出してきます。(※会場での挨拶から抜粋)

真冬の江刺からの訪問はきついのですが、私も山口地区の皆さんと黒森神楽の伝統を身体で感じ、本当に有意義な一日でした。改めてお誘いを頂いた旧友のNさん、現地で接した宮古の方々にこの場をお借りして感謝いたします。機会があったら再度訪れてみたいと思います。
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