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      宮古市・黒森神楽シットギ舞込み


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真剣な表情のシットギ塗りの方、笑顔一杯の塗られる方、すごく良い雰囲気です。

宮古市黒森山に鎮座する黒森神社神前で新年初めての舞立ち(魂入れ神事)を行い、魂入れをした権現様を携えて神楽衆は麓にある山口公民館で舞初めを行います。舞初めに先立ち、公民館入り口で舞込みが行われます。舞込みとは、巡業で神楽一行がお世話になる宿に舞込む儀礼のことを言います。

これには二通りの儀礼があり、権現舞のみの「普通舞込み」とシットギ獅子を舞う「シットギ舞込み」がある。シットギ獅子は、権現様に上げるシットギを作った臼を庭に据えて、太刀や杵を持った舞手が臼のまわりで七つ物を舞う。権現様のオマブリ(お守り)として、シットギを見物人の額や鼻筋につけてまわる。

権現様を手にする前にショシャ舞を舞い、権現舞を舞って最後に権現様が松明を踏み消して火伏せとし、宿に権現様を安置する。(※頂いた国重要無形民俗文化財指定記念公演資料から)

舞初めで山口公民館に入る前、公民館玄関では「シットギ舞込み」が行われました。撮影した画像からそのときの様子を紹介してみます。時間的には夕方近くであり、明るいもののかなり遅いシャッター速度になりました。ストロボは使用しませんので、ぶれたりして少々不鮮明な画像もありますがご容赦ください。

※ここに出てくる「シットギ」とは、米の粉を水で練った状態のものを言います。日本語辞典には項目が無く、「南部の
  言葉集」から探すと「すっとぎ」と言う項目に、「米粉を水でこねてかためた生餅」とありました。「し」と「す」の訛りから
  出たものでしょうか・・。「すっとぎ」「シットギ」いずれが先かは不明です。

タイトルに使用した画像は、オマブリになるシットギを観衆の皆さんに塗っている場面です。正面で笑顔を見せている方は、宮古市長であるKさんです。市長さんの額にも、白いシットギがついています。気さくで笑顔が素敵な方でした。



山口公民館入り口 宮古市山口地区にある公民館です。この玄関の入り口に注連縄が張られ、下の広場には注連縄が巻かれた臼が置いてあります。中に何があるのか、撮影でなかったのが残念でした。

笛と太鼓・鉦の軽やかなリズムに合わせて、杵・太刀を持った舞手が臼のまわりを踊りながら舞います。解説には七つ物を舞うとありますが、私にはよく分かりません。

鳴り物の神楽衆 臼のまわりを舞う 1
臼のまわりを舞う 2 臼のまわりを舞う 3・・・刀を持って舞う、この方は神前では笛を吹いていました。
臼のまわりを舞う 4・・・注目されていた道化役のかた、シットギの付いたすりこぎを持っています。

シットギのついたすりこぎを持った道化役の方です。舞手の方々はみな若い人達ですが、ひょっとこ面をつけた方は現役を退いたベテランの方とお見受けしました。

後で舞われる権現舞にも出てきますが、周囲を見ながら真似る仕草に、ベテランならではの雰囲気がたっぷりと感じられます。ついつい見とれてコマ数が多くなりました。

腰に下げているのはふたのついた桶ですが、権現舞の場面では桶が獅子頭に変身します。

臼のまわりを舞う 5 臼のまわりを舞う 6
臼のまわりを舞う 7・・・最後の方で権現様が出ていました。 後半でしたが、権現様が加わり一緒に臼のまわりを回っていました。神社神前で見たときの装束とは違い、カラフルな衣装を身につけて舞っていました。


すりこぎやしゃもじ(へら)に臼の中にあるシットギをつけて、周囲で見ている皆さんにオマブリ(お守り)としてのシットギ塗りが始まります。撮影することに夢中で右往左往していたので、オマブリを塗ってもらう機会を失しました。その時は特に気にしなかったのですが、舞初めの会場ではオマブリを付けていない方が余りなく、「地元以外の人だな・・」の感じがしちょっぴり気になりました。

シットギ塗り 1 シットギ塗り 2・・・しゃもじ(へら)にシットギを塗りこれから観衆の間に入ります。
シットギ塗り 3・・・シットギを塗り笑顔一杯の宮古市長さん。

ひょいとそばを見たら、額の中央にシットギを塗り笑顔一杯の方がおりました。思わず「あっ市長さんだ・・」とつぶやいたら、「Kです」と丁重に挨拶されて恐縮しました。

シットギを手にした舞手の方は、周囲にいる地域の方々にどんどん塗っていきます。五本の指を大きく広げていますので、それぞれの指先にシットギが付いているのでしょうか・・。

シットギ塗り 4・・・真剣な表情の塗る方、そして笑顔一杯の塗られる方、和やかな雰囲気でした。 シットギ塗り 5・・・五本の指を大きく広げています。
シットギ塗り 6・・・子どもの表情が可愛いです。大きくなってもこの時のことは忘れ無いでしょう。

小さい子どもさんとお母さん、額には白いシットギが塗られ、にこにこした笑顔が見えています。この地域で生まれ育った黒森神楽のシットギ舞込みです。山口地区の皆さんが色々な想いを込め、権現様を大切にしている気持ちを感じます。

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