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           ヒメギフ幼虫の蛹化


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私とヒメギフチョウとの出会いは、今から50年ほど前のことになります。学生当時のことになりますが、生物専攻と言うことで、チョウの採集にはまり込んだ時期がありました。担当の教官からヒメギフチョウの卵を採取して欲しいと依頼され、食草であるウスバサイシンの見つけ方、卵の見つけ方を教えられました。卵はきれいな水色で、1ミリほどの大きさです。たいていの場合、数個まとめて産卵されるので採取は簡単でした。

ヒメギフチョウは、春の使者とも言われるアゲハチョウ科の可愛いチョウです。当地では4月の中旬頃、カタクリの花が咲きだします。そのカタクリの花の密を吸うように、ヒメギフチョウが飛び交っています。50年前はかなりの生息数がありましたが、今では限られた場所でしか見ることが出来ません。幼虫を採取した場所は、学生時代から大切にしている秘密の場所でもあります。



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6月の初めでしたが、カタクリの実を採集するために山の斜面を歩いていたときのことでした。ひょいと足元を見たら、ウスバサイシンの大きな葉があり、明らかに虫の食った跡がありました。

そっと葉っぱの裏を見たら、まるまると太った幼虫が居ました。思わず興奮して辺りを見回したら、何と何と8頭ほど採集できました。ほとんど蛹化(サナギになること)寸前の最終令の幼虫です。

私に家には、数年前からウスバサイシンを移植して植えてあります。早速幼虫を捕獲し、家で飼育することにしました。

 

真っ黒で、いかにも毛虫だという姿からは、ミニアゲハチョウとも言える可憐な成虫の姿は連想できません。幼虫の体に触ると、頭から黄色っぽい角状の物を出して、くさい臭いと共に威嚇します。鳥や他の虫達から自分の体を守る方法です。

採集してから一週間ほどで、気がついたらサナギになっていました。このサナギは、このままの状態で来年の春まで越冬し、内部でゆっくりと成虫の体が作られていきます。サナギの拡大画像から、羽根になる部分や胴体(腹部)になる場所がお分かりかと思います。

現在は褐色のサナギになっていますが、来年の春先にうまくいけばサナギから羽化してきれいな成虫に変身します。それまでそっとしておいて、春先のきれいなヒメギフチョウとの出会いを楽しみにしたいと思います。