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       ヒメギフチョウ幼虫蛹化の経過


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今年になって、越冬したヒメギフチョウ蛹からの羽化の様子、また卵から幼虫孵化の様子を撮影してきましたが、幼虫から蛹になる瞬間を去年は見逃していました。私には幼虫が身体に糸を架けて固定してから、どのくらいの時間経過後に蛹化するかのデータがありません。仕方ないので、そろそろだと思う辺りに観察を継続するだけでした。

やっとの事でしたが、二頭の幼虫が糸で身体を固定し蛹化の状態に入った個体を見つけ、待ちかまえていたのですが一晩そのままの状態でした。朝になって見ていたら、動かなかった幼虫が少しずつ動き出しました。頭の方の体節が少し伸びてきた感じがします。体長20.5ミリぐらいでしたが、全然変化がありません。ちょっとの間でしたが外仕事をしてきたら、見事に失敗で二頭とも完全に蛹化していました。

仕方がないので別の個体を探していたら、一頭の糸引き状態の幼虫を見つけました。以下は、その時の記録画像からです。

気がついたら、ヒメギフチョウのシリーズはこれで四作目になります。来春の課題として、カタクリの花に舞遊ぶ可憐なヒメギフチョウの姿と、欲張れば交尾の様子などを撮影できたらなあと思います。


蛹化寸前の幼虫 ウスバサイシンの葉に細い糸で身体を固定し、じっと蛹になる時を待ちます。もっと観察が詳しければ、糸掛けをしてから蛹化するまでの時間が分かるのですが、私にはデータがありませんでした。

背中が割れ幼虫の殻から出始めて、ほぼ完全に殻から出るまでの時間は3分足らずでした。これでは、ちょっと目を離したら間に合いません。偶然の出来事でラッキーでしたが、ファインダーから目を離すことが出来ない速さ(ちょっとオーバーですが)で殻から出てきました。

※幼虫の殻から出てくると説明しましたが、実際は身体の位置が変わらずに、身体を動かして殻を後ろに押しやると
  言う表現がぴったりです。例えがよくないのですが、下着を脱ぐときに足下にためて脱ぐ動作と同じです。ですから
  蛹の後ろ(尾部)には、折りたたまれた抜け殻が見えています。

幼虫にとっても一番無防備な瞬間ですから、3分ほどで身体を別の物に作り替えるのは至難の業なのでしょう。しかしながら、この過程を経なければ蛹にはなれませんので生きていくのは大変なことでもあり、始めて見る私にとっても感動のドラマでもありました。

蛹化過程 1 蛹化過程 2 蛹化過程 3
蛹化過程 4 蛹化過程 5 蛹化過程 6

頭の方から全身に体液を送る様子です。中央の太い血管が脈打っているのが分かります。よく見ていると、身体を回したり伸び縮んだりして動いています。中央の画像は、腹部が異様にふくれていました。

最後の画像は、ほとんど動かなくなっています。頭の方から色が黄色から緑っぽくなり、それに合わせて身体も幼虫の様子から蛹特有の形に変化していきます。

この一連の経過を見ながら、50年前の学生時代を思い出しました。幼虫が成長するにつけて脱皮をし蛹になり、やがて羽化してきれいな成虫になっていきます。これらの変化が、全て脳から分泌されるホルモンの働きによると言うことでした。今ならさしずめ、そのように変化するために組み込まれているDNA(遺伝子)の働きと言うことなのでしょうか。
詳しいところは分かりません・・。

蛹化過程 7 蛹化過程 8 蛹化過程 9

頭部と尾部の様子、全身の様子です。ここまで変化するのに、30分ほどでした。
頭部の様子 尾部の様子 蛹化完了の状態

蛹化4時間後 頭部前方から 変化してから4時間後の様子です。頭部前方から撮影しましたが、ほぼ褐色になりよろいを着たように変化しています。二つの窪みが見えますが目の部分になり、翼は画面では下の部分にあるので見えてはいません。

最後には褐色になり、時間の経過と共に細くそしてより黒褐色に変わっていきます。
蛹化4時間後 横から
6月18日に蛹化しましたが、これから9カ月後に運が良ければ羽化して成虫になります。それまで、自然状態で保存しないと早めの羽化になり、その後の成長に支障を来すことになります。

いかにして自然状態で保存するか、これが私への大きな課題だと受け止めています。来春の可愛いヒメギフチョウとの再会を願いつつ・・。