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            春先の酷道



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1964年(昭和39)四月の初め、雪が融け去り春の訪れが近い頃、国道283号線の釜石から遠野に向かう上郷あたりでの出来事でした。当時の道路は国道と言えども、主要幹線や市街地付近でなくては舗装されていませんでした。山田から北上市に向かって走っていたら(125CCのオートバイです)、道路一杯に車が埋まり通行が出来なくなっていました。

近づいてみたら、なんとなんと大型トラックが道路のぬかるみにはまり動けません。運転手と助手の方が必死になって道路の土を掘り、後輪にチェーンを着け車を動かそうとしますが、トラックの車輪はその場で空回りです。近所の人も見に来ていますが、手伝いたくても手が出せません。トラックの前後にはずらりと待機している車が見られました。

春先の国道に限らず、未舗装の場所には大なり小なりこのような交通の難所がありました。道路がこのようになることを、当時の人達は《道路がうむ》と言いました。うむとは、傷口が化膿して膿が出ると同じ状態の例えです。ほとんどの道路が舗装されている今、《道路がうむ》と言う言葉は聞かれることは無いと思われます。



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荷物を満載したトラックですが、轍(わだち)に車輪が埋まり込み、車体の腹が道路の中央にがっちりと付いていました。

見かねた人達(後続の運転手)が手伝っていますが、ほとんど手の出しようがありません。
道路脇には水たまりがあります。道路と言うよりも、泥田の中のような感じです。

後ろに見える車が傾いていますが、轍(わだち)を避けて道路の良いところを走るためにこうなるのです。後続の運転手の皆さんにとっても、この難所をどう走るかが気になります。
ただ唖然として見ているしかありません。乗用車などですと、みんなで押しながら乗り切れますが、大型トラックでは手で押したところでびくともしません。
動けば動くほど土に埋まります。私はオートバイでしたので、畑の方を走りこの難所は乗り切れました。

埋まってしまったトラックは、大型のトラックが牽引するか、荷物を下ろして軽くしてやらないと脱出は出来ません。
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