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          無人ヘリ・農薬散布


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九月に入り、裏の田んぼの稲が色づき始めています。中旬頃から刈り取りが始まるようです。お盆前の八月初めのことでしたが、裏の田んぼから軽快なエンジン音が聞こえてきました。最初は草刈り機かなと思っていたのですが、音が高いところから聞こえてきます。

何だろうとひょいと見たら、白い機体に赤い線の入った無人ヘリです。「そうか・・、薬剤散布だー」と言うことで、カメラを担いで現場に行ってみました。


軽トラックから降ろされた無人ヘリ 軽トラックの荷台から二人がかりで道路に降ろし、薬剤の補充と燃料のチェックをしています。ヘリの自重が95kgですから、二人でよっこらしょっと荷台への上げ下ろしが出来ます。
無人ヘリの全容

道路に降ろされた無人ヘリ全体の様子で、ヘルメットをかぶっている方がオペレターです。

<機 体>(RMAXベース)
  メインローター径:3,115mm
  テールローター径:545mm
  全 長:3,630mm(ローターを含む)
  全 幅:800mm
  全 高:1,220mm
  自 重:約95kg

※ヤマハのホームページから

回転翼部分の拡大

回転翼部分の拡大です。普通のヘリと違うのは、大きなローターの上にピッチ角度の違う小さなローターがあります。しかもレバーがあり、この角度を自在に変化できることでした。後で分かったのですが、これには意味があり本当にびっくりしました。

左上部に見えるのがラジコンコントローラーです。

<性 能>
  継続飛行可能時間:約1時間
  飛行速度:15〜20km/h
  飛行高度:対地高度 30〜150m

薬剤タンク部分 薬剤タンクには12リッター迄の目盛りが刻まれ、ここでは4リッターまで薬剤が入れられています。両側にタンクがあるので最大8リッターという事になります。

薬剤散布ノズルは片側二カ所、両側で4カ所になります。その範囲はローターの内側に収まっています。



エンジンスタートと離陸になります。エンジンは空冷246CC二サイクルエンジンで、セルボタンで軽快な音で始動します。エンジン始動後、オペレターが安全な場所まで移動しローターが強烈に回転するとふわりと浮上します。

3コマ目の画像で、回転中のローターとその下にある薬剤噴射ノズルが見えています。
エンジンスタートとオペレター ローターが回転し浮上 浮上し田んぼへ移動する無人ヘリ



いよいよ田んぼの上に移動し、薬剤散布が始まります。
薬剤散布 1 ローターから吹き下ろす風で稲穂が揺れています。この範囲に、有効に薬剤がかかる事になります。

実際の防除は、作物から3〜4mの高さからロータのダウンウォッシュ(吹き降ろし風)効果により、葉裏や株元まで農薬がしっかりと付着し、優れた効果を発揮し、少量の薬剤を広範囲に均一散布することが出来ます。

※ヤマハのホームページから

薬剤散布 2

4個のノズルから、霧状に薬剤が出ているのが見えています。

無人ヘリの作業能力は1日30ha以上・・。
1時間あたり6〜10ha、1haを約6分で完了させることが出来ます。

江刺金札米カントリーエレベター前の薬剤散布 家の近くにある、カントリーエレベーター前の圃場への散布です。右端に見えるのは、郷土江刺が誇る「江刺金札米」の表示です。
逆飛行ヘリの様子

近くの田んぼはきれいに圃場整備がなされ、平均区画が30アール(100m×30m)です。無人ヘリは、あれれと言う間に100mを飛行し折り返してきます。

ここで意外なことを発見です。普通のヘリですと大きく方向変換をして戻りますが、この無人ヘリはこのように急角度で前を下向きにしてバックしてきます。

そしてまた前進姿勢になって薬剤散布が始まります。このバックの制御が、大きなローターの上にある小さな逆ピッチのローターの働きのようでした。この機能があれば、どんな狭いところにも有効に散布が出来ることになります。大型ヘリにはこの機能がありませんので、本当に見ていてびっくりしたわけでした。



散布作業が終了すると、道路端に着陸しエンジンが止まります。そして、よっこらしょっと軽トラックに荷台に収まり次の場所に移動します。
散布を終えて道路に着陸 薬剤タンクを外します 軽トラック荷台に乗せて次の場所へ移動する


かなり以前の空中防除は大型のヘリを使い、かなり高いところから薬剤を霧状に散布していました。薬剤散布の前に注意書きが回り、洗濯物や車の収納、外に出ないように、見とれて交通事故等を起こさない様に・・、等々の規制がありました。何しろ上から霧のように撒かれますので、外に置いた車等は真っ白になった覚えがあります。

現場でお聞きしたことですが、このヘリは一機約1,000万円、薬剤は両側のタンクで約30リッター積める。軽トラックに二人で乗せられ、道路がヘリポートに早変わり。作業がてきぱきと進められ、次々に移動していきます。見ている私も楽しくなるくらいでした。

後日JA関係の方からお聞きしたのですが、私の住む地域の胆江農業共済組合では6機(行政区が6地区で各地区一機)保有しているとの事。操縦と薬剤散布はオペレターのリモコン操作によりますが、慣れるのに大変だと言います。熟練したオペレターですと一日あたり60haに散布出来るが、不慣れだったりすると5ha位しか出来ないこともあると言います。また、オペレターの養成にかなりの費用がかかり、資格を取るのに30万円ぐらいかかるのですと話されていました。当然ですが、墜落とまではいかないものの、それなりにリスクもありますよ・・とのことでした。