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             深夜の雷


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一点から放射状に飛び出した稲光、きれいで見とれますが怖いくらいです。
梅雨明けになったのは良いのですが、連日の猛暑に悲鳴を上げている私達の暮らしです。西日本中心のゲリラ豪雨で未曾有の災害、雨が上がったら連日の猛暑による熱中症で倒れる方々の悲惨な報道が耐えません。猛暑とともに毎日発生している雷ですが、その割に被害等の報道があまり聞かれません。

広域な場所へのゲリラ豪雨は洪水や土砂崩れの災害をもたらしますが、雷被害である落雷は局所的でもあり甚大な被害にはならないことにもよります。しかし、落雷を受けた家は火災になったり、電化製品が間違いなく吹っ飛びます。屋外で直接落雷を受けた方はほぼ死亡しますので、雷は昔からあった怖い災害の一つでもありました。地震・雷・火事・親父(これは現在は死語ですが)と称して、昔から言い伝えられている生活の知恵でもあります。

7月24日午後9時過ぎのことですが、日中の天気では予想も出来なかった雷が発生しました。最初はテレビの画面がノイズ混じりになりますが、「あれれ雷かあ・・・」となり東北電力の落雷情報をチェックしました。この時雷雲は秋田県湯沢市付近にあり、情報によるとかなり激しいものでした。いつものコースですと、しばらくすると奥羽山脈を越えて岩手に雷雲がやってきます。

午後10時40分頃でしたが、予想通りもの凄い稲光が見え始めました。かなり遠いので音はそれほどではないので安心です。どうやら雷雲が奥羽山脈を越えて焼石岳尾根部分に移動してきました。雨も降っていないし自分の所から遠いのでカメラを持って裏の田んぼに出てみました。


雷について・・・

雷発生の原理・・・
上空と地面の間、または上空の雷雲内に電位差が生じた場合の放電により起きるとされる。雷を発生させる雲を雷雲と呼ぶ。雲内での放電を雲間放電、雷雲から地面への放電を対地雷と呼ぶ。対地雷には上向きと下向き、正極性と負極性の分類があるから対地雷は結局4種類ある。

雷雲の発生・・・
雷雲地表で大気が暖められることなどにより発生した上昇気流は湿度が高いほど低層から飽和水蒸気量を超えて水滴(雲粒)が発生して雲となり、気流の規模が大きいほど高空にかけて発達する。この水滴は高空に達すると氷結してあられ、氷の結晶となり上昇気流にあおられながら互いに激しくぶつかり合って摩擦されたり砕けたりすることで静電気が生じる。この時、雲の上層には正の電荷が蓄積され下層には負の電荷が蓄積される。

急激な上昇気流により、低層から高空まで形成される雷雲は主に積乱雲などで構成され、熱雷(俗に夏雷)と呼ばれる。同じ積乱雲でも寒冷前線上などに発生する場合、また、温暖前線などで同様の原理が発生した場合の雷は界雷と呼ばれる。上昇気流が台風などによる場合は、渦雷(うずらい)と呼ばれる。なお、前線に向かって湿った空気が流れ込むことにより発生した雷など、熱雷と界雷の両方の特性を併せ持つものは熱界雷と呼ぶ。

稲妻・・・
上層と下層の電位差が拡大し、空気の絶縁の限界値を超えると電子が放出され、放出された電子は空気中にある気体原子と衝突してこれを電離させる。電離によって生じた陽イオンは、電子とは逆に向かって突進し新たな電子を叩き出す。この2次電子が更なる電子雪崩を引き起こし、持続的な放電現象となって下層へ向って稲妻が飛んでいく。

また、下層の負電荷が蓄積されると、今度は地上では正の電荷が静電誘導により誘起される。この両者の間でも、電位差がある一定を超えると放電が起きる。これらの放電は、大気中を走る強い光の束として観測される。これは日本では稲妻と呼ばれ、地上との間の放電を特に落雷と呼ぶ。

1回の放電量は数万〜数十万A、電圧は1〜10億V、電力換算で平均約900GW(100W電球90億個分相当)に及ぶが時間にすると1/1000秒程度でしかない。(※ウイキペディアより)



空中放電 1・・・回りの景色が分かります。 空中放電・・・

道路から西の方(奥羽山脈・焼石岳)にカメラを向け、マニュアル露光で8秒間で撮影しました。いつ光るか分かりませんので、かなり無駄な撮影がありました。

ぴかっと光った瞬間は、周囲の景色が青白く見えます。見慣れた風景でも、稲光の下では凄惨な感じさえします。どの位の距離があるのか不明ですが、雷鳴がそれほどではありません。

ここでは最初の画像を基本として、稲光の様子を見るために徐々に暗い画面にしてあります。良く見ると、細い稲光が一本地面に走っています(落雷です)。
空中放電 2 空中放電 3・・・輝度を下げてみました
空中放電 4・・・右端の放電の枝分かれがきれいです。 露光時間が少々不足していますが、右端で細くなって四方に放電しているのが分かります。黒い雲の上で放電していますが、高さがどの位あるのでしょうか・・。

今回撮影に使用したレンズは、フルサイズ対応24mmの広角レンズですが、全天をカバーするにはこれでも不足のようです。何しろ、どの方角で光るのか見当がつかないからです。
空中放電 5・・・最初にぴかっと光ってから稲妻が走ります。 8秒間の中に収まった稲光です。放電した瞬間、一瞬明るくなりそれから右側に閃光が走ります。

下の白い線は通行中の車のライトです。稲光は空中放電ですので、雷好きの私には見ていて飽きません。

夜空に走る稲光を見ていると、必ずと言うほど思い出すのが学生時代のことです。落雷で火事になったお寺が近所にあり、雷が怖くて誰も気がつきませんでした。

今は亡き父親と一緒になり、自分が半鐘櫓に上り鐘を叩いたことを思い出すからです。あのときも一面に青白かった光景でした。


落雷の様子・・・

午後10時27分・・、遠くの方なのですが空中放電ともに、地表への放電・落雷の火柱が見えています。この落雷は奥羽山脈の焼石岳の尾根部分ですが、距離的には家から30km程になります。尾根部分の標高が1300m程ですから、そこから換算すると放射点は3.3km程の上空になります。

すでに山越えをした落雷ですが、山麓を降り金ヶ崎方面にまで接近してきました。近づくにつれて落雷の火柱が太くなっていくのが分かります。その内にでしたが、一本でなく途中で折れ曲がり枝分かれが始まりました。

気のせいですが、雨もぽつぽつと落ちてきましたが濡れるほどではないので撮影を継続です。
落雷の様子 1・・・奥羽山脈に落ちる。
落雷の様子 2・・・山越えをしてきました。 落雷の様子 3・・・真っ直ぐでなく曲がっています。枝分かれした部分も見えています。
落雷の様子 4・・・途中から枝分かれし細い稲妻が走ります。 午後11時2分頃・・

途中から二つに分岐した火柱です。近くなったせいか途中から分岐する細い稲光が見えてきました。ここまで来るとちょっぴり不安になりました。

このまま進んでくると我が家の真上になります。3年前でしたがライブカメラにちびっ子雷が落雷し、コンピュータや電話回線、家に張り巡らしたLANケーブル、そして、高価なアマチュア無線機を使用不能にしました。被害額うん拾万円でした。
落雷の様子 5・・・見事な二連発、被害がなければいいのですが。 午後11時3分頃・・

雨粒が落ち始め撮影中止の時でしたが、見事な二連発の落雷を記録できました。金ヶ崎の平地のようですから距離は8km以内になります。この時は雷鳴もかなり大きくなり、慌てて家に戻りました。

落雷情報を見たら、近いところでは北上川の側まで来ています。アンテナやライブカメラのケーブルを外し、万が一無線鉄塔(先端部で地上23m程)に落ちても諦めるしかないなと覚悟しました。

しかし幸いなことに、落雷は北上川(5km以内)を越えることなく午後11時10分頃から弱まり、午後11時25分には完全に消滅しました。このまま来たら落雷の可能性はかなり高かったのでほっとしました。

今回は3年前のちびっ子雷ではなく、本当に怖い頑固親父雷です。午後9時頃から落雷情報を見ていて、そのすさまじさに不安がありました。奥羽山脈を越える事で全エネルギーを出し切り、平地に下りたところで消滅したと思います。今までは必ず通過して行っています。

連日天気予報で雷情報が伝えられますが、大気が不安定で集中豪雨と雷情報が出されています。夏空特有の雷とは違い、不安定な気圧配置と寒気のもたらす自然現象には勝てない私達です。