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サナギから出たチョウは、胴体の割にはすごく小さな翅(はね)を二対つけています。丁度天使の翼のように可愛いものです。あちこち探して足場をがっちりと固めると、いよいよ翅を伸ばす段階に入ります。二対の翅の付け根が胸部にありますが、そこから出ている翅脈に体液(血液)を送り込み翅を伸ばしていきます。

折りたたまれてくしゃくしゃになっていたものが、時間の経過と共にどんどん伸びていきます。時折身体全体を震わせたりするのは、まんべんなくい体液を送り込むための動作でしょうか・・。チョウに限らず、身体作りの時は一番無防備の時です。こんな時に外敵に襲われたらなすすべなしです。

足場を求めて歩いているときは胴体が丸々と太っていますが、翅が伸びて行くにつれて胴体がスリムになっていきます。この時の時間経過は、この画像の場合でおよそ50分ぐらいかかっています。参考までに別の個体で、翅の伸びの様子を記録してみました。最初はせいぜい1センチ足らずですが、最後には3センチぐらいまで伸びています。時間は50分ぐらいで、室温は19.5度ありました。
翅を伸ばす 1 翅を伸ばす 2 翅を伸ばす 3
翅を伸ばす 4 翅を伸ばす 5 翅を伸ばす 6
翅を伸ばす 7 翅を伸ばす 8 翅を伸ばす 9


別の個体の翅の伸びが完成した様子です。ほぼ伸びきってからの時間が長くいのですが、気温が低いためか動きが緩慢でした。翌朝でしたが、砂糖とハチミツを溶かした水をしみ込ませたティッシュペーパーを置いてみました。庭にあった植木鉢の花にも乗せてみましたが、やはり動きは緩慢です。
羽化完了の姿 ティッシュに止まるチョウ 植木鉢に止まるチョウ


口吻を伸ばして砂糖水をとっている様子です。このチョウは、羽化後7日目の様子です。60センチ水槽に入れて日当たりにある部屋に置いてあります。羽化したのは9頭(サナギ10個の内)で、完全に翅が開いたのは5頭でした。自然の中ではどのくらいの羽化率でしょうか・・。また、完全に翅が伸びるのはどのくらいになるのでしょうか。かなりの数が不完全だったり、鳥などに食われると思います。

色々な障害を乗り越えて成虫となったチョウは、春の使者としてひらひらと舞いながら子孫を残すための行動に移ると思います。私の所で羽化した9頭は、私だけの自己満足の犠牲になったのかなと反省しています。本来の目的は、羽化の様子を撮影したら自然に放すことを考えていたのですが、予想に反しての遅い春の到来と悪天候のこの頃でもあり、カタクリの花もまだ咲いていません。
口吻を伸ばし砂糖水を吸う 1 口吻を伸ばし砂糖水を吸う 2
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