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          カブトムシ幼虫の蛹化


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腐葉土にほぼ等間隔に作られている蛹室と、その中にいるサナギ達です。黒くて細長いものは、幼虫の時に出した糞です。ここにはオスが一匹しか見えていません。どれなのかお分かりでしょうか・・?。

暑い夏がやってきました。昆虫たちの生活も暑さと共に活気が出てきています。この頃とんと見かけなくなった「ホタル」の話題や、飼育された「カブトムシ」の話題が報道されています。私が子どもの頃は本当に身近にいた昆虫達ですが、今は話題になるのですから「うーんおかしいよ・・」とつぶやきたくなります。

生活の便利さ快適さに反比例し、身近な自然環境の変化による昆虫たちの住みにくさが気になるところです。我が家の周辺では、田んぼ用水のコンクリート水路化による水生昆虫の激減、屋敷周囲の立木の伐採によるカブトムシ等の大型昆虫の住み処消滅等々があげられます。

昨年の秋ですが、八戸市にいる孫の家から衣装ケースで飼育しているカブトムシの幼虫を譲られてきました。飼育用の腐葉土の中には丸々と太った幼虫が数多くいました。家の外でそのまま冬越しをし、時々様子を見ながら観察していました。7月に入り、今まで大量に見えていた幼虫が腐葉土を掘っても見あたりません。もしかしてと思い、腐葉土を少しずつ除けてみて発見です。

「おー、サナギになっている」・・・。私にとっても大量のサナギとの対面は初めてのことです。時間の過ぎるのを忘れて見とれていました。早速カメラを出しての撮影となりました。撮影はリングストロボとペンタックスistDを使用し、ほぼ等倍撮影になります。今までと違い撮影したサイズそのままで切り取りはしていません。



大型の衣装ケースには、色々な段階のカブトムシの幼虫が入っていました。まだ幼虫で変化が始まりつつある個体、今まさにサナギになりつつある個体、完全にサナギになり内部で身体造りをしている個体の三段階に分けてまとめてみました。


まだ幼虫の姿のままですが、以前に見た透き通るような丸々とした幼虫ではありません。

身体の中が白くなってきています。間もなく変化が始まると思われます。以前の幼虫には見られなかった体毛が目立っています。
幼虫 1・・身体の上に見える黒いものは幼虫の時にさした糞です。大きな糞と言うことは、それだか大量に食べることを意味します。 幼虫 2・・頭部付近の拡大。


掘り返していったら頭部だけがでている個体がありました。しかもその頭部は幼虫当時の逞しい丸い部分と牙がはっきり分かります。そっと静かに腐葉土を除けていきます。手を触れたら死にますので、塗装用の小さな刷毛でそっとそっと周囲を除けるのです。

すでに身体が大きく変化し、白っぽい部分でなく茶色っぽくなっています。そして頭の後ろの背中から皮膚が裂けて両側に広がっていきます。裂けると言うことは身体が大きくなっていくことを意味します。時間は計っていませんが、かれこれ一時間以上かかったと思います。

身体が大きくなり元の殻から出る頃、頑丈であった頭部の硬い殻が割れていきます。お面を剥がしているように、その下から新しい顔が見えてきます。生命の誕生とは違いますが、古い身体を分解し新しい身体に作り替えていく過程です。昆虫の成長に見られる完全変態、学生時代の昔に習ったホルモンの働きによる変化ですが、今ならさしずめDNAに刻み込まれた遺伝子の働きと言えます。
蛹化個体 1・・見つけたときの様子、頭がちょこっとのぞいていました。 蛹化個体 2・・頭部の下の背中から身体が出てきます。 蛹化個体 3・・幼虫当時の逞しい口の牙。間もなく仮面が剥がれます。
蛹化個体 4・・頭部の眼にあたる部分にまだ殻が付いています。 蛹化個体 5・・幼虫当時の殻が剥がれています。 蛹化個体 6・・ほぼ真上から見た様子、身体が出来ています。


サナギになったオスの幼虫です。おなじみの角がはっきりと分かります、びっしりと敷き詰めた腐葉土を固め、身体の周囲に丸い穴を造ります。この穴は蛹室(ようしつ)と呼ばれるもので、この中でじっくりと時間をかけて身体造りが進められます。いろいろな角度から撮影してみました。
オスのサナギ 1・・寝ているところを邪魔して・・、さぞかし怒っているでしょう オスのサナギ 2・・ほぼ真上からの様子。
オスのサナギ 3・・翼の部分が分かります。 オスのサナギ 4・・蛹室からよいしょと出てきそうな雰囲気です。
オスのサナギ 5・・腹部から見た全身の様子。脚が三対見えています。 オスのサナギ 6・・頭部上の様子。口の部分が入り組んでいます。前脚をたたんで可愛い限りです。


これはメスのサナギです。オスと違い角の部分がない他は同じですね。
メスのサナギ 1・・まだゆっくりとお休み中です。 メスのサナギ 2・・オスと違い逞しい角がありません。
メスのサナギ 3・・蛹室の中でも大きな糞を出すのでしょうか。 メスのサナギ 4・・頭部から下の腹部が分かります。脚は二対しか見えていませんが・・。
メスのサナギ 5・・ちょっと拡大しすぎました。脚が三対分かります。右端はオスの角です。 メスのサナギ 6・・頭部の上から見た様子、口の部分が複雑です。


仲良く並んでいるオスメスのサナギです。何か会話をして居る様な雰囲気が伝わってきます。

お気に入りの画像です。たまたま掘り返していったら、蛹室が接近しすぎていた個体です。しかもメスのサナギと、その隣で頭の部分だけ出しているオスのサナギです。資料によりますと、サナギの蛹室は決して一緒にはならないと言います。幼虫を飼育するときは、ゆとりがある大きな容器に入れなさいと言う意味がわかります。

じっと見ていると、将来のカップル誕生だなと思わず感激してしまいました。サナギから成虫に羽化するにはかなりの時間がかかると言います。これから毎日様子を見て、羽化の様子を見て撮影しなくてはなりません。またまた楽しみが増えました。カブトムシの卵の孵化と幼虫の様子はこちらからご覧下さい。