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           月下美人開花


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8月上旬のことでしたが、妹の家から花芽が二個着いた月下美人の鉢がやってきました。名前は知ってはいたのですが、実物を見るのは初めてのことでした。ほんの小さな1センチほどの花芽です。一旦鉢を置いたら動かすと芽が落ちるよ・・とのことで、軒下に置いて観察することになりました。お盆が過ぎる頃になり、どんどんと大きくなってきた花芽でした。

8月23日の夕方ですが、「月下美人の花」が咲き出したよーと言われ、初めて目の辺りにする月下美人の花を撮影しました。朝見たときは2個あったつぼみの一つは、夕方見たらどこにも見あたりません。つぼみが開き始めたのが19時半頃、ほぼ開花したのが20時半頃、完全に開花し大きくなったのが22時半頃でした。

それにしても名前しか知らない月下美人です。花の全体を撮影したり、調子に乗って花の内部のマクロ撮影、全体の可憐な様子を記録しました。ページを構成するにあたり、ウイキペディアで調べて見ました。なるほどと思ったり、えー本当・・と感じたことが沢山ありました。

(※以下の説明文章はウイキペディアからの引用です。)

月下美人(げっかびじん)は、メキシコの熱帯雨林地帯を原産地とするサボテン科クジャクサボテン属の常緑多肉植物。日本で多く流通しているクジャクサボテン属には交配種が多いが、これは原産地からそのまま導入された原種である。

花・・・葉状茎の丈が1m〜2mにまで達するとつぼみの形成が見られ、夜に咲き始め、朝に一夜限りで花はしぼみ、雌しべに他個体の花の花粉による受粉が起きていなければ散る。

古くから珍奇栽培植物として一部では熱心な栽培家も少なからずおり、栽培株の開花がマスコミで珍しい現象としてニュースになったりした時代もあるが、高い技術を持つ趣味家でなくとも比較的簡単に栽培できる為、近年のガーデニングの流行で人気がでて、栽培者も広く普及して増えてきた。

一年に一度しか咲かないが、手入れをきちんとすると2度咲く。花を咲かせるだけの栄養素の蓄積や体力回復のゆとりが、成長期に十分あるかどうかの問題である。新月の夜にしか咲かないといわれる。



日本での栽培下では6月〜11月の夜に咲き、手入れがよく株の体力が十分に回復する余力があれば、2カ月から3カ月後にもう一度咲かすことができる。つぼみは初期は垂れ下がっているが、開花直前になると自然に上を向き膨らみ、夕方に芳香を漂わせはじめる。これも、小型のコウモリ類がホバリングをしながらやや下を向き、舌を伸ばして顔を花粉まみれにしながら花の蜜と花粉を舐めとる事への適応と考えられる。
開き初め 1・・・19:27の様子。 つぼみの先端が開き始めました。バックがごちゃごちゃしていたので、タオルを後ろに置いて撮影しました。
開き初め 2・・19:38の様子。 花芽の全体の様子です。上の方に緑色のくびれがありますが、この先は長い茎になります。

それにしても、つぼみがほぼ水平になり花の上下が固定されます。資料を読んで驚いたのは、この月下美人の花に飛んできて花粉をくつける役目をコウモリがすると言うことでした。
開き初め 3・・19:38の様子。 コウモリが飛んできて、空中で羽ばたきながら花に顔を入れて蜜をなめる。この花の強烈な甘いにおいが、暗黒の深夜でもコウモリを誘い込めるというものですから驚きの発見です。

我が家周辺に住むコウモリも飛来するのでしょうか、気になるところです。


20〜25センチの花弁はあくまで白く美しく、辺りに顔を近づけると目に沁みるほどの強さの素晴らしい芳香を漂わせる。この花の開花時間帯、小型哺乳類サイズの小動物の訪花に耐える大きさと強度、闇夜でも目立ち接近を容易にする芳香と闇夜の薄明かりに浮かび上がって見える白い花、また昆虫にはもてあますほどの花粉や蜜の量や質である。原産地の野生状態では、新大陸熱帯地域に特徴的な花蜜・花粉食の小型コウモリ類を誘引し、花粉を運搬させて受粉を行っていることへの適応と考えられている。

ほぼ開花の様子 1・・20:25の様子です。長い茎の先端に花が付いていました。 軒下に置かれた鉢から伸びている茎と花の様子。背景が気になりますがご容赦下さい。

茎・・・茎のほとんどは昆布状の扁平な葉状茎になっており、またしばしば株元から細長い鞭状の茎を伸ばす。葉状茎の縁は波打っており、その凹部のくぼんだ点に産毛状に退化した刺(これが真の葉)を持つ刺座(サボテン科特有の点状にまで短縮した短枝)が位置する。成長点はここと茎頂にあり、これらの箇所から新しい茎(長枝)やつぼみが生じる。
ほぼ開花の様子 2・・20:27の様子、真横から見ると水平になっています。 水平に折れ曲がった花の部分と、鉢から出ている茎の根元部分です。
ほぼ開花の様子 3・・22:27正面から見た様子。 ほぼ完全に開いた様子です。直径が20センチぐらいはあったのでしょうか、測定しなかった事が悔やまれます。
家人からは臭いが強いと言われましたが、私にはあまり感じません。本来ならば一番嫌いな臭いようでした。


私の悪い癖で、どうなっているのかな?とのマクロ撮影ですが、これは撮影しない方が良かったなと思います。あまりにも内部の様子がグロテスクで、月下美人のイメージダウンに繋がると思いました。でも、飛んできたコウモリの目(見えないのですが)になってご覧下さい。

暗黒の中で、確実に子孫を残す月下美人の苛烈な生き様であることを知りました。

やはり月下美人の花は、遠くから花全体を眺めるのが一番だと思います。いかなる絶世の美人とて、接近して拡大撮影されたら困ることもあると思われます。来年は最初から置く場所を考えて、全体の様子を撮影したいものです。
花の中をじっくりと観察すると、雌しべの先端部はイソギンチャクの触手のように拡がり、中央部には穴が開いています。雌しべの奥には黄色の花粉の詰まった葯がびっしりとあります。

同株での受粉はしないので、やがて花はしぼんで枯れます。別の株の花が何個かあり、コウモリが来なくても人工授粉をさせると結実することがあると言います。
マクロ撮影 1・・19:52中を覗いてみました。
マクロ撮影 2・・19:55巨大な雌しべの先端部が不気味ですし、その奥の雄しべも沢山あります。 マクロ撮影 3・・22:28ここにコウモリが来て密を吸うとは知りませんでした。そのためにもガッチリと出来ているのでしょう。