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           庭先のカタクリ開花


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待ちわびた春を求めてカタクリの出芽です。気をつけないと分かりません。
例年よりもカタクリの開花が早そうで、庭の片隅に播種したカタクリにも春がやってきました。採取したカタクリの種を庭のあちこちに播くようになってから十五年以上たちますが、やっと庭先に花が四個咲くようになりました。今までも別の場所で何個か咲き出していたのですが、野ネズミに食われて次の年は無くなります。野ネズミにとっては最高のご馳走ですから仕方がないのですが・・・。

野ネズミに食われる数よりも咲き出す数が多ければそんなことがないのですが、三年ほど前からカタクリの種採取を止めています。理由は簡単な事で、種取りしていてマムシと遭遇したことからでした。枯れ木と思ってつかんでいたら大変なことになっていたからです。

この画像は3月15日頃でしたが、天候の変化が厳しい中で植物たちの体内時計により硬い土を押しのけて松葉のような芽が出てきた様子です。長さは3センチほどありますが、知らないとカタクリの出芽とは気がつきません。

ここでは50ミリのマクロレンズを使い、風のない時に自然光線で撮影したものです。ストロボを使わなかったのは、周囲の様子を表現したかったからで、絞り込みが少々不足で全体にピントが合っていないようです。


春の訪れとは言えまだまだ寒い三月の中旬頃ですが、日当たりの良い場所で硬い土の中から松葉のような芽が出てきました。茶色で3センチぐらいの細い棒状の目です。棒状とは言っても、先に出た芽をよく見ると紙を巻いたような状態になっています。

最初に何カ所かに種を播いたと書きましたが、この場所は竹林の近くの硬い土の場所です。竹林には地下茎が無数に拡がっているので、野ネズミたちも穴を掘りにくいのかなと思います。でも、筍の中だけを食いますので絶対に来ないとは言えませんが・・。

カタクリの出芽 1・・・松葉のような細い芽です。 カタクリの出芽 2・・・拡大してみました。
出芽してしばらくした個体には、巻き込んだ紙を拡げるように葉の形になっているものをみつけることができます。色はまだまだ褐色で緑の葉にはほど遠いようです。 カタクリの出芽 3・・・巻いた紙を開くように葉の形になってきます。
カタクリの出芽 4・・・まだ小さいのですがカタクリ独特の葉の模様が出ています。 周囲を探すと、先に出芽して葉が拡がったものが見つかります。こうなるとカタクリ特有の葉が分かります。先に出芽したものには、は葉がすっかり拡がっているものもあります。しかしいくら大きな葉になっても、一枚のものがほとんどです。

何故か開花する個体には必ず葉が二枚あります。花を咲かせるための栄養分(光合成)、一枚の葉では不足するのかなと思います。

下の画像に花芽(つぼみ)がある個体がありますが、どの部分なのかお分かりでしょうか・・。
カタクリの出芽 5・・・先に出た大きな葉ですが一枚です。 カタクリの出芽 6・・・見えているだけで10個体以上あります、花芽がありますがお分かりでしょうか。


葉っぱだけの芽にしては太いものがありました。つぼみが出るの待って撮影してみました。花のつぼみはカタクリの花の色を見せていますが、二枚の葉になる部分は褐色で緑の葉にはしばらく時間がかかるようです。

これは四つ目の個体で、4月10日に見つけて撮影したものです。この様子は新しい発見でした。
花芽 1・・・まだ茶色ですが日光が当たりやがて緑になっていきます。
花芽 2・・・二枚の葉で大切に保護されているように見えます。 花芽 3・・・拡大です


最初につぼみを付けたカタクリの個体です。天候の変化があり、順調には開花してくれません。でもよく見ると、つぼみの先端が開きかけています。 つぼみと葉の様子 1
つぼみと葉の様子 2・・・下の方が割れかけて咲き出す少し前の様子です。 つぼみ部分の拡大です。花びらの形が分かります。周りをぐるりと移動しいろいろな角度で撮影しました。肉眼では気がつかないのですが、曲がった部分に細いクモの糸が写っていました。(4月10日に撮影)
つぼみと葉の様子 3 つぼみと葉の様子 4・・・拡大してみました。クモの糸が見えています。


開花 1・・・つぼみが割れて花びらが分かるようになりました。 この個体は最初に出芽した個体のもので、これから開花する寸前の状態です。開花の様子を見るためしばらく待っていましたが、ちょっと目を離したすきに咲いていたので残念でした。いつ咲き出すか見ているのは大変です。

下の画像は四つ目の開花の経過です。花びらが上にまくれていきますが、最初はおしべの葯とめしべの柱頭は同じ場所にあります。やがて時間が経つにつれて、めしべの柱頭がどんどん伸びて下におります。その上の両側に黒っぽい雄しべの葯がついています。

開花 2・・・花びらが拡がりますが、めしべとおしべは同じ場所にあります。 開花 3・・・10日ほど経つと五枚の花びらがまくれ上がり、めしべとおしべの位置が違ってきます。
花びらが上の方にくるりと巻き上がり、虫たちの訪れを待ちわびます。カタクリは自家受粉はしないようなので、花のミツを求めて飛来する虫たちが居なければ、そのうちに枯れてしまい結実しません。昨年はたった一輪でしたが、今年は四個の花が咲いていますので結実するかも知れません。

今年は6月頃に山に出て、マムシに気をつけて採種する予定で居ます。こりずに毎年播種すれば、最長でも9年目には一面に花が咲くことになるのですが、これは私の根気との勝負になりそうです。

今年は例年よりもカタクリの開花は早いような気がします。近くにある桜の名所・展勝地の道路脇には、ていねいに管理されたカタクリの群生地があります。昨日現場を通ったら、紫色の花が一面に見えていました。私が小さい頃はカタクリは何処にもある春の花でした。環境変化や道路建設などで、カタクリの生息する場所はどんどん山の奥に遠のいていきます。そして、カタクリの群生地というと人の手が入り管理されている場所がほとんどです。


昨年は西和賀町の安ケ沢カタクリ群生地訪れました。手つかずの自然がまだまだ残っているカタクリ群生地です。昨年訪れることが出来なかったのが秋田県仙北市西木町カタクリ群生地です。規模・密生度は国内随一とありますし、アリが一粒一粒の種子を運んで発芽し、8年の歳月をかけて開花したものと案内文にありました。もちろんかなりの人手で管理されていますが、写真で見る限り見渡す限りのカタクリです。