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          熊野神社・カタクリ


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原野のあちこちにに咲き乱れているカタクリ。

昨年から暖冬だったとは言え、3月に入ってからの気候が冬に逆戻りした感じになり、春の訪れが遅れていた当地方です。4月中旬に入り、やっと本来の季節に戻ったようです。私の観察エリアのカタクリも4月中旬頃から咲き始め、今を盛りと春の日差しを謳歌しています。

私のカタクリ観察エリアは北上市展勝地の山間にあり、広大な面積に点在しながらも人々の目を楽しませてくれています。一番の見所は、展勝地レストハウス向かい側にある斜面の崖です。管理され立ち入り出来ない場所ですが、道路脇のフェンス越しにカタクリの様子が楽しめます。

家の近くに群生地がある事を教えられ、先頃出かけてみました。熊野神社のカタクリは、今まで見てきた生育地とは違い、野原の平坦地に咲いていました。あえてこの場所のカタクリを撮影したのは、南向きの斜面と平坦地に咲いている逞しいカタクリだからです。

今まで観察していたエリアのカタクリは、生育地が山の斜面の北側に多く、まだ木々の葉が芽吹かない木立の中にあります。カタクリの花が咲き実がなることには、木立の間は木の葉で光が遮られ薄暗くなります。しかし、熊野神社周辺のカタクリは、南斜面とその下の平坦地の原野に咲き誇っています。

見ていて背丈が大きく、葉っぱや茎が一回り大きいことに気がつきました。正確に測定し対比したのではありませんが、とにかく逞しいのです。



太陽が頭の上にあり、花の影が広がった葉に当たっている様子が見られます。二コマ目は地面一杯に葉を拡げ、太陽の光をがっちりと吸収しているカタクリです。今まで見てきたカタクリとは違い、たくましさを感じました。
さんさんと日光を浴びるカタクリ、」カメラは地面に置いてあります。花の影が葉に映っています。 逞しいカタクリです。お気に入りなのでトップページの背景にも使いました。


あまり風がなかったので、マクロ撮影で雄しべと雌しべの様子を撮影しました。先の方に伸びているのが雌しべの柱頭で、周りにある黒っぽい部分が雄しべ先端の葯です。これに触ると黒紫色の花粉が付きます。

カタクリの花に来るチョウやハチ等が花粉を柱頭につけますと、6月頃には直径1センチほどの実が付きます。この実を集めてきて乾燥させ、直接地面に蒔くと翌年の春にはほとんど発芽します。6〜7年後には開花するのですが、実際には思うようにはいきません。私の場合は、いかにして野ネズミから球根を守るかが課題ですが・・。
正面からのマクロ撮影。 ほぼ横からのマクロ撮影。 雄しべ、雌しべの部分拡大。


私にとってカタクリの花と言えば、真っ先にヒメギフチョウの可憐な姿が目に浮かびます。以前のページで、何回か紹介したヒメギフチョウと私との関係です。今年の暖冬で、予想外に早く羽化し始めたヒメギフチョウでしたが、やっと暖かくなったので冷蔵庫から出して様子を見ていました。

※早すぎたヒメギフチョウの羽化より
15日になり、何気なく越冬中のヒメギフチョウの保存場所に行ってみてびっくりです。3月中頃から例年より寒い日が続いています。しかし、それまでは暖かい日が続いていたので、サナギの体内時計が進んだと思われます。知らないでいる内に、何匹かのサナギが羽化しそのまま死んでいました。まだほとんどはサナギのままですが、これとて放置しておいては羽化が早まると思われます。慌てて冷蔵庫へ避難しました。


現在の所、完全に羽化を完了し飛び立つ寸前のものが3頭います。明日にでも、いつもの観察エリアに放蝶する予定でいます。その前に元気な様子を撮影したので紹介いたします。

ブナの新芽に留まっているヒメギフチョウ。 翼を開いてホバリングする寸前の姿です。 ホバリングしている姿を腹部の方から撮影。


4月23日午後でしたが、いつもの観察エリアに出かけ3頭のヒメギフチョウを自然に帰してきました。ちょっぴり曇り空で風が冷たいのですが、ガラス水槽の中でじっとしているよりは良いのかも知れません。展勝地の山間部斜面には、昨年よりかなり多いカタクリが生育しきれいに開花していました。

自然環境とは違う状態での卵からの飼育とサナギの越冬でしたが、なんとか自然に放すことが出来て良かったと思う反面、果たして自然状態のヒメギフチョウは羽化しているのだろうかと言う疑問があります。例年通りですと、日当たりの良いところでカタクリの花に来ていますので大丈夫かなと思いました。

残念ですが、飛んでいるヒメギフチョウを見かけませんでした。斜面のやぶの中に放したのですが、知らない人が偶然見かけたらびっくりするだろうな・・、そんなことを想いながら現場を離れました。

あたり一面に咲き乱れているカタクリ。 カタクリの花に乗せてみたところです。 勝手が違うのか、動き出していました。