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location:uchinome.jpトップ>心のオアシス遺跡・史跡アラカルト釜石市・橋野高炉跡見学会>その2

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フイゴ座方向から見た二番高炉跡です。この方が発掘担当者であり、現地の様子を説明をしてくれました。

約2.8m四方、高さ約4.8mmp花崗岩の石組(8段か?)を積み、下には花崗岩の基壇が1段敷かれています。石組みの石は、中央がふくらんだ加工になっています。一番二番とも、フイゴ座が南側、湯出し口が東側に配置されています。

フイゴ座跡・・・
高炉内に空気を送り、温度を上げた。フイゴは高炉一座に二基使用され、ピストンの上下どちらでも送風されるように工夫されていた。
二番高炉跡 1・・・フイゴ座方向から。 二番高炉跡 2・・・湯出し口方向から。

花崗岩の石組みの一部に出っ張りの凸部と、それがはまり込む凹部があります。これは石組みのすれをなくすための仕組みだと言います。

下の画像は、高炉底に残った炉底材と言われる貴重なものです。本来は立ち入り禁止の場所のようですが、何となく上に立つとぶよぶよした感じに沈み込みます。入って駄目だよといいながら、みんなが入るんです。入って何するかといいますと、ここでジャンプするのです。これは重要な遺物でして、炉の一番最後に貯まったものです。

花崗岩石組み凸部 花崗岩石組み凹部
二番高炉跡炉底材 1・・・土の下にかなり埋まっていると言います 二番高炉跡炉底材 2

案内看板から・・・鉄のできるまで 「両鉄鉱山御山内高炉之図」より

・採掘   鉄槌やくさびを使い露天掘りをする。
・運搬   コダス、カマスに入れて運ぶ。
・種砕き  種焼きかまで鉄鉱石を焼いて不純物を除き、大きさを砕いてそろえる。
・投入   木炭と鉄鉱石を高炉の上に運び投入する。
・湯出し  溶けた鉄を砂場に流し出す。
・冷却   固まった鉄を池につけて冷やす。
・計量   重さをはかり、製品とする。


鉄鉱石は、ここから2.6km上の採石場から人間と牛で降ろします。それを砕いて小さくします。大きいのを入れると、煉瓦が壊れるからです。

種とは鉄鉱石のことで、それを積んだところが種積み場、砕いたところを種砕き・焼き場といいます。

焼き場と言うのは熱して焼くからです。種焼き場の下に種焼き釜があります。

種焼き竃で焼き、種焼き場に持ってきて砕くという作業になります。そういった施設がこの場所にあると絵図にあるのですが、本当のところがわかりません。

種積場跡・・・ここに鉄鉱石を積んだと言います。
種砕き用の石臼 1・・・石臼が二個あります。 種砕水車場跡・・・

鉄鉱石を適当な大きさに水車を利用して、石臼で砕いたところ。大きな石臼が2個ありました。
種砕き用の石臼 2・・・後ろの丸い石が石臼の上で回転していました。 後ろの丸い石を水車で廻し、石臼に入れた種を砕いた部分。

種積場跡・・・
種(鉄鉱石)を積んで置いたところ。

種焼場跡・・・
砕きやすくするとともに、硫黄分等をとり除き精錬しやすくするため鉄鉱石を焼いたところ。

種臼場跡・・・
鉄鉱石を適当な大きさに水車を利用して、石臼で砕いたところ。



最後に残ったのが三番高炉になります。一番高炉は漆喰塀、二番高炉は上まで花崗岩、三番高炉は花崗岩です。三番高炉は今までのものと違いまして、四隅に長い棒があります。実はこのタイプの方が形としては古いのです。何故かと言いますと、大橋の方のは全部縦長でこのタイプなのです。上の方は熱が低いので耐火煉瓦にすることがなく赤煉瓦になっています。

坑道は基本的には露天掘りで、釜石ですと大正2・3年あたりまでで、その後穴になります。露天掘りをし石塔にいれて運んできて、その後に砕き高炉に入れます。

炭で3日ぐらい、温度が上がったところで鉄鉱石を徐々に入れます。たたら製鉄では10分に一回ぐらい、そうすると最後には鉄が流れ出します。できた鉄は冷やしてある程度の形にして日払い所で売ることになります。基本的に連続操業の期間は大体30日ぐらい、長いときでも60日ぐらい。一番二番三番が稼働していたときは、30日やってこっちを補修しこの連続で操業し、一年間最高で250日間、25万貫(約1000トン)ぐらいを生産していたことになります。この1000トンの内、何トンかはお金になっています。

三番高炉は1865年以降にやっています。これを改修したおかげで残っているのですが、仮高炉はもうない。フイゴの位置が上でみたのと逆です。湯出しは同じ方向です。改修に先立ってフイゴの位置を変えたようです。フイゴの位置を改修することは、石組みを全部取り払わなければなりません。取り払ったら同じ位置に作ることはないので、場所を移動している可能性が大きいのです。

三番高炉跡 1・・・左側が湯出し口で右側がフイゴ座跡 三番高炉跡 2・・・湯出し口正面。

中を見てみます。作りはほとんど同じです。湯出しとかフイゴの位置は同じですが、外側がすごくきれいで中の面は汚いです。これは作業面が残部内側になるからです。ここには一個だけ唯一の「チキリ」が残っています。
※ちきり・・・石が崩れないように石の左右に蝶型の刻みを入れ、ここにチキリと呼ばれる鉄をはめ込んでいる。

この中はすごい水蒸気が貯まりますので、それを出すための気口(気管)になっています。一番二番には無かったのですが、基本的には上の方にあるからです。第三高炉の場合は下の方からあります。これだけが明治27年の最後まで残った高炉ということになります。
三番高炉跡 3・・・きれいな外壁です。小さい穴は内部の蒸気を逃がすための穴。 三番高炉跡 4・・・蒸気を逃がす穴の拡大、何となく焼けているのが分かります。
三番高炉跡 5・・・内部の様子 三番高炉跡 6・・・きれいに並ぶ外側の石組み

二番高炉跡にもあった炉底材で、巨大な鉄の固まりに見えました。
三番高炉跡炉底材 1・・・鉄の棒のようなものがあります。 三番高炉跡炉底材 2・・・磁石を持っていれば吸い付きます。
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