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     北上川を上る小繰船(おぐり)



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この画像は、祖父の撮影した写真からスキャナーで取り込んだものです。大きさは名刺判ぐらいで、すっかりセピア状に変色していますが貴重な一コマです。明治40年代に写真を始めた祖父は、最初は色々なものを撮影していたようです。これは今の自分も同じであり、身の回りの目につくものを手当たり次第に撮影した覚えがあります。

撮影場所は北上市の珊瑚橋上流で、現在の里分地区の川縁だと思われます。川にかかっているのが当時の木造の珊瑚橋であり、山並みの切れたあたりが展勝地だと思います。対岸は現在の立花地区です。



乗っている船頭さんの身長から換算して、船長は約16m、帆の高さが10m位で5枚あり、大きな舵がついている。一枚の帆幅は1m位で、反物かゴザで作られているのでしょうか・・。はっきりはしませんが、何か荷物が積まれている様です。

画像の原画は、昭和55年北上市で編集発刊された「写真帖・きたかみの今昔」に掲載されています。その記事の解説によると、北上川水運で活躍した「小繰船(おぐり)」ではないかと記されています。この画像は、先ほど訪れた平泉・柳之御所跡にある資料館にもあり驚きました。

北上川水運の歴史を調べてみますと、藩政時代から鉄道が開通するまでは、大量の荷物の輸送は船で行われていました。北上川河口の石巻から黒沢尻(現在の北上市)までは(ひらた)、黒沢尻から盛岡までは底の浅い小繰船(おぐり)で物資の輸送をしていたとあります。鉄道の開設と同時に水運は程なく廃れていきますが、この画像が小繰船だとすると貴重な最後の姿だと思われます。