2009岩手水沢黒石寺蘇民祭に戻る


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柴燈木の上で煙をあびながら気勢を上げる男衆達です。

柴燈木登(ひたきのぼり)・・・

午後十一時半、鐘の合図で行列が庫裏から出てきます。その歩みは大変ゆっくりで、先頭には手木を持った檀家衆や下帯姿の長老が、地面を祓い手木を互いにぶつけ合いながら入ってきます。その後ろには柴、たき付け、ごま殻等を持った方が続きます。薬師堂下の境内に、生松木を井桁に組み上げ点火されます。下帯姿の男衆は点火された柴燈木の上に登り、煙と火の粉をあびながら山内節を歌い気勢を上げます。

柴燈木登(ひたきのぼり)は四つの場面から構成してあります。

◎庫裏から出て通路を清め祓いながら来る様子。

◎檀家衆と世話人が生松木を井桁に組み上げていく様子。

◎点火された柴燈木に登り煙の中で祈願する男衆達。

◎ 燃えている柴燈木を手にし薬師堂までの通路を清め祓う様子。



昨年はすごい取材人と陣取った場所のせいもあり、庫裏から出てくる様子は見ることすら出来ません。今回はそれほど人出も多くなく、待っていた場所も昨年より低かったのでしっかりと見ることが出来ました。

午後十一時半頃、目の前にある鐘楼から「かーん、かーん」と鐘の音が聞こえました。しばらくすると、庫裏の奥の方から「うおー、うおー」と声が上がります。しかし、それらしい姿がなかなか見えてきません。庫裏の方を見ていると、腰を屈めて棒を檀家衆や世話人が地面の上を横に払いながら、「イヨー、イヨー」の掛け声で入って来ます。

これは柴やたき付けを運ぶための通路の祓い清めだと言います。時には向かい合った二人が、あたかも刀を交えるような仕草でかちんかちんとぶつけ合います(タチキリと言う)。静かな動作なのですが、怖いくらいの形相と凄い気合いのこもった一瞬でもあります。

最後は、柴燈木を組み上げる場所でも同じ所作があり清められていきます。

焚き場浄め 1・・・午後11:30、鐘楼から鐘の音が響きます。 焚き場浄め 2・・・手木を使い地面を横にはらいながら進んできます。
焚き場浄め 3・・・この男性の方は去年も見ましたがすごく元気な方でした。 焚き場浄め 4・・・掛け声を上げ手木を振り入ってきます。後ろにはごま殻、豆殻、そしてたき付けの柴を持った方が続きます。
焚き場浄め 5・・・手木を構えた怖いくらいの表情がすごく印象的でした。 焚き場浄め 6・・・黄色鉢巻きの親方衆が手木を打ち合わせています。
焚き場浄め 7・・・柴燈木を組む場所を手木を交叉させて浄めています。 焚き場浄め 8・・・手前の方では松木の移動が始まりました。


薬師堂下の境内に柴燈木を井桁に組む作業が始まります。資料によりますと、事前に寺の山から松の木を切り2mぐらいの長さにし中央から半分に割ってあります。一番下の土台になるところには丸太状の松木が敷かれ、その上に半分に割ったものが次々とバランス良く組まれていきます。組み上げている上半身裸の男達は昨年も同じ方でした。

次々と井桁に組みながら松木の間に柴、たき付け、ごま殻がバランス良く組み込まれます。時には、そこが危ないから交換しろと注意も出ます。上に人が登り動き回るのですから、がっちりと組まれないと崩れて危険です。世話人・檀家親方衆の長年の経験が生かされ、高さ2m程の井桁の木組みが二カ所に積み重ねられます。木組みに要する時間はおよそ30分ほどですが、終了すると火が入れられ煙が出てきます。

井桁組み 1・・・おおよその配置が決められます。 井桁組み 2・・・手前の木組みの丸太を出しています。
井桁組み 3・・・土台になる部分には丸太の松木が置かれます。 井桁組み 4・・・土台の丸太は太くて重いのです。
井桁組み 5・・・土台の丸太に半分に割った松木が平らな方を下に次々に並べられます。 井桁組み 6・・・積み重なるとどんどん高くなっていきます。うまい具合にバランスが取れています。
井桁組み 7・・・ほぼ完成し確認しています。この頃になるt、周囲から「火をつけろー」の声が上がります。 井桁組み 8・・・生の太い松木ですから感単位は燃えません。すごい煙がもくもくと上がります。この方は「じゃっそー」と手お振りながら気勢を上げていました。


二日午前零時を過ぎた頃、煙がもうもうと上がり「登れー」の声があちこちからかかり、男衆が一斉によじ登ります。気のせいですが、昨年よりは燃えつきが遅く煙がすごいことになりました。松の生木ですから凄い煙が出ますが、周囲の人も煙を吸い込みむせるくらいです。また、風向きによって男衆が向く方向が違いますので、身動きできない人混みからの撮影にはかなりの制限があります。

画像処理しながら見ていると、男衆もかなりの煙で参っている方も見受けられます。しかし、この煙と火の粉をあびながら耐え抜くことが家内安全・災厄消除、そして五穀豊饒の祈りへと繋がります。いつも思いますが、撮影する私や観客もがっちりと防寒着を着ていても寒いのです。下帯一つの男衆は言葉では表現できない辛さだと思われますし、中途半端な気合いでは乗り切れない体力の限界への挑戦だと思われます。厳しい姿に感動すると共に、これからの幸せを祈念する気持ちで一杯になります。

角灯や祓い棒を手にして「ジャッソー・ジョヤサ」と気勢を上げる男衆、上を向いて声高らかに「山内節」を歌う男衆、しばし周囲の人は逞しい男性美に見とれながら撮影しました。私は薬師堂までの参道の清め祓いを見るために、次の方に場所を譲り離れました。
柴燈木のぼり 1・・・井桁を組んだ男衆、待ちきれない下帯姿の男衆が登ってきました。 柴燈木のぼり 2・・・手木を出して引き上げてもらっています。
柴燈木のぼり 3・・・すごい煙で大変そうです。 柴燈木のぼり 4
柴燈木のぼり 5・・・中央の男性は煙に参っているようで、目を閉じていました。(失礼・・) 柴燈木のぼり 6・・・迫力ある男衆のアップ画像です。
柴燈木のぼり 7 柴燈木のぼり 8
柴燈木のぼり 9・・・逞しい姿の男衆、煙の中で大変そうでした。 柴燈木のぼり 10
柴燈木のぼり 11・・・煙の凄さの割には燃えている火がまだ見えません。ですが、ここまで来るともろに燻されて大変です。 柴燈木のぼり 12・・・後ろから押されて一人登ってきました。
柴燈木のぼり 13・・・降りる前に角灯を渡して居ました。 柴燈木のぼり 14・・・この方は手を引かれて降りるところでした。2mぐらいあるので、飛び降りるのも大変です。
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