催しアラカルトに戻る


       無人探査機・かいこう7000U


ウチノメ屋敷 レンズの目 自然の表情 暮らしの表情 ウチノメアーカイブス
岩手の鍾乳洞 ほっづぎある記 心のオアシス  

location:uchinome.jpトップ>暮らしの表情>催しアラカルト地球調査研究船・かいれい>無人探査機かいこう7000U

 サイトマップ


「かいこう7000U」は、潜航深度7000mと言う世界トップクラスの無人探査機です。「かいこう7000U」はランチャーとビーグルという二つの機器からなり、有人潜水調査船「しんかい6500」では不可能な深海域での調査や、海底地形が複雑で危険な深海の調査を主な目的としています。

「かいこう7000U」以前の探査機「かいこう」は、マリアナ海溝水深10,911mで底生生物の「カイコウオオソコエビ」の採取や、インド洋で熱水噴出口生物群を発見などしてきました。

「かいこう7000U」は大きく二つの機体からなります。ランチャーはビーグルを深海底まで運んでいき、ビーグルはランチャーから分離して深海を調査します。7,000mものケーブルで繋がったランチャーは水の抵抗で自由に動くことはできませんが、ビーグルはランチャーからのケーブルだけなので、自由に動くことができるのです。この仕組みで、とても高い水圧にある深海で調査を行います。

主要諸元 方式   有索中継方式、遠隔操作自航(ランチャー方式)
  ランチャー         ビーグル
  全長     5.2m    2.8m
  幅       2.6m    2.5m
  高さ      3.2m    2.0m
  空中重量  5.3t     2.9t 
     

(※テキスト文は頂いた資料から、画像はパンフレットからのスキャナーで取り込みました。)

無人探査機「かいこう7000U」がクレーンに吊されているところ。 ランチャーとビーグル部分のイラスト画像。カメラやライトの配置が分かります。


「かいれい」に搭載されている無人探査機「かいこう7000U」です。沢山の見学者があり、ビーグル部分の様子がはっきりしていません。大型の台車に乗せられていました。台車の下にはレールがあり、台車毎傾きながら船尾の方向に移動出来るようになっています。
探査機かいこう7000Uを後ろから見た様子です。 収納されている探査機かいこう7000Uを後ろから見た様子です。

青い部分が台車で、上の大きい部分がランチャー、その下の小さい部分がビーグルになります。
かいこう7000Uと手前のスロープの様子。 「かいこう」が収納されている部分と、台車が移動するレール部分。中央の部分が、奥の方から持ち上がり滑り落ちるとのことでした。
かいこう7000Uを移動して海中に沈めるためのスロープ。 無人探査機を海に降ろす部分には、巨大なリフト(クレーン)とスロープがありました。


操舵室の後ろには、無人探査機「かいこう7000U」を遠隔操作する部屋がありました。ここには「かいこう操作盤」と書かれた沢山のモニターが設置されているパネルがあり、以前に記録した様々な画面が映し出されています。私が興味深く見たのが、インド洋での熱水噴出活動と側に群れている無数のエビ(カイコウオオソコエビ)の姿でした。

この熱水噴出の画面を見て思い出したのが、映画「日本沈没」に出てくる火山活動による海底変化の様子でした。映画では田所博士だったでしょうか・・、興奮した博士が、もっと潜れと操縦士に怒鳴っていた場面を思い出しました。

八戸で見た「ちきゅう」とは違い、海底の様子をカメラを通してリアルタイムで観測できることが最大の特徴です。海洋底の地質ボーリングの結果と深海海底表面の変化を併せることにより、今まで知られていなかった地球の構造や地殻変動、そして地震予知などへの考察に役立つものと思われます。

実際の操作は、ランチャー(本体部分)とビーグル(下の部分)それぞれを動かすために、3人の方の連携で行うとのことでした。この画面には写っていませんが、椅子が3個ありましたから・・。
かいこう操作盤のモニター群、海底の様子が映されていました。 ランチャー・ビーグルの操作用のレバー。ここにはシートが3個ありました。


ビーグル号の前の部分には、無数のライトやカメラが設置されています。単純な疑問ですが、仮に5000mの海底とすると水圧が一平方センチあたりおよそ500kgを超えてしまいます。無数のケーブルやパイプ状のもの、照明用のライト、そしてカメラ類ですが、ものすごい水圧に耐えて動作するのですから驚くほかはありません。

画像からははっきりしませんが、ガラス玉のように丸く厚いガラスが枠の中にあり、その中にカメラや電球が入っています。扇風機のようなものが見えていますが、これはスラスターと言ってスクリューの働きをするものです。このスラスターで自由に方向を変えたりして動きます。
ビーグルの前部 1・・中央に三つのカメラが見えています。 ビーグルの前部 2・・カメラとライト、ライトにはハロゲン球のようなランプが見えています。
ランチャー部分の底、入り組んだケーブルが無数に走っています。 ビーグルの後部 1・・2個のスラスターガ見えています。


ビーグル号にある岩石採取用のマニピュレーターとバスケットです。マニピュレーターにも二種類あり、ツメのような突起でつかむものと、ペンチの先のようにがっちりと挟み込むものがあります。いずれの大きさも大人のこぶし大位あったと思います。

一緒にいた息子(ブラカメ)が、「どのくらい持ち上げられますか」とお聞きしたら、「30kgぐらいです」との返事でした。水中での30kgですから、地上ではそれ以上の重さになりますね・・。

マニピュレーター 1・・カメラの下にあるカゴ、採取した岩石等を入れるバスケット。 マニピュレーター 2・・バスケットとツメ状のマニピュレーター。
マニピュレーター 3・・マニピュレーターの大きさは、大人のこぶし大ぐらいありました。 マニピュレーター 4・・ペンチの先のようなマニピュレーター、これでがっちりと挟んでねじ切るのでしょうか・・。工事現場等で巨大なものを見ます。


海底5000mの場所では、カップヌードルの容器が水圧で全体的に潰されて本当に小さくjなってしまいます。重さは同じですが、カップの発泡スチロールががっちりと硬く小さくなっています。大きさは色々ありましたが、見事に圧縮されています。参考までに10円硬貨にかかる水圧を計算すると、およそ2.2トンになります。これは標準的な軽乗用車3台分位になりますか・・。

この水圧に耐えて動作するのですから、本当に超精密機械だと実感できます。

水圧で潰されたカップヌードルの容器。大きいのが地表でのものです。 手でつかめるほどの大きさと、カップの材質の発泡スチロールがすっかり硬くなっていました。


マニピュレーターで採取した海洋底の岩石です。玄武岩の一種と表示されています。手に取ってみた感じは、普通に手にする地上の岩石とは違い、びっしりと詰まった感じで重い岩石でした。
5000m以上の深海から採取した玄武岩。 マニピュレーターが岩石をつかんでいる様子が分かります。 採取した岩石の切断面、手に持った感じはどっしりと重い。


魚雷(?)のような形に見えますが、エアガンの一種とのことです。

エアガンと呼ばれる音源から弾性波を発し、人工地震波を起こします。海底面や地層の境界に当たってかえってきた反射波を、海面のストリーマケーブルで受波します。そこから得られたデータを解析することで、海底下十数kmまでの地層の様子や断層の入り方など地下の構造がわかります。(※頂いた資料から)
エアガン 1・・海中で音を出し、その反射から海底の様子が分かると言います。 エアガン 2・・巨大な空気鉄砲と言うことになりますか・・。


船尾の開口部の様子です。「かいこう7000U」をこのクレーンを使って海に降ろします。アルファベットのAの字に似ていることから、Aフレームクレーンとも言います。スケール換算から、高さが17m程あるようです。
船尾の様子 1・・Aフレームクレーンの全景。偶然ですが、釜石大観音の姿が見えています。 船尾の様子 2・・クレーンの中央にある、「かいこう」船体を挟んで昇降する部分。 船尾の様子 3・・開口部から海面が見えています。


以前に見学した「地球深部探査船・ちきゅう」、そして今回の「深海調査研究船・かいれい」「無人探査機かいこう7000U」は私にとって貴重な経験でした。中の説明でも触れましたが、「ちきゅう」は海洋底の岩石を掘削しその成分を分析するのが使命ですし、「かいれい」は深海の海底を直接カメラで撮影し様子を知ることにあります。この両方のデータから、日本沿岸の地下構造が分析できますし、地殻変動の解明につながります。

これらのことから、将来起こりうる地震予知や災害対策に大きく寄与すると思われます。地震国日本・火山国日本だからこそ、世界に先駆けてやらなければならない使命があると思います。想像を絶する現場の中で、細心の注意を払い調査研究されるみなさんに感謝する気持ちで一杯です。

最後になりましたが、前回の「ちきゅう」同様に息子(ブラカメ)の見学に親身になって対応してくださった、海洋研究開発機構・経営企画室報道部のKさんに、この場をお借りして心から感謝いたします。
深海調査に向かう「かいよう」です。画像は資料からすスキャナーで取り込みました。
             地球調査研究船・かいれいに戻る →