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       2007田舎館村・田んぼアート



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昨年も訪れて感動した田んぼアートです。今年も気にかけてはいたのですが、まだ早いだろうと思っていた矢先、テレビや新聞で見頃との情報がありました。今年のテーマは、葛飾北斎の「富岳三十六景」『神奈川沖浪裏』・『凱風快晴(赤富士)』とのことでした。

この原画は、浮世絵としてあまりにも有名でよく知られている図柄です。道路をはさんでの構図ですが、見事な様子に訪れた皆さんは満足していました。平日でしたが天気がよいこともあり、見学の団体の皆さんが多くて狭い天守閣は満杯状態です。混雑する中でじっくりと構えての撮影はちょっと困難でしたが、何とか気に入った図柄が撮影できました。日曜日には見学の方が7000人訪れ、建物の外まで行列が出来て大変だったと言います。

田んぼアート取り組みの経緯・・・
  昭和62年:地域産業の活性化、特産品の開発等により、村の活性化を図るため「むらおこし水深協議会」結成。
         平成4年まで「農産物等共進会」を開催、次第に人も物も集まらなくなる。
  平成 5年:集客効果が期待でき、古くからの歴史ある「米」にこだわったイベントとして、昔ながらの手作業を基本
         とした「稲作体験ツアー」を開催。


取り組み内容・・・
  平成 5年:約2,500uの田んぼに、「岩木山」の図柄と「稲文化の村いなかだて」の文字を描く。平成13年まで
         は同様に開催され、村のイベントとして定着。
  平成14年:NHKの企画「千人のちから」に挑戦し面積を15,000uに拡大、図柄は「岩木山と月」を描く。新聞に
         も取り上げられ注目を集めるようになる。
  平成15年:面積を約3,500uに縮小し、「モナリザ」に挑戦。「田んぼアート」と言われるようになったのは、この
         年からだと思われる。
  平成16年:面積を約15,000muに戻して、「棟方志功」の2作品に挑戦。遠近法を取り入れて好評を得た。稲
         刈りまでの4ヵ月間、約3万人が見学に訪れる。
  平成17年:写楽と歌麿の「浮世絵」に挑戦。図柄は非常に細かったが、迫力のある素晴らしい出来映えだった。
         テレビにも多数取り上げられ、約13万人が見学に訪れる。
  平成18年:俵屋宗達の『風神雷神図屏風』に挑戦。今までの「紫稲」、「黄稲」、「つがるロマン」に加え「紅都」、
         「紅染」の赤色の品種も使用。約20万人の観覧者が訪れました。
         (※会場で頂いた資料から)

※今までの詳しい取り組みの経過はこちらから  http://www.vill.inakadate.aomori.jp/



入り口から見た田舎館村役場庁舎です。木に彫った文字がすごく印象的です。 田舎館村役場の入り口と、展望台になる天守閣です。

ここ田舎館は、弥生時代の昔から稲作が行われてきたと言われます。田舎館村では「コメづくり」にこだわり、田植えから収穫までを昔ながらの手作業で行う体験ツアー企画し、むらおこしの事業として平成5年から田んぼアートを実施してきています。
役場の正面玄関、お城作りの庁舎にマッチした入り口です。 ものすごく威厳のある門があり、入り口には「田んぼアート」の案内が書かれてあります。
展望台から見た津軽冨士(岩木山)です。 庁舎4階まではエレベーターがあり、そこから7階展望台まで狭い階段を登ります。展望台の四方に通路があり、眼下には津軽平野の景観が広がっています。

展望台の西側からは、遠く弘前市内とその後ろにそびえる岩木山(1,625m)・・別名津軽冨士・・が見えます。梅雨明け前の真夏日であり、夏空特有のかすみがありすっきりとはしません。


今年の田植えは、5月27日におよそ700名の田植え体験ツアーの皆さんによる手作業で、一株一株毎にていねいに植えられたものです。22mの天守展望台から俯瞰(角度で6°位)したとき、丁度良い図柄になるように遠近感を計算し、植える位置と品種を決めたと言います。庁舎3階(車椅子参観者の方等)からもガラス越しに見ることが出来ますが、高さの関係でかなり間延びした図柄になります。

今年使用した稲の品種は、古代米の黄稲、紫稲、紅都・紅染、青森県の奨励品種「つがるロマン」の四品種と言います。昨年訪れたときもそうでしたが、色の配置と植えられた品種の関係がどうなっているか興味がありました。昨年の記事を参考に記してみます。
  紫稲・・・黒色の部分・・古代から神事用に栽培されていたと推定され、現在では観賞用などに栽培されています。
  黄稲・・・文字と浪、浪のしずく、雲・・・。
  つがるロマン・・・緑色全体・・・青森県産米。優れた食味と品質で、大変おいしいお米です。
  紅都、紅染・・・赤富士の部分・・・種もみが紅くなるといわれている。

図柄は中央の道路によって区切られています。左側は『神奈川沖浪裏』の部分で、右側が『凱風快晴(赤富士)』になります。右側にある『凱風快晴(赤富士)』は、図柄デザインの関係から左右を入れ替えたとのことでした。

圃場は縦143m、横104mあり、中央の道路で半分に区切られています。私の場合、それぞれ横位置と縦位置で撮影してみました。

『神奈川沖浪裏』 1・・切手のデザインにもなるくらいまとまっています。 『神奈川沖浪裏』横位置での画像です。展望台から見下ろす位置は丁度真下になり、遠近感が自然になります。
『神奈川沖浪裏』 2・・私としては、この図柄が気に入っています。 『神奈川沖浪裏』縦位置の画像です。これは少し望遠気味にし、浪の頂上と田んぼの境界近く迄入れました。波頭と富士、そしてこぼれ落ちる浪のしずく、黒色の中の文字・・、自分なりに気に入っています。

もっと紫稲が成長すれば株間が無くなりますが・・。

『凱風快晴(赤富士)』 1・・ほぼ全景です。 圃場右側の『凱風快晴(赤富士)』全景です。展望台からはかなり右端になりますし、すごい待ちの人達に押されて撮影はちょっと大変でした。
『凱風快晴(赤富士)』 2・・雲の黄色がすごくきれいです。 『凱風快晴(赤富士)』を正面に見る角度にしました。背
景がかなり斜めになりますがご容赦下さい。

黄色に見る雲の部分に黄稲が植えられています。緑の中の黄色ですから、すごくきれいに見えています。

展望台から俯瞰した全体の様子です。あまりにも広い範囲なので、使用したレンズではこれが目一杯です。さらにワイドなレンズでも良いのですが、全範囲が写る反面、画像のゆがみが大きくなるので使用しませんでした。この画面に限り、撮影原画のまま(少し細長く)になっています。

説明によると、赤富士に植えられた紅都・紅染の稲穂が出ると赤くなると言います。文字通りに赤富士になるとしたらいつ頃になるのでしょうか・・。どうやらまた来なくてはなりませんね・・・、昨年は9月2日だったと思います。

きれいに再現された葛飾北斎の「富岳三十六景」『神奈川沖浪裏』・『凱風快晴(赤富士)』です。ここから眺める遠望は、遠くに八甲田連峰がくっきりと見え、田んぼアートが引き立っていました。


「圃場に入っても良いのですか・・」とお聞きしたら、すべてを見ていって下さいと言われました。昨年は圃場には入らなかったので、稲の品種毎の色合いを直接見たくてタブーに挑戦しました。富士山は遠くから眺めるもの・・、しかし側で眺めると岩石と瓦礫の山になる。遠目にきれいなものは、近くで見てはがっかりするの例えから、あえてタブーに挑
戦すると表現しました。

最初の4コマは、役場から近いところから見た田んぼの様子です。上の段は右側の『凱風快晴(赤富士)』の部分で、下の段は左側の『神奈川沖浪裏』の部分です。それぞれどこの部分になるのかは、全体画面と対比して判断して下さい。何となく分かるかと思います。

役場の近くから見た圃場 1・・あぜ道をはさんで黒色、黄色と交互に植えられています。 役場の近くから見た圃場 2・・赤富士の頂上を見る角度になりますが、かなり間延びしています。
役場の近くから見た圃場 3・・紫稲はかなり濃い紫で黒くはありません。黄稲は鮮やかな緑でした。 役場の近くから見た圃場 4・・つがるの文字が分かります。


役場庁舎を正面に見る位置からの撮影です。上の段は左側『神奈川沖浪裏』の部分ですが、波頭の先端部分のあぜ道から撮影したものです。この部分の稲の品種は「黄稲」です。紫稲の曲がりからどの部分かがお分かりかと思います。

下の段は右側『凱風快晴(赤富士)』の部分ですが、黒い部分(紫稲か紅都・紅染)の品種は不明です。しかし、黒色の中にあって鮮やかな黄稲が目立ちますし、緑色の「つがるロマン」の中での黄稲もはっきりと区別が出来ます。

それにしても、役場庁舎の天守閣は田舎館村のシンボルです。村おこしになる田んぼアートと見事にマッチし、見学に来る皆さんの心をがっちりと捕らえています。来年の田んぼアートは何がテーマになるの・・・?、そう思うのは私だけではないと思います。

昨年の俵屋宗達『風神雷神図屏風』の様子はこちらから・・・2006ほっづぎある記
100m以上離れたところか見た圃場 1・・波しぶきの影の黒い部分です。道路脇に橋が架かっていますが・・。 100m以上離れたところか見た圃場 2・・波しぶきのかなり上の部分から見たのですが・・。
100m以上離れたところか見た圃場 3・・ここが今に赤い穂が出て変化するのでしょうか。 100m以上離れたところか見た圃場 4・・黒色、緑、鮮やかな緑が入り交じっています。