催しアラカルトに戻る


         釜石埠頭・海王丸寄港



ウチノメ屋敷 レンズの目 自然の表情 暮らしの表情 ウチノメアーカイブス
岩手の鍾乳洞 ほっづぎある記 心のオアシス  

location:uchinome.jpトップ>暮らしの表情>催しアラカルト>釜石埠頭・海王丸寄港

 サイトマップ


8月9日から13日まで、海の貴婦人と呼ばれる帆船「海王丸」が釜石公共埠頭を訪れました。私は9日の入港と接岸の様子、11日のセイルドリルを見たくて二日間釜石まで走りました。釜石港への寄港は10年ぶりのことと言います。10年前の寄港時にも埠頭を訪れましたが、詳しい情報がないままに船首の女神像と帆柱の多い船体を撮影したのみでした。

8月11日、青空をバックに乗船している訓練生97名の一糸乱れぬ共同作業で、36枚全ての帆を拡げる作業が始まりました。この帆を拡げる訓練をセイルドリルと言い、全ての帆が拡がった状態を総帆展帆(そうはんてんぱん)と言います。海王丸の入港と接岸、始めて目の当たりにしたセイルドリルの詳細について順序を追いながら紹介します。

帆船についての知識は皆無ですので、昨年訪れた石巻市サンファン公園に係留されている復元船「サン・ファン・バウティスタ」号で調べたことと、その他ネット資料を参考にしました。

このイベントは、3大基盤整備完成、釜石市制施行70周年記念事業「各種船舶釜石港寄港等、公共埠頭活用イベント」として、独立行政法人航海訓練所の協力により、帆船「海王丸」のセイルドリル及び一般公開を実施し、多くの市民に港を親しんでいただく機会を提供するとともに、港の地域振興に寄与することを目的として行われるものです。
(※釜石市のHPより)


海王丸について・・・(建造 1989.9.12)
総トン数:2,556トン  全長:110.09m  全幅:13.80m  深さ:10.71m  吃水:6.58m

マストの高さ(水面上):約50m  航海速力:6〜7ノット(帆走)、12.95ノット(機走)  定員:199名

海王丸は、独立行政法人航海訓練所に所属する帆船で、一般の方も「研修生」として乗船できる練習船です。日本丸と同型船ですが、プロペラや救命艇が異なっています。練習船では、日本の将来を担う船員を育てるため、日々厳しい訓練を行っています。(※会場で頂いた資料「ようこそ練習船へ」より)



8月9日10時入港との事でしたので、その様子を見るために埠頭に着いたのが9時半頃でした。すでに沖合には、タグボートに引かれた海王丸がそろそろと動いていました。風が無く穏やかな海の様子で、船上には乗務員と訓練生がずらりと並び埠頭側に向かっていました。

帆船の場合、一番先に眼に入るのがすごく高い帆柱と無数のロープ、そして船首にある船首像です。海王丸には「紺青(こんじょう)」と呼ばれる船の守り神で、嵐を鎮める笛を奏でていると言われる女神像がつけられています
入港の様子 1・・タグボートに引かれています。 入港の様子 2
入港の様子 3・・船首部の実習生、女性が見えています。 入港の様子 4・・ブリッジ周辺の様子、乗務員でしょうか服装が違います
入港の様子 5・・救命ボートの下に航海訓練所の幟が見えていました。 船首像・・女神紺青です。笛を奏でている様子が分かります。


二隻のタグボートに押され、静かに埠頭に近づきいよいよ接岸です。最初のロープが投げられ埠頭に固定されると、次々にロープが投げられ固定されていきます。ほぼ完全に係留されたのが、やはり10時頃でした。

ブリッジからは船長さんでしょうか、トランシーバーを手に指示を出している様子が見られました。

10年ぶりに見た動いている海王丸です。青空にくっきりと映える船体の色がきれいでした。撮影するために船首に行ったら、縄ばしごが二本降ろされ錨の上にするすると乗務員が降りてきました。何をするのかなと見ていたら、ローラーのような物で汚れた部分の掃除でした。そう言えば、大船渡港で見た巨大客船「飛鳥U」の時も同じ事を見ました。
接岸の様子 1・・タグボートに押されそろりそろりと接近です。 接岸の様子 2・・最初の係留用のロープがかけられました。
接岸の様子 3・・ブリッジから指示を出す船長(?)でしょうか。 接岸の様子 4・・昇降用のデッキが降ろされました。
接岸の様子 5・・船尾からの様子です 錨の上で清掃作業が始まりました。


船首側にあるフォアマストと5本のヤード(帆桁)です。それぞれの間隔が不揃いです。


フォアマストの説明

接岸時にマストの一番前の様子を撮影しました。全長50m程のマストには、上に帆を丸めたヤード(帆桁)と呼ばれる巨大な横棒が6本ついています。しかもその間隔が均等ではありません。

よく見ると、上から二番目と三番目、四番目と五番目のヤードが接近しています。これは後で紹介する展帆の方法と関係があるのです。

海王丸にはマストが4本あります。船首側から、フォアマスト、メインマスト、ミズンマスト、ジガーマルトと言い、船首に突き出た長い部分をバウスプリットと言います。このそれぞれに、帆布がロープでくくりつけられています。




           総帆展帆の様子

総帆展帆(そうはんてんぱん)とは、帆船にある全ての帆を拡げる作業のことを言います。この作業は全て手作業によるもので、見ている立場の者には壮大で綿密な作業ですが、当事者にとっては気の抜けない真剣勝負の場でもあります。

展帆作業は午後1時に始まり、埠頭会場では作業の解説が放送されていました。メモを参考に記事を書いてみましたが、十分な内容ではありませんし間違い等がありますがご容赦願います。 (※文中の青字は放送内容からのもの)

海王丸は4本のマストがあるバーク型帆船です。18〜19歳の94名の実習生、女性が4名乗船しています。この実習生は、国内にある船員養成機関に所属する皆さんで、岩手の宮古海上技術校の方も18名ほど乗船しています。

マストに登る時の安全策はありません。作業中は安全ロープをつけますが、常に身体の三点支持を心がけて裸足で作業をします。靴を履くと、足の感覚がしっかり捕らえることが出来ません。足は痛いのですが、痛さを感じて五感を養っています。


総帆展帆の順序は、撮影した画像を展帆順に整理し、どのような順番になっているかを調べてみました。
※ハシゴからマストに登る。
※ヤード(帆桁)に移り、帆をくくりつけているロープをほどき全員が降りてくる。
※甲板上で各場所毎にロープを引き、船首部のバウスプリットの三角帆を開く。
※各マストから下から二番目の横帆から上へ順序に順に開く。この場合、帆が下がって開くものと、ヤードが上がり帆
  が開くものとがあります。
※一番下の横帆を開き、ヤード(帆桁)の向きを調整する。その間にマストの間にある縦帆が開き、横帆18枚、縦帆
  18枚の合計36枚が開き完了します。


はしごからマストに登る・・・
40m程の高さまで、海側の階段状の斜めのはしご(縄ばしご)を一斉に登っていきます。途中からは、マストに設置されている垂直のはしごを登ります。

マストのそれぞれにあるヤード(帆桁)から、ヤードに掴まって横に動き帆をほどく作業が始まります。

フォアマストに登る 1・・海側の斜めハシゴを順序に登ります。 フォアマストに登る 2・・途中から垂直のハシゴになります。。
フォアマストに登る 3・・上から二段目・三段目のヤード付近です。 フォアマストに登る 4・・一番上のヤードまで登りました。ここから横の方に移動します。
                      次のページへ進む →