住田町白蓮洞・氷筍観察会に戻る

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白蓮洞の秘密(氷筍と氷柱の魅力と不思議)・・・

◎氷筍のできる場所と条件

白蓮洞は、洞穴内の高い部分と低い部分との差は70mあるので、洞穴内の気温も高低差の関係で温度差はありますが、年間を通して一定しており、平均8℃〜10℃程です。この白蓮洞内の温度は、大洞地区の年間平均気温と同じです。

洞穴は、洞穴内の気温と外の気温に影響されて洞穴内でも、ゆっくりとした風が流れています。白蓮洞内を流れる風は、夏は高い場所にある観光通路出口から暖かい空気が洞穴内に入って、洞穴内の冷たい空気を低い場所にある観光通路入り口から外に押し出しています。冬は、逆の流れとなって洞穴内を風がながれています。

冬、氷点下以下に冷たくなった空気が洞穴の入り口から床にそって流れます。この時、天井や壁面に空いた岩の割れ目から流れ落ちた水滴が、氷点下以下の空気に覆われた床に落ちて凍り、氷筍を作り始めます。氷筍は、冬期に日本に流れ込むシベリア寒気の強弱に影響されて洞穴内に入り込む冷気の範囲や、上から落ちてくる水滴の水量と間隔によって氷筍の出来る範囲と高さに変化があります。

白蓮洞では、入り口から入ってすぐの『入場の門』『城址の散歩道』『寂寛の間』で見ることが出来ます。白蓮洞は例年ですと、12月後半から1月前半にかけて観光通路入り口に氷の幕が出来て通路を塞いでしまい、氷点下以下の空気の動きが止まってしまい多くの氷筍や氷柱が出来る条件にありませんでした。

今年は、通路の真ん中に氷柱だけができ、両側から氷点下以下の空気が洞穴内に流れ込み、高さのある素晴らしい氷筍や氷柱が多数出来ました。


◎なぜ氷は上に伸びるの?

洞穴内で、氷点下以下の空気が長期間にわたって覆われたところに、天井や壁面から一定の間隔で同じ場所に水滴が落ちることによって水滴は凍り、筍のように上に伸びていきます。氷筍の中で白く見える部分は、凍りつく前に次の水滴が落ちてきて水の中に細かい気泡が出来て、そのまま凍り付いたことによって白く見えます。

今年の白蓮洞の氷筍や氷柱は、これまでに見たことのない自然が創った氷の芸術作品が出来ました。氷筍は、年間を通じて季節が感じられない洞穴で唯一、季節を知ることができる自然が創り出した作品です。ごゆっくりと氷筍と冬の白蓮洞を御観賞して下さい。(※観察会で頂いた資料から)

白蓮洞概念図

白蓮洞概念図・・・

滝観洞とは全く異なった様相の鍾乳洞。頭上にも通路がつながっている程、高低差がある立体的な形状が特徴。ライトアップされたリムストーンやフローストーンなど、自然が造り上げた造形美が拡がっています。(※観光資料より)

氷筍観察会は出口から入り入り口を目指しました。事前に説明があったとおり、洞口から中に入ったら暖かい空気でもやーっとなり、カメラのレンズもめがねも一気に曇り結露しました。歩きながら撮影なんて出来そうもありません。頭をごつんごつんと天井にぶつけながら、鉄骨階段をどんどん下ります。

雪解け水でしょうか、かなりの雫が上から落ちてくるので場所によっては水除けのビニールシートが張ってあります。階段や通路を10分ほど歩いたでしょうか、一番広い空間がある「寂寛の間」につきました。小さいのですがあちこちに氷筍が成長していました。

ここから入り口までは100mほどありますが、ほぼ直線通路の左側壁面にそって大小様々の氷筍が見えてきます。それほど高くはないが通路の両側に林立しており、洞内の照明(蛍光灯)の光を受けて輝いています。三脚を持参したのですが、時間的余裕もないし置く場所もありません。


通路脇の氷筍の様子・・・

ここでは、比較的数の少ない並びの氷筍を並べてみました。通路内にあるものや脇にある物等々色々です。背丈は最大のもので1.5mはあったでしょうか、ほとんどのものは1m前後かなと思いました。
通路脇の氷筍 1
通路脇の氷筍 2 通路脇の氷筍 3
通路脇の氷筍 4 通路脇の氷筍 5
氷筍と氷柱の違い 氷筍と氷柱の違い・・・

典型的な違いがある氷筍と氷柱が並んでいました。左側は氷筍で、根元からひょろひょろと上に伸びており、先端部がタコ坊主のように丸いのです。

右側は氷柱であり、根元にいくほど太くなり先端は尖っています。丁度石筍と同じように造られる氷の柱でも、水滴の落ち方とその量によって氷の成長が違ってきます。

長い年月をかけて洞穴内で成長する石筍です。ひょろひょろとした石筍を安家洞で見たことがあります。この時は面白い形の石筍だなあと思いましたが、あたかも、氷筍と同じ造られ方とは・・今にして思います。

林立する氷筍の様子・・・

行き止まりの入り口付近には、比較的背の高い氷筍が林立していました。あまりにもその間隔が狭いので、その間をすり抜けるには危険すぎました。ここからは見るだけで楽しむことになります。

ひょろひょろ成長しているのは氷筍であり、太く不透明のものは氷柱と言えそうです。あえて違いと言えるのは、先端部の形です。

つるりと丸いのは下まで透き通っている氷筍で、尖っているのはすぐ不透明になっている氷柱です。両方が混じっているのもありますので断定は困難ですが・・。
林立する氷筍の様子 1
林立する氷筍の様子 2 林立する氷筍の様子 3
林立する氷筍の様子 4 林立する氷筍の様子 5
林立する氷筍の様子 6・・・狭い場所を通り抜けた男性。 あれれと思ったのは、通られないはずの狭いところを一人の男性が氷筍を跨ぎながら入り口に向かいました。下はつるつるのアイスバーンです。かなり無理な行動です。

それを見ていた一人の中年女性が、私も行きたいとだだをこねていました。ご主人が説得しますが言うことを聞きません。見かねた私も、滑って転んだら捉まる物もないので氷筍をなぎ倒しますよ・・・。危険ですから止めた方が良いですよと説得しました。

本心を言いますと、私だって進んでみたい気持ちがあったので、本気になって止めました。かなり不満そうでしたが、断念したようです。
城址の散道と名付けられた通路と氷筍。 危険な場所への立ち入りは、がっちりと係の方が注意すべきです。事故が生じてからでは対応が出来ません。

この場所に大型の三脚が置いてありました。地元のケーブルテレビの方と報道関係の方とお見受けしました。重いカメラで大変ですね・・と話したら、「仕事ですから」と笑っておられました。

この場所は、入り口から進んだ場所にある「城址の散道」と言う場所になります。通路の両側は切り立った壁面であり、ここにも無数の背の低い氷筍が見えていました。

内部照明での撮影、中まで透き通って見えます。 洞内照明での画像・・・

三脚を使用しませんので、ストロボを使用しないで撮影刷るのはかなり困難です。撮影感度を高くし身体で固定しての撮影です。

ストロボ撮影はきれいに写りますが、表面からの反射で氷筍の内部がはっきりとはしません。画面中央の暗い部分が入り口方向で、そこにある蛍光灯の光で撮影したものです。

下が光っているのは、完全に凍結した通路になっているからです。


洗心の池ライトアップ・・・

せっかく鍾乳洞に入りましたので、周囲をじっくりと撮影しようかと思いましたが、団体行動でしたので断念です。一番最後になりましたが、洗心の池下まで入りリムストーンプールの様子を撮影しました。

常時サイトアップされますと、色光に反応してカビが生長し色が変化します。カビの生長とライトアップ、難しい問題です。

現在、岩泉龍泉洞では内部照明のリニューアルが行われています。完成時には全てLED照明になるようです。
洗心の池ライトアップ 1
洗心の池ライトアップ 2・・・縁のようになって小さい池が造られます。 洗心の池ライトアップ 3・・・岩石の隙間に色々な生成物が見えるのですが・・。
巡り会えた冬眠中のコウモリ。 やっと見つけた冬眠中のコウモリです。手の届く壁面に何匹かぶら下がっています。もっと接近して様子がはっきりするように撮影することも可能でしたが、眠りを覚ましては一大事になるので遠くからのストロボ撮影です。


こんな近場で、見事な氷筍を観察できるとは思っても見なかった今回の観察会でした。センターのKさんも話されていましたが、規模はともかくとして毎年入り口付近には氷筍が造られています。

氷筍の成因は、様々な条件が合致しないと見事な様子には成長しません。願わくば、毎年見学できるようであれば嬉しいのですが・・。内間木洞まではあまりにも遠すぎますので、そんな想いを託して帰ってきました。


私の勝手な想いですが、もしも来年以降に同じ条件で観察できるのなら、あまり暖かくならない寒い時期に一般公開をして欲しいと思います。

なにせ、20日の観察会前には雨が降ったり気温の上昇がありましたので、洞穴内の雫が多すぎました。
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