location:uchinome.jpトップ>岩手の鍾乳洞2007氷渡探検洞氷渡洞・龍の背本洞奥>その2

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シールド・・・
ちょっと見ただけでは単なるつらら石ですが、その根元を見ると周囲のつらら石とは違う様です。私も良くは分からないのですが、石灰岩の隙間(割れ目)に生じた炭酸カルシウムの層(円盤状)の間から水が流れ出し、つらら石状になっているものが多いと言います。

白いつらら石の部分の根元なのかなと思いましたが・・。
シールド 1 シールド 2 シールド 3


カーテン・・・
天井や洞壁から、カーテンのひだのように垂れ下がっている生成物。傾斜のある天井や洞壁から地下水が広がらずに線を描いてに流れるときに形成される。曲がったり波うったりしているものが多い。白と茶色の縞模様をしているものをベーコンと呼ぶこともある。白い所は方解石の純度が高く、茶色いところは不純物(主に鉄酸化物)が混じっている。(※ネット資料から)

私も純白のカーテンは見たことがありません。きらめく星座付近のカーテンが、典型的に押したたまれた状態でした。いかにもアコーディオンドアとでも言えましたから・・。

カーテン 1・・たった一枚ですが、ひだのように広がっていました。 カーテン 2・・すでに造られたカーテンをフローストーンが一部を埋めています。
カーテン 3・・垂れ下がってきている様子が分かります。 カーテン 4・・側で横から見るとこんな様子です。


リムストーンプール・・・
洞内にある水溜まり(プール)内に含まれる炭酸カルシウムが結晶し、畦のようになり水が貯まった様子。フローストーンと同じような生成物であり、多くの洞窟で見られます。この場所も通路脇に生じていましたが、かなり固い物でした。Y先生がライトで照らしていますが、この場所には洞穴内生物のエビが居ました。ちょっと小さいし透き通っているので撮影は出来ません。
リムストープール 1・・小さなエビが居ました。 リムストープール 2 リムストープール 3


さて、ここが今回最後の到達点になる地底湖(別名賽の河原)です。この場所にいると、近くにある滝の水音が聞こえてきます。ものすごい音がしていますが、その様子は見ることが出来ません。流れ落ちる音から判断して、水量がすごいなと思いました。

この場所は水面までかなりの斜面になっていて、泥混じりになっているために不用意に歩くとずるりと滑り転倒します。
足下も周囲の壁も本当に泥だらけで、気をつけないと大変です。今日のために事前踏査されたY先生のお話ですと、
この場所の水位がかなり下がっていると言います。別の立場から考えると、地上に大雨が降れば容易にここの水位が上昇します。いつも観測されているY先生の用意周到なる準備に感心しました。

ここから先は、地底湖(賽の河原)が水没し先へは進めません。私も泥だらけになりながら撮影したのですが、予想に反してきれいには写っていませんでした。それとですが、この場所も湿度が高く直ぐ結露してレンズが曇ります。もっと水量が減る冬期間の探検会に参加するしかないようですね・・。

奥の地底湖 1・・入り口ですが斜面になっていて滑りました。 奥の地底湖 2・・奥まで光が届かずはっきりしません。 奥の地底湖 3・・壁は泥だらけでぬるぬるしています。




           龍の背本洞上層


地底湖(賽の河原)から150m程戻ったところで、Tさんに案内されて龍の背本洞上層部洞穴にに入りました。歩きながら下を見ると、岩石の隙間から下の通路が見えてきます。ここで落下すると下に落ちますよと言われ、慎重に進みました。しかし目の前に開けた光景に、「うーんすごい・・」としばし絶句です。

どの位の長さがあるのかはっきりとはしませんが、ここはさながら氷渡洞の秘密の花園と言えるほど、周辺では見られない素晴らしい生成物が目の前にありました。慎重に慎重に進み、目の前の壁に生じている貴重な生成物を撮影しました。触れば直ぐ壊れそうな小さな宝物でした。ここだけで、来た甲斐があった場所でした・・。


ヘリクタイト・・・
自然の力に逆らい上や横に伸びる鍾乳石です。本来ですと水滴が滴り落ちて造られるはずの物が、あたかもひょろひょろと細いモヤシのように伸びています。資料等を見ると、毛細管現象で意外な方向に水が登り、その場で炭酸カルシウムの結晶が出来るとありました。

このようにして造られたものをヘリクタイトと言い、太さは5ミリ前後で、長さも色々あるようです。今まで見てきた岩手県内の鍾乳洞では、安家洞の奥とここ氷渡洞だけでした。壊れやすいこと等もあり珍しい洞穴生成物と言えます。
ヘリクタイト 1・・水滴の大きさと太さが同じぐらいですね。 ヘリクタイト 2・・ちょっとピンボケですが・・。


洞穴サンゴ(ケイブコーラル)・・・
規模の違いはありますが、ほとんどの鍾乳洞で見ることが出来ます。普通洞壁の岩石や先に生じた鍾乳石の周辺部に、ぽつぽつと小さな結晶状の物が出来ることから始まります。形も色々あり、丸い粒状の物や、海中のサンゴのように樹状に成長しているもの等があります。

この場所の洞穴サンゴは二種類あり、先端部がヘリクタイトのように折れ曲がった物と、岩場に生えた小さなナメコの様な物がありました。成長している様子を見ると、あらゆる方向に伸びていますので一定方向からの空気の動きのないことが分かりました。

触れればぽろりと落ちる本当に可愛い姿です。
洞穴サンゴ 1・・樹状突起部分が面白いと思います。 洞穴サンゴ 2・・一カ所に密生した、まるでナメコ状のものでした。


先ほどの本洞上のリムストーンプールより、はるかに規模が大きく広い場所を占めています。この上層部の洞穴の奥まで広がっていそうです。天井から滴り落ちる水滴がぽちゃんと音がし、そこから同心円状に水紋が広がります。時間があればじっくり眺めていたい場所でもあります。
リムストーンプール 1 リムストーンプール 2・・水滴の波紋がきれいです。 リムストーンプール 3・・壊れそうですが、かなり硬い岩石です。


最初は何か分からなかったのですが、これはフローストーンの一形態だと思われます。色違いを撮影したのですが、下の部分はプール内にあり水に浸かっています。壁面のフローストーンの生成と、下にあるプールの関係が気になりますが、詳しいことは分かりません。

ここは龍の背本洞の上層部ですから、いくら増水してもここまでは水没しないと思いますが・・。
水に浸かるフローストーン 1 水に浸かるフローストーン 2


私にとって二回目の氷渡洞でした。外と内部の気温差はともかく、湿度100%の中での撮影は結露等で大変でした。いくら布でぬぐっても、たちまち水滴が付いて曇ります。カメラもストロボも水浸し状になると、誤動作をしないかと心配になりますが、カメラの防水効果は完璧でした。それと、フィルターの下のレンズは曇りませんでした。

むしろ心配なのはストロボです。発光するたびに高電圧がチャージされますが、もっと湿度が上がり結露が多くなると漏電等で動作しなくなる事も予測されます。もしもの時のために、カメラもストロボもスペアを持てば良いのですが・・なんてことを後で思いました。

今回の氷渡洞水系観察会の内容は、かなり欲張ったものになりました。撮影した画像もかなりの数になりますが、ページの関係で限られた内容でしかお見せできません。私にとって鍾乳洞の魅力はまだまだ失せませんが、同じ鍾乳洞でも何回も入ることにより違った観点から撮影できると思っています。地底の自然の造形美を求めての洞穴入りは、今後もまだまだ続きそうです。

最後になりましたが、過酷な(実感です・・)洞穴入りに際して万全の配慮と準備をされた日本洞穴学研究所のY先生・Tさん、貴重な坪沢穴の画像をお貸しいただいた日本洞穴探検協会東日本支部のOさんに、この場をお借りして感謝いたします。


なお、氷渡洞の細部についてもっと詳しくお知りになりたい方、実際に内部に入り探検したい方を対象に、今年からNPO法人日本洞穴探検協会の企画による「地底探検」ツアーが開催されます。

詳しくはこちらからお入り下さい。地底探検 http://www.j-cave.jp/

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