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      遠野風の丘・スパイラルマグナス風車


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花巻市から釜石市に向かう中央付近に、道の駅「遠野風の丘」があります。開設されたのは1998年6月30日で、ドライブ疲れを癒すための人気のスポットでもあります。この風の丘の名にふさわしいシンボルとでも言える風車が、新しい規格の物に変わりました。今までの風車は片羽根タイプの風車が二基あり、ヒューンヒューンと音を出して回っていました。

2010年1月17日のことでしたが、遠野市風の丘に出かけてきました。ねらいは小正月行事のミズキだんごの撮影でした。その時気がついたのですが、今まで見ていたシンボルとも言うべき風車が見あたりません。たまたまでしたが、案内所に新しい風車完成予想図が貼ってありました。係の男性から色々風車についてお話を聞くことが出来ました。

新しい風車は五枚の羽根で、一つ一つの羽根も回り効率が良いと言います。バッテリーもなく直接インバーターでDCとACを取り出すと言います。3月には完成予定だと言います。風の丘単独の事業なので、数千万円かかりますね・・と話しておられました。この場所は風の丘と言うだけあり、いつ来ても風がありことさら冷たく感じました。

4月10日のことでしたが、新しい規格の風車を見たくなり訪れてきました。連休の頃になると広い駐車場や広場には、色々な花や苗木が出店され賑わうのですがまだ早かったようでした。


駐車場西側に立つ新しい風車です。前は二基ありました。 風の丘西側駐車場端に、新しい規格の風車が見えます。今までは片羽根タイプの風車が二基ありましたが、新しい風車は五枚羽根の様に見えています。

あえて五枚羽根のようにと書いたのは、遠くから見るとそう見えますが実際は羽根ではなく、丸いパイプにらせん状の縁がついた物です。

現場の説明文には、スパイラルマグナス風車と書かれてありました。
風車鉄塔根元にある説明板です。 風車鉄塔の下にある説明板です。次のような説明が書かれてあります。

遠野風の丘 風力発電装置
地球にやさしい自然エネルギー・・・風の丘に設置された風車は、猿が石川に吹き抜ける風を翼いっぱいに受けて自然に優しいエネルギーを生み出します。

この風車の発電量は標準家庭の約9軒分です。風車が発電した電気のすべてが、風の丘の施設の電源として利用されています。

スパイラルマグナス風車仕様・・・風車直径11.5m、発電出力19kw、タワー高さ12.5m。

国道北側から見た風車の様子です。ゆっくり動いています。

真横から見た風車の全体です。風車の直径が11.5m、タワーの高さが12.5mあると言います。ゆっくりと回っている風車です。

この場所の風向きはほとんどが西風です。画面で言うならば右から左の方向へと風が吹きます。風車を見る位置が左側の道の駅建物ですから、ほぼ正面から見ることになります。

風車は正面が東の道の駅方向を向き固定されているように見えました。詳細については分かりません。

風車後ろ方向から見上げた様子、円筒部分にネジが切られているように見えます。

ゆっくりと回転しているスパイラルマグナス風車の拡大です。羽根(翼状)ではなく、円筒パイプにネジが切られた感じに見えていました。

回転方向は正面から見て時計回り、円筒パイプが5本あり、それ自体も風を受けて反時計回りに回転しています。円筒パイプ五本を支える部分をナセルと言い、この中に増速機と発電機等を内蔵しています。

五本の円筒パイプが反時計回りに回転しながら、五本のシリンダー全体が時計回りに回転していました。

新しい名称の風車、聞いたことがなかったのでネットで検索し調べてみました。


「スパイラルマグナス風車」とは、秋田県にある株式会社「MECARO」が開発し実用化された新しい規格の風車です。
以下、ネット資料を読み私なりに理解した内容を記載してみます。勘違いや間違いがあると思われますがご容赦を。


私が風車の下に行き見た感じでは、あまり風のない状態の時でも円筒が反時計回りに回転していました。最初は、あんな小さならせん状の縁で回転するのかと疑問に思っていました。資料を読み調べてなるほどと思ったことは、最初から円筒をモーターで回転させてあると言います。

モーターで円筒が回転すると、らせん状の縁にあたる空気の流れに気圧変化が生じ、円筒を動かす揚力が生じるとありました。五本の円筒に生じた揚力がまとまって一定方向に動き出し、全体が回転する仕組みのようです。詳しい説明は下記の資料からご覧下さい。(※株式会社「MECARO」のサイトより)


スパイラルマグナス・・・
世界初の方式で、通常のプロペラの代わりにらせん状のフィンを付けたスパイラル円柱翼により、風車を回します。スパイラル円柱翼が風の影響を受けると、マグナス効果により風車を回転させようとする力が生まれます。その原理を応用した、高い発電能力と安全性を持った風車です。

スパイラルマグナス風車・・・
スパイラルマグナス風車は、5本の羽根(シリンダー)をモーターで回転させ風を受けることで、ローター(中心部)が回ります。それは、マグナス効果と呼ばれる原理を使ってシリンダー(円柱)が受けた風をさらに増幅させ、揚力(上がる力・回る力)を発生させるメカニズムを使っているからです。シリンダー1本づつは小さな力でも、5本が力を合わせることで重い発電機が入った風車を回す力が発生します。

低速回転と静寂性・・・
一般のプロペラ型風車の1/4程度の低い回転数のため、見る人々に安心感を与える。 騒音レベルは、風の音と区別がつかないほど静か。回転数が遅いので、近年問題となっているバードストライク現象がおこりにくい。

発電能力と安定性・・・
平均風速6mでは、標準家庭約9軒分に相当する年間発電量30Mwhが見込める。 風速に合わせてスパイラル円柱翼を最適制御し、効率よく風を捕える高い発電安定性を持つ。 発電能力は実際のフィールドデータ(秋田県大潟村での実証実験)を基準としているので、風況、風速変動の大きい日本の特性が反映されている。


説明を読んで面白いなと思ったことは、台風等の強風時には円筒のモータ回転を止めます。そうすると、全体を回転させる揚力が生じなくなり、風車としての機能は停止するとありました。秋田県の大潟村に二基目が昨年設置され、遠野風の丘の風車は三基目だと言います。