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          ガラス窓のアマガエル


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ガラス窓に張り付いたアマガエル、一番のお気に入り画像です。

カエルと言えばトノサマガエルやヒキガエルが一般的ですが、家の窓ガラスにへばりついて捕食するアマガエルにはあまり関心をもたなかった私です。先頃のことですが、家の周辺の片付けをしていたら突然の大雨になり慌てて家に入りました。窓ガラス越しに外の様子を見ていたら、目の前でもそもそと動くものがあります。なんと、ガラス窓にへばりついていたアマガエルでした。

アマガエルは家の周辺の草花等にちょこんと乗っかって、エサになる昆虫を捕食するために待機している姿をよく見るのですが、何故か手にとって観察することがありませんでした。書いている私もそうなのですが、一般的にカエルは触れたときの感触がぬるりとして冷たいこと等が嫌われる要因でもあります。

学生時代に実験のためと称して大量のトノサマガエルを捕まえたり、ヒキガエル(通称ガマガエル)を捕まえて飼育したりしたことがあります。面白いなと思ったのは、ヒキガエルの頭部の毒腺や体にある突起を絞ると白い粘液が出てきます。間違って目にはいると失明することがあると知りつつ、毒腺をつぶしては毒液を出して遊びました。ヒキガエルの毒液の成分はブホトキシン(毒成分ブホトキシンは漢薬の成分で、慢性心臓障害に対する強心剤)と言う神経毒です。
しかし、何故か今までアマガエルには触れもしませんでした。あの独特の色合いと感触がなじまなかったこともありますし、一番嫌だったのが独特の臭いでした。トノサマガエルはネコも捕らえて食べますが、アマガエルはネコすら食べることがないと言います。皮膚から分泌する独特の粘液に毒性があるからだと思います。

ご存知のようにアマガエルは、棲息する周囲の色に体の色を変化させて保護色として順応します。この頃話題になるのは、突然変異と思われる体色の変化で「青色」「金色」のアマガエルが発見されることです。発見された方は大切に飼育していると聞くと、その後はどうなっているのかなと思ったりもします。青色カエルの子どもは青色になるのか、それとも遺伝的な要素ではなく、体色が形成される成長過程での異常な現象なのか、ものすごく興味があります。


アマガエル・・・

日本、朝鮮半島、中国東部まで広く分布し、その姿や鳴き声はよく知られている。体長は3〜4センチメートル程で、メスの方がオスより大きい。鼻筋から目、耳にかけて褐色の太い帯が通っている。体色は腹側が白色で、背中側が黄緑色だが、背中側は黒っぽいまだらもようの灰褐色にも変えることができ、保護色の一例としてよく知られる。

この色の変化は、まわりの環境、温度、湿度、明るさなどに応じてホルモンを分泌し、皮膚の色素細胞を拡張・伸縮させることによる。また、たまに色素細胞の変異がおこり、体色が青や黄色の個体がみられることもある。

ニホンアマガエルの鳴き声は「ゲッゲッゲッゲッ」「クワックワックワッという表現をされる。鳴くのはすべてオスで、オスの喉には鳴嚢(めいのう)という袋があり、声帯で出した声を鳴嚢で共鳴させて大声を生みだしている。カエルの繁殖期はおもに春で、この時期の夜の水田にはたくさんのカエルの声がこだまし、場所によっては集団で大合唱になることもある。この繁殖期の鳴き声は、オスがメスに自分の存在を知らせるためのもので、「広告音(こうこくおん)」とよばれる。

ふつうのカエルは繁殖期の夜に鳴くが、ニホンアマガエルは「雨蛙」の和名のとおり、雨が降りそうになると繁殖期でなくとも、昼間でも鳴くのが大きな特徴である。この時の鳴き声は「雨鳴き(あまなき)」「レインコール」などとよばれ、繁殖期の広告音と区別される。(※ウイキペディアより)


今回初めてカエルを取り上げてページを構成してみました。最初の構成は窓ガラスにへばりついているアマガエルだけでしたが、それではあまりにもグロテスクで可愛さ等がありませんので、以前に撮影した草花の上で捕食のために待機する姿を最初に紹介します。



獲物をねらう・・・

カエルは水辺にすむものと思われがちだが、ニホンアマガエルは樹上での生活に適応していて、水辺の植物の上や森林などに生息する。春から秋まで活動し、冬は温度差の少ない地中で冬眠する。

皮膚はつるつるした粘膜におおわれるが、この粘膜からは体を細菌などから守るため毒が分泌されている。手で触る分には問題ないが、傷ついた手でさわったり、さわった手で目や口をこすったりすると、激しい痛みを感じ、目に入った場合は失明することもある。

黄色い花の上や中に居たために、黄色がかなり強調されています。じーっと動かないで飛んでくる虫を探し、大きな目がくるくるします。愛嬌があり可愛いのです。しかし、飛んできた虫達には恐ろしい瞬間が待っています。側に来ると、舌がペローンと伸び出して一瞬で口に入ります。可愛いのですが、これも生きるための瞬間なのです。
獲物をねらうアマガエル 1 獲物をねらうアマガエル 2
獲物をねらうアマガエル 3 獲物をねらうアマガエル 4


ガラス窓で見たアマガエル・・・

ガラス窓に張り付いて飛んでくる虫を待つ姿、夜に窓ガラスを探せば見つけることが出来ます。アマガエルが動き回ると、ガラス窓がべたべたと汚くなってしまいます。何気なく見ていたのですが、アマガエルの裏側から見ることはあまりありませんので60mmマクロレンズを使って接近してみました。
ガラスにしがみつくアマガエル 1・・・最初に見つけた状態を自然光線で撮影。
腹をべったりとガラスにくつけ、四肢先端部の吸盤を使って吸い付いています。最初はガラス窓に接近し、ピンポイントで露出を決めてシャッターを切りました。しかし、かなりの露光時間がかかり、ぶれたり全体にピントが合いません。

やっぱりストロボ使用が効果的で、アマガエルの腹側から目の部分まで鮮明に写りました。当然ですが、背景は真っ黒になります。それにしても、生きているカエルを10センチ足らずの距離で撮影できるマクロレンズの威力は素晴らしいものでした。
ガラスにしがみつくアマガエル 2・・・ストロボを使用しての撮影。 ガラスにしがみつくアマガエル 3・・・強烈な光を感じたのか正面を向きました。
ガラスにしがみつくアマガエル 1・・・がっちりとしがみついています。 カエルの体は頭胴部と四肢に大別される。頭と胴は直接つながり、頸(くび)にあたる部分がない。頭部には、口、外鼻孔、目、鼓膜がある。口は大きく、比較的大形の餌動物を捕食するのに適する。歯は小さく、餌をかみ切ったりそしゃくすることはできない。

体表は皮膚に覆われ、ウロコや体毛はない。皮膚表面は分泌腺からの分泌物によって湿っている。多くの種は多少とも有毒な物質を分泌し、とくにドクガエルやヒキガエルの分泌物は毒性が高い。


四肢の先端部にある吸盤でへばりついている様子です。前肢が4本、後肢が5本あります。後肢の指の付け根には薄い膜(水かき部分)が少しあるのが分かります。

ガラス窓に触れている腹部は、白いつぶつぶの模様(多分小さな突起)が分かります。お腹の中央にはへそがありませんね(こんな事を書くと知らないのかと叱られますが、わざと書いてみました)。

体全体から見ると、四肢は骨格と表皮だけのように思えます。運動するときに妨げにならないように、最小限度の構成なのかも知れません。

真上から見ると結構愛嬌があり可愛いのですが、真下から見ると大きな胴体に骨だらけの手足が付いた、気持ちの悪い様子だと書いたら叱られますね・・。

大きな目・・・

目の部分を接写して気がついたのは、以前に撮影したヘビ(アオダイショウやシマヘビ)の目に似ているなと思ったことです。

目はよく発達し、頭の上側部に突出する。目の下縁には透明な瞬膜があり、潜水時に目を覆う。

瞬膜(しゅんまく)・・・目の角膜と瞼(まぶた)の間に存在する薄膜をいい、脊椎動物のうち、サメ類、無尾両生類、は虫類、鳥類にみられる。結膜のひだとして生じ、目の内角より発して角膜上に広がっている。瞬膜の分泌液は角膜と瞬膜の摩擦を少なくする。

大きな目・・・黒い瞳の回りにある模様がヘビと同じと思いました。
二つの大きな目と口 少しピンぼけですが大きな口です。
四肢の様子・・・

前肢に4本、後肢に5本の指があり、すべての指先に丸い吸盤があります。この吸盤で枝から枝へ飛び移ったり、ガラスの垂直面に張りつくこともできます。

じっくりと観察すると、後肢よりも前肢が4本の指と先端部の吸盤ががっちりしていることに気がつきます。

前足の様子・・指は4本です。
前肢と後肢・・、後ろに少しですが水かきがあります。 前肢の拡大です。手の平に相当する部分に小さな突起があります。

食性について・・・

肉食性で、小さな昆虫類やクモ類を捕食する。動いているものに反応するので、死んだものや動かないものは食べない。捕食するときは飛びかかりながら短い舌で獲物を押さえつけ、次の瞬間には大きな口で獲物をくわえる。大きな獲物は眼球をひっこめ、眼球の裏側で口の中の獲物をのどの奥に押しこんで呑みこむ。夜には人家の窓や自動販売機の照明前にも現れ、明かりに集まる昆虫を捕食する姿が見られる。

学生時代にヒキガエルの子どもを飼育したことがあります。目の前にハエを置いても飛びつきませんが、側から息を吹きかけてハエを動かすと、敏捷に動いてきて舌をひょいと出してハエを巻き込んで食べます。また、田んぼでのトノサマガエル捕りは、トンボにをテグス等を結びカエルの前に動かしてやると、面白いように飛びついて捕まることが出来ました。
排便中のアマガエル 1 食ったらうんこを出す・・・

少し下品な表現になりますが、撮影していたら尻から「うんこ」をぺろんと出すではありませんか・・。体の大きさから言えばかなり大きい「うんこ」です。

その瞬間を見たのも撮影するのも初めてのことです。もっと興味本位になれば、「うんこ」を取って砕いてみれば何を食べていたのかが分かります。そこまでは思いつきませんでした。

※あえて「うんこ」と書きましたが、国語辞典を検索しても
  該当する言葉はありません。父親の残した「江刺言葉
  辞典」によると、大便のことで幼児語とありました。
排便中のアマガエル 2・・・目線が合いました。見たなあの言葉が浮かびましたから。 排便中のアマガエル、ストロボの光が気になったのかぐるりと向きを変えて私の方を見(そう思った)ました。その時浮かんだ言葉が「見たなあ・・」でした。

カエルに限らず自然界に生きる動物達が、一番緊張し周囲に注意するのが排便の時だと言います。全くの無防備ですし、もしもの場合に敏速に逃げられません。動きながら垂れ流しにするのは別ですが・・。

それにしても大きな「うんこ」でした。慌てて動いたのでしばらくは体にくっついていましたから。
排便中のアマガエル 3・・・逃げろ。 排便中のアマガエル 4・・・いつまで見ているのよ。

忍者のような動き・・・

四肢の様子にも書きましたが、指先の先端部が丸い吸盤になっています。先端部が吸盤ですから、ぺたっとくつけて中の空気を吸い出せば平らな場所であれば吸い付きます。このような動作で垂直になったり逆さになったりと、自由に体を保持できます。

よく知れれているのが「ヤモリ」や「カメレオン」です。「ヤモリ」はどこにもいると言いますが、古屋でもある我が家では見たことがありません。千葉に住む弟からは「何処にもいるよ・・」と言われますが、どうなっているのでしょうか。なんとかみつけて観察してみたいものです。
忍者のようなアマガエル 1 ガラス窓ですから垂直面です。ここをぺたぺたと自由に動き回るアマガエルです。画像を見ていて思いましたが、体の大きさに比べて四肢の大きさや指の拡がりが大きすぎます。このくらいの吸着ポイントでないとアマガエル全体の体を支えられないのかも知れません。

あえて忍者のようなと書きましたが、熟達した忍者でもこのような移動は無理ですよね。忍者の場合は指先の力で柱や突起部を掴んでの移動だと思いますので。

ストロボの光が強力なので、レントゲンで撮影したように足の中の骨が見えています。それにしても、ガラス面をぺたぺたと動き回るアマガエルはすごいですね。
忍者のようなアマガエル 2・・・足の骨が透けて見えます。 忍者のようなアマガエル 1
忍者のようなアマガエル 4 忍者のようなアマガエル 5