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            初冬の風物詩


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カラタチの鋭い棘を気にせずに群れているスズメたち。

12月に入り今年も最後の月になりました。時間の経過がより早く感じると言えば笑われそうですが、年の瀬の訪れがそこまで来ています。先頃ですが、トップページの題材を求めて家をドライブし初冬の訪れを探しまとめてみました。あえて「初冬の風物詩」としたのは、自分の身近にありながら忘れ去れている季節感を再発見することにありました。

本当は白鳥の姿を撮影したくなり、息子と一緒に今まで出かけていた「白鳥飛来地」を三カ所巡りましたが、どこにも白鳥の姿を見つけることが出来ません。鳥インフルエンザが話題になるまでは餌付けが出来たこともあり、ごく普通に姿を見ることが出来ましたが、今年はまだ見つけることが出来ませんでした。人間の勝手な判断で、一番面食らったのが野生の鳥たちでしょうか・・。

子どもの頃はごく当たり前のことであったのに、今のご時世では忘れ去れていることが沢山あります。題材を求めて歩きながらそう思った私でもあります。皆さんにとっての幼い頃の原風景は色々あると思われます。ここでは、私なりに再発見した内容を二コマ画像で紹介したいと思います。なあんだそんなこと・・、と笑わずにご覧下さい。

トップの画像は、今の時期になるとどこからかやってくるスズメの大群です。庭にあるカラタチの葉が落ちると、もの凄い棘だらけの枝になります。そこに無数のスズメがやってきてさえずります。俗に言う「寒スズメ」です。


夏油スキー場・・・

我が家から見える西側の奥羽山脈ですが、高いところでは標高が1600m近くにもなります。当然ですが、冬の訪れの雪景色が頂上から下に降り、やがて里山まで真っ白に変わっていきます。通称西山と言いますが、今の時期になると夏油スキー場のスロープが見えるようになります。

例年ですと、スキー場オープン前にスロープにある照明が点灯され、夜には雄大な光のページェントが現れますが、今年はまだのようです。

最初の画像は、いつも訪れる北上市稲瀬地区にある「樺山遺跡」からの眺めです。東北新幹線の通過時間を待って撮影しました。

次の画像は、夏油スキー場スロープを間近に撮影したくなり、ぎりぎりの場所まで接近したものです。これ以上接近すると、手前の山に隠れてしまいます。この時期は、スキー場がはっきりと見えるような天候条件なりません。山が白い雲に覆われると、「山は雪だんべー」と小さい頃から言っていました。
樺山から見た東北新幹線と夏油スキー場、この線路を少し右に進むと北上駅になります。 かなり近くまで接近したスキー場です。拡大するとスロープ上に照明のタワーが見えます。

茅(ススキ)丸き・・・

遺跡でもある樺山には、復元されている竪穴住居が丘の上にあります。その屋根が茅葺きであることから、何年おきかに屋根の葺き替えが行われます。我が家もかつては茅葺きでしたが、補修等が大変になり上にトタンを張った状態になっています。

昔の農家はほとんどが茅葺きでしたので、順番で葺き替えの準備と作業をしました。巨大な屋根葺きですから、集落の皆さんが順番を決めてお互いに協力する形で作業をしなければなりません。当時の川原や原野には茅(ススキ)が沢山自生しており、それを刈り取って適当な大きさに丸き、まとめて乾燥保存をしていました。

ここ樺山には、栗の木が生えておりその廻りに何カ所か茅の束が丸められています。茅丸きと書いたのは私の思いつきの表現であり正確ではありません。今の時代では、茅葺きの葺き替え等は家を一軒建築する以上の費用がかかると言います。こんな風景も今はほとんど見ることが出来ません。
樺山遺跡の復元住居と茅。 栗の木の周囲を茅で囲んであります。何束あるのか、かなりの量だと思います。

家周辺の柿・・・

今年は柿のなり年でしょうか、家の周辺にも木の枝についた沢山の柿の実が真っ赤に熟したままになっています。もちろんですが、昔から家の周辺にある柿の実は渋柿ですからそのままでは食べられません。ほとんどの家では皮を取り串や紐に吊して干し柿にします。甘い干し柿は私も大好きですが、ちょうど食べ頃になるとどこからかカラスがやってきてつつかれます。

柿落とし・・・
家の周囲の柿の実は、渋抜きしたり、皮をむいて干し柿にして食べた。「柿もいでおけよ。疵付けないようにな」、野良へ出がけに声をかけられる。竿の先にカギを付けて上手にもいでざる一杯に入れる。晩にぬるま湯で渋抜きをすると翌朝は食べれた。皮むきの手伝いもする。炉端のランプの下でせっせとむく。皮をむいた柿は、十個ずつ萩の枝に差し、それを五本結んで一連とする。こうして干した干し柿は、お正月の頃には白い粉をふいて美味しくなる。
(※父・慶郎むかしがたりより)


昔は甘いものがないので干し柿の甘さは格別でした。今は格好の鳥のエサでしょうか、でも、鳥たちも木で真っ赤に熟した柿よりも、家の軒先にある干し柿に来ますね。賢くなった鳥たちとでも言えそうです。

民家周辺にある柿の木 1・・・のどかな風景でした。 民家周辺にある柿の木 2・・・拡大です

大根干し・・・

民家の周辺にずらりと並んでいるダイコンが目に入りました。畑には取り残されたキャベツや白菜が見えています。 以前ですと、農家ではどこの家でも自家用タクアンの漬け込みのため、家の周辺に大量に干すのが初冬の仕事でした。この頃は、大量に干している様子はあまり見られません。

干し方は、ダイコンの葉の上を結び横に並べた杭の両側に垂らすようにして干すようです。道路脇でしたので、がっちりと撮影させていただきました。大量の干しダイコンですが、自家漬物用なのか、販売用なのかは分かりません。
民家周辺の大根干し 1・・・取り残した白菜やキャベツが見えています。 民家周辺の大根干し 2・・・道路脇もびっしりです。

寒スズメ・・・

寒スズメ・・、正式にはこの分類名は無いようです。野鳥の代表者でもあるスズメは、昔から私達の生活とつながりがあって生きてきています。今と違い米の収量が少ない当時は、実った米を食い荒らす害鳥扱いにされたり、農家の屋根が茅葺きの当時は、軒先の《おがら(麻の茎から表皮を取ったかもの)》を抜き取り、そこに巣を作ることで嫌われていました。

幼少の頃、軒先の《おがら》の中にスズメの巣穴を見つけ、かなり奥の方まで手を入れてヒナや幼鳥を捕まえた記憶が残っています。現在の我が家の母屋は、茅葺きをトタンで覆っていますので《おがら》は表面からは見えません。スズメ達は、小屋のトタンの隙間や枯れ木の穴に巣を作っています。

周りが一面の雪に覆われると、スズメ達のエサ場が無くなり大変になります。庭の一角に葉の落ちたカラタチの木があります。このトゲだらけの木の中に、毎日沢山のスズメが来て止まっています。私が外に出るときに戸を開けると、一斉にぱっと逃げてしまいますが、どうやって鋭いトゲにぶつからないで逃げることが出来るのか、本当に感心してしまいます。(※以前の記事寒スズメより

まるまると太って見えますが、実際は羽毛をふくらまして体温を保持していると思われますね。
カラタチの中のスズメ 1・・・ここだけで何羽いるのでしょうか。 カラタチの中のスズメ 2・・・中心にいるスズメ、拡大すると逞しい面構えです。

年末イルミネーション・・・

年末の行事として、各地でイルミネーションやライトアップが行われます。我が家のほっづぎ家族も、毎年あちこちに出かけて撮影しています。仙台市光のページェント、石巻市サンファン号ライトアップ、盛岡城址石垣ライトアップ等々があげられます。

たまたまでしたが、岩手日報紙上で花巻市末広町でイルミネーションの報道がありました。花巻駅に向かう道路にイベント会場があり、そこで撮影したものです。中央に地球があり、シンボルでもある宮沢賢治の銀河鉄道も飾れてていました。雨上がりでもあり、訪れる方もほとんどありませんでした。

花巻市末広町でイルミネーション 1 花巻市末広町でイルミネーション 2

四季サクラ・・・

冬近しなのに、けなげにも寒気の中で咲き誇る四季サクラで、北上市男山に通じる道路脇に咲いていました。最初は気がつかないで、男山からの展望を撮影し坂道を下り始めて気がつきました。そう言えば、以前に新聞報道で見た記憶がありましたが、すっかり忘れていたことを思い出しました。

かなり大きなサクラの木であり、少し下がったところにも小さめの木が一本あります。そう言えば、四季サクラを見たくて盛岡市の千寿院の境内や、水沢区にある正法寺の境内に出かけて撮影したことがあります。

北上川からの冷たい空気にさらされて、山の斜面で今の時期に咲いているけなげなサクラの花です。画像処理をして気がつきましたが、二コマ目の画像をよくご覧下さい。偶然と言いますか、これから咲くであろうつぼみの間に枯れた松葉がしっかりと立っています。

見つけたときはあれれなんだろうと思いましたが、枯れた松葉が「おらも出番が欲しいよ・・」と言っているようだと思ったら嬉しくなりました。と言うことで、紹介しておきます。
咲き誇る四季サクラ 1 咲き誇る四季サクラと松の枯れ葉・・・おらも出番が欲しいよとでも言いたそうです。