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       2010花巻市石鳥谷・たろし滝


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坂を上りながら見た「たろし滝」ですが、先端部が切れていました。

今年の冬は暖冬傾向にあると言われていたのですが、昨年末に大雪に見舞われ暖冬予想が吹き飛びました。また、寒気の訪れも結構あり真冬日が続いた岩手でした。

花巻市石鳥谷・葛丸渓流に厳冬期に姿を現す「たろし滝」です。毎年訪れて、すっかり私の定点観測地点になってしまった感じがありますが、今年も様子を見に出かけてきました。


「たろし滝」・・・この地方では「つらら」のことを「たろし」と言う。冬になると、川の向こう岸にそびえる山から葛丸川に注ぐ沢水が寒さによって山の中腹で凍り付き、高さ13m、太さ(周囲)数mの巨大な氷柱が出来る。これが「たろし滝」である。

この「たろし滝」の太り具合によって、その年の農作物の作柄を占う習慣があったが、昭和50年から、毎年2月上旬に巻き尺で測定している。

「たろし滝」へは、2月上旬から3月下旬まで葛丸川にかけた橋を渡って現地に行くことが出来る。
  (※現場にある案内看板より)



※ここでは「つらら」という表記を当地の方言である「たろし」に置き換えることをご了承下さい。



たろし滝に向かう・・・

花巻市石鳥谷町奥羽山脈から流れる葛丸渓流に出現するたろし滝です。県道13号線からおよそ5km程入ったところにあります。

気温が高くR4号で5度ぐらいあります。分岐点からたろし滝に向かいますが、ここでも4度位ありました。山に入るにつれて道路が真っ白な圧雪状態になり、例年よりは雪が多いなと思いました。
たろし滝に向かう 1・・・県道から入った所にある幟。
たろし滝に向かう 2・・・対岸から見上げたたろし滝ですがお分かりでしょうか。 入り口手前から渓流越しに「たろし滝」の方向を見上げると、木々の間から大きな氷柱が見えてきます。気をつけて見ると、氷柱の下の方が無くなっているのが確認できました。やっぱり崩落したようです。詳しいことは側まで行かないと分かりません。
たろし滝に向かう 3・・・つきあたりが駐車スペースでです。 入り口付近に駐車スペースがあり、五台ぐらいは置けるようです。今日は先客がありました。

ガードレールの切れた場所が渓流を渡る橋への入り口です。道路下には仮設トイレが置かれ、見学に来られた方々への配慮がありました。

この場所から渓流に架けられた足場パイプの橋を渡り、たろし滝に向かいます。
たろし滝に向かう 4・・・渓流に架かる橋に向かいます。 たろし滝に向かう 5・・・今年の橋は頑丈でした


雪の斜面を登る・・・

いつもの斜面の雪道を、通路左側に張られたロープにつかまって登ります。新聞記事によると、事前にボランティアの皆さんで登り道を整備し、滑りやすい急坂部分には、ていねいに階段状に切れ込みを入れ踏み固めたと言います。

この杉林の側を通り抜けるとほぼ直線コースになり、目の前には大きな氷柱が見えてきます。カメラと三脚を持っての登坂はかなり大変で、左手でしっかりとロープにつかまっていないと安心できません。

雪の斜面を登る 1・・・ここから坂登になります。きちんと階段状に造られていました。
雪の斜面を登る 2・・・喘ぎながら登る途中から見上げたたろし滝です・

途中で先に登っていた皆さんとすれ違いました。「氷柱は落ちていますね・・」と言ったら、「今年はどんな年になるのでしょうね」と返事をされました。

今年はどの位成長しているのだろうという皆さんの想いは同じであり、だから山登りをして「たろし滝}見に来るのだと思いますね・・。かく言う私もその一人なのです。

下の画像は、崖下少し前の場所から見た「たろし滝」の様子です。巨大な氷柱が二本ありますが、正面にある氷柱が「たろし滝」と言われる巨大な氷柱です。

雪の斜面を登る 3・・・かなり近くから見た二本のたろし、中央がたろし滝と呼ばれる巨大氷柱です。しかし下が切れていました。 この場所から見ると一旦崩落した痕跡があり、雪の下に氷の固まりが埋もれています。しかし今まで見ていた崩落跡とは違い、先に崩れた氷柱が横になっていて、その上に大きな太いたろし(つらら)の集まりが地上2m位の所まで成長していることに気がつきました。

沢水の落ち口付近はがっちりと凍り、そこからは無数の太いたろしになっているが、先端は細いたろしが集まっており、水がじゃぼじゃぼと落ちてきています。夜間や気温が下がれば、たちまち「たろし」になっていきます。

次の画像は、左側の巨大なたろしの様子と、崩落後再度成長しつつある右側の「たろし滝」の様子です。
雪の斜面を登る 4・・・左側のたろし」の全体像です。 雪の斜面を登る 5・・・たろし滝の全体像ですが、下の部分が切れています。これは二度目のたろしが造られたことを意味します。


たろし滝の根元から・・・

たろし滝の根元付近で撮影した様子から紹介します。最初は通称「たろし滝」の巨大な氷柱の様子、次は例年よりも巨大に成長した左側の「たろし」、そして最後は根元の様子になります。
正面から見たたろし滝と左のたろし。

たろし滝 1・・・最初の氷柱は崩落し二度目のたろしが成長中です。 通称「たろし滝」の巨大な氷柱の様子・・・

現場で思ったことは、最初に出来た氷柱は一月末の暖気で(雨が降った)融けて崩落した。その後、二月に入っての寒気の再来で真冬日が何日か続いた岩手であった。その時、再度たろしが成長してここまでになったと考えられます。

しかし、完全に下まで成長しきれないで、たろしの先端部が地上2m位の氷の固まり(最初の氷柱)と繋がりつつある・・と判断しました。
たろし滝 2・・・崖側から見たたろしの先端部と元の氷柱の基礎部分。 崖側から見たたろしの先端部と根元の氷の固まりです。もし、先に造られたたろしが崩落しなければ、根元の太さの延長で繋がっていたと思われます。

二度目に生じたたろしは、やっと先に生じて崩落した氷柱の先端部に繋がるところです。ここまでの高さが2m位ありました。本来ですと、この根元の部分の胴回りが「たろし滝」測定値になるはずです。結構太い根回りでした。

下の画像は、左側がたろしの先端部の拡大です。沢山のたろしが集まっているのが分かります。

右側が、少し離れたところから見たたろしの全体です。資料によると、崖の上から下の地面まで13m程あると言います。

たろし滝 3・・・再度造られつつあるたろしの先端部分。 たろし滝 4・・・全体の様子です上から下まで13mほどあると言います。
たろし滝 5・・・たろしが岩盤に凍り付いている部分の様子。今にも落ちそうです。 「たろし滝」の最上部の様子です。上から流れ落ちてくる沢水が凍結したろしになるのですが、崖の岩石部分に凍り付いて下へ下へと垂れ下がりながら成長します。

それにしても、この画像だけで見るとそんなに強力に凍り付いているとは思えません。ですから、ちょっとした気温の上昇で融けることにより岩石から離れ、自分の重さで崩落するのでしょう。


左側のたろし 1・・・全体の様子ですが、これもしたまで繋がれば二本目のとろし滝になります。 例年よりも巨大に成長した左側の「たろし」・・・

毎年訪れていて、あまり気にならなかった左側のたろしですが、今年は見事に成長しています。地面までは届かないものの、今までこんな成長した様子は見ていません。

多分左側の部分の「たろし」は、崩落することなく最初から成長し続けているのだと思われます。これが下まで届けばたろし滝が二本になる。そんなことが今まで無かったのかなあと思います。

下の画像左側が、沢から垂れ下がる巨大なたろしと言うよりも氷塊です。途中で分岐していますが、この部分のたろしもすばらしい氷柱でした。

右側の画像は、たろしの内側から氷の様子を拡大してみました。改めて思いましたが、氷という無色透明なものを撮影し、質感や色調を再現するのが大変だなあと改めて思いました。
左側のたろし 2・・・沢水の凍り付いている部分、それにしても立派なたろし(氷塊)です。 左側のたろし 3・・・田rしの部分の拡大。
左側のたろし 4・・・ちょっとつつくと落ちそうです。 左側の「たろし」が、崖についている部分の様子です。ちょっとした衝撃で落ちてきそうです。
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