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           山口の水車小屋

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今なお回り続ける山口の水車。

山口の水車小屋・・・

土淵町山口集落にある茅葺の水車小屋。遠野の農村イメージを象徴する建物として、観光地となっている。古くからこの地にあるようだが建築年代は不明。現在でも使用している。


柳田国男の編集した「遠野物語」に惹かれるのでしょうか、多くのフアンの皆さんが訪れる民話の故郷と言われる遠野市です。今までほとんど関心のなかった私ですが、HPの題材を取材・撮影するために武蔵坊弁慶が持ち上げたという「続石」、馬っことの悲しい物語が出てくる「おしらさま」、遠野郷の起源に関わる「卯子酉様」等々、お隣遠野地区に訪れることが多くなっています。

以前はどこでも見られた忘れ去られそうな生活の様子が、いまなお心の原風景として見ることが出来る遠野郷です。古き良き時代を求めて、四季を問わず全国から訪れる皆さんが多いと思われます。遠野市の観光ガイド初級コースにある山口の水車ですが、先頃訪れた「卯子酉様」を撮影した時に足を伸ばした場所でした。

※この部分は、以前に紹介した風景の表情・水車のある風景から転記した内容です。



道路脇にある案内表示板 1 水車小屋入り口の道路脇にある案内表示板です。画像表示はありませんが、この場所には整備された駐車場と公衆トイレがあります。

水車(山口部落)
数多くの物語を語り伝えてきた山口は、ぶんだ峠、界木(さかいき)峠の入り口にある坂の多い村でした。

曲がり屋をかこんでヒエ・アワ・豆畑が広がり、これらの脱穀や製粉のため水車は昼も夜もゴトゴトと音を立てて粉塵を吹き上げ、静かな風景のなかで力強い鼓動を響かせていました。

道路脇にある案内表示板 2・・・遠野遺産第9号と書かれてあります 道路脇にある案内表示板 3・・・山口部落水車の解説です
古くからこの地にあるようだが建築年代は不明。現在でも使用している・・・と説明にあるように、本当に古ぼけた水車小屋でした。

しかし、水の流れも十分にあり勢いよく回っています。私が撮影している間にも訪れる方が結構ありました。牧歌的な原風景と言いますか、四季折々の表情を撮影したくなった私です。

道路から角度を変えて撮影しましたが、訪れたのが午後でもあり完全に逆光線になります。したがって背景が飛んでしまうのは仕方ありませんでした。

やはり午前中でないと細部を表現するには困難です。
水車小屋 1・・・斜めの方向から見た水車小屋
水車小屋 2・・・正面左側から 水車小屋 3・・・正面右側から
水車小屋 4・・・入り口道路から田んぼ越しに見る 水車小屋 5・・・縦位置が雰囲気が出ます。田んぼは休耕田のようで水が張られてありました。

民家の後ろを流れる小さな川 ここでは水車に接近し、水路や流れる水の様子、水と水車のぶつかるところ等々を紹介します。

民家の後ろを流れる小さな川(かなり狭いのですが)が、道路の下にある土管に集められ水流が強くなり、傾斜がある木製の樋を落下します。
道路の下にある土管に集められた水流 木製の樋を落下する水流
木製の樋を落下する水と水車 1・・・適度な傾斜で流れ落ち水車にぶつかります。 それほど大きな水流ではないのですが、水車の端に組み込まれた板にぶつかり回転力が発生します。一旦回転すると、慣性力が発生し回転が安定してきます。

側で見ていると、水のぶつかる「ばちゃばちゃ」と言う音と共に、「ごとんごとん」という連続した回転音が聞こえてきます。

見ていて飽きない動きです。
木製の樋を落下する水と水車 2・・・水がぶつかる様子 木製の樋を落下する水と水車 3・・・木製の枠が水車の下まで入っていて、水が効率的にぶつかる様子が分かります。
回転する水車 1・・・回転軸に組まれた水車の全体構造が見えてきます。 回転する水車 2・・・水車の拡大です。

水車小屋の内部の様子 最初の画像でもお分かりのように、水車小屋の入り口が開いていて中の見学が自由に出来ます。

始めて見る水車小屋の内部の様子です。普通は内部の回転する様子や、水車のメカニズムを見ることはほとんど出来ません。がっちりと内部を見て撮影しました。
水車の回転軸と軸受けの部分 巨大な水車の回転軸と軸受けの部分です。グリースと油がさされ、真っ黒くなっています。

この水車には臼が四基ありましたし、当然ですが杵にあたる木製の柱が四本ありました。たまたまでしょうが、水車の回転が杵の上下運動にかからないように「つっかい棒(正式名称は不明)」がはめられていました。

このつっかい棒を外すと、回転軸にある「カム(木製の腕木ですが)」が杵の柱を持ち上げて、上下運動に変わります。
四基の臼と杵の柱 杵の柱を留めているつっかい棒
回転軸にはめ込まれている「カム」 この腕木が回転軸にはめ込まれている「カム」です。回転軸は逆時計回りに回転していますが、つっかい棒を外すと杵に付けられた腕木を持ち上げ、杵が上に持ち上がります。

よく見ると、回転軸に組み込まれた「カム」は一本でなく水平に出ていました。水車が一回転するたびに杵が二回上下運動することになります。しかも微妙に角度がずれていて、杵の上下に連続したリズムがあるように組まれていました。

昔の人の知恵が生かされているなあと感心しました。
藁で作られた馬っこ 水車小屋に入ったときに気がつきましたが、突き当たりが回転している水車です。その手前の柵に、藁で作られた馬っこがさりげなく置かれてありました。

この民芸品の名前は分かりませんが、いかにも馬っこの郷遠野だなあと・・、しばしじっくりと眺めました。見れば見るほど精巧に作られています。

最初にも書きましたが、水車小屋の四季折々の姿や、遠野郷の他の原風景を撮影したい気持ちになりました。