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         2008石鳥谷町・たろし滝


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たろし滝の上と周囲のつらら、厳冬期の風景です。
昨年とは違い、寒気にすっぽりと覆われた岩手県です。昨年末から1月にかけて平地でもかなりの積雪がありましたが、2月に入り降雪はないものの、冷え込みが厳しい毎日でした。ワカサギ釣りで人気のある北上高地の岩洞湖でも、結氷が厚く釣り人で賑わっています。厳しい冷え込みのため、北側の屋根には大きなたろし(つらら)が見られます。

2月11日、この日は石鳥谷町にあるたろし滝の太さを測定する日になっています。昨年は暖冬でもあり、巨大なたたろし滝(氷柱)が途中で崩落し、測定出来ませんでした。早速ですが、今年もその様子を見てきました。毎日の厳しい冷え込みで、たろし滝(氷柱)は素晴らしく成長し完全な状態で姿を見せていました。今年はどのような結果になりますか・・・。


花巻市石鳥谷町にある葛丸川は、渓流の山腹側に厳寒期になるとたろし(つらら)滝と呼ばれる巨大な氷柱が出現します。

たろし滝は県道13号線からおよそ5km程入りますが、入り口付近には「たろし滝へようこそ」と大きく書かれた幟がはためいています。

滝の入り口付近に駐車スペースがあり、ここに3台位は止められます。滝へ行くにはこの標識の所から下におり、渓流に架けられた仮設の橋を渡ります。
県道13号から入ったところに立つ幟です。
道路には雪が無く工事中でした。 駐車場のある場所です。さすがにここは雪があり、道路もつるつるです。左側から仮橋に入ります。


この仮橋を渡って山に入ります。両側の山には雪が沢山ありました。 「たろし滝」観察用に架けられている仮橋です。大瀬川たろし滝測定保存会の好意による建築資材を利用した本格的な仮橋です。

昨年とは違い今年は雪が多く、雪道の沢登りは滑って大変でした。通路の横にはガイドロープが張られており、これに掴まって歩きます。

雪道は表面が凍りアイスバーンの状態で、長靴で歩きましたがつるつるでした。
山道を登ります 1・・・三脚を突き刺してみました。 山道を登ります 2・・・歓迎の幟がありました。とにかく滑るのです。
山道を登ります 3・・・遠くにたろし滝が見えてきます。ロープに掴まって登ります。 雪の中の一本道、周囲の積雪は45センチ程度、標高差にして100m位もあったでしょうか・・。ガイドロープに掴まり撮影しながら登りました。完全武装をして行ったから良いようなもの、ふだんの履き物では思いっきり雪に埋まったと思いますし、滑って滑落しそうでした。

息を切らしながら歩くこと15分ぐらいでしょうか、やっと目の前に洞窟状の斜面と巨大なつららが見えてきました。


たらし滝の正面・・・登りきったところで目に入ります。すごくきれいで荘厳な感じがあいます。 現場の少し手前で見た様子です。今年で撮影に来たのは3回目ですが、壮大なスケールのたろし(つらら)の集まりの氷柱、遠くから見るとまさに氷の滝でした。
正面右側に全体の様子を撮影出来る場所があります。
ガイドには高さが13m位とありました。丁度せり出した斜面の先端から沢水が流れ出し凍結したものです。

氷柱の出来ている場所を確認すると、北側にせり出した崖の部分は5m位あるのでしょうか。そこから落ちてきた沢水が凍結し、巨大なつららが時間をかけて作られていると思われます。根元の部分を見ても、融けて崩落した様子がありません。

三脚を伸ばして置いたら、直径が三脚よりも長いくらいです(三脚の全長は150センチほど)。ですから胴回りはおよそ5mほどになりますか・・。

2月11日には、測定会が開催され多くの皆さんが訪れます。祭りムードの中では、ゆっくりと見たり撮影することは出来ませんので、事前の見学になります。
右側から全体を見ろすことが出来ます。


たろしの上 1・・・沢水が流れ落ちる部分。 たろし滝の上の部分です。中央の窪んだところが沢水の流れ落ちる場所で、そこから巨大なつららが成長します。両側にもかなり大きなつららがありますが、下までは伸びてきていません。

凍り付く部分の拡大と、裏側の様子を撮影してみました。無数のつららの集まりで出来ている様子が分かります。
たろしの上 2・・・あたかも一本の氷柱に見えますが・・。 たろしの上 3・・・裏側から見るとつららが分かります。

たろしの根元 1・・・この部分の太さを測ります。今年はどの位あるのでしょうか。 たろし滝の根元、地表に付く部分です。昨年はこの部分に崩落したつららの断片が転がっていて、危険でもあり近寄れませんでした。2006年の時は、崩落はなくきれいな状態でしたが、耳を澄ますとちょろちょろと氷柱の中を流れる水音がしました。

今年も聞こえるのかなと思いましたが、水音は一切聞こえなくしーんとしたものでした。たろし滝の山側の根元、本当にたろしの集まりだというのが分かります。逆光線なので、少々暗く写っていますがおわかりでしょうか・・。
たろしの根元 2・・・北側の部分。 たろしの根元 3・・・崖側の部分、数多くのつららが認められます。


たろし滝の左右にあるつらら、あまりにもきれいなので撮影しました。左側がかなり大きいつららですが、このまま成長して地面まで付くことはなさそうです。

じっくり見ていると、透き通って後ろの崖が見えるようですし、ちょっぴり茶色(土でしょうか)がかっていました。
巨大つらら 1・・・茶色になっている部分がありました。
巨大つらら 2・・・透きとおっていてすごくきれいでした。 巨大つらら 3・・・右側のつららです。


氷筍 1・・・例年この奥に氷筍出来るのですが・・。

例年ですと、崖の左側奥に可愛いたこ坊主の氷筍が作られます。暖冬の昨年でもたろし滝は崩落しても、短いのですが氷筍が見られました。期待していましたが、今年はほとんど成長していない(10センチぐらい)状態です。

氷柱の中を流れる水音が聞こえないと書きましたが、どうやらそれと関係があるようです。氷筍の生成は、上から落ちた水滴が地表で凍りそのまま上に成長して作られます。つららまでは作られても、日中に溶けて水滴にならないと下まで落下しません。今年は冷え込みが厳しく、作られるのはつららまでであり、氷筍にはなれないのかなと思いました。

氷筍 2・・・氷筍が作られる上にあるつらら、この模様がきれいでした。 氷筍 3・・・いつもはここにすらりと並ぶのですが・・。
氷筍 4・・・それでもちっこいのがありました。7センチぐらいですか。 氷筍 5・・・こちらは10センチぐらいです。しかし透明ではありません。
2月11日はたろし滝の測定会です。今年の胴回りはどの位あるのでしょうか・・。過去のたろし滝測定データと、岩手県の米収穫作況指数データを並べてみると、その年の気候の変化等にもよりますが相関関係があるようです。一般的にはたろし滝の胴回りが太いと、その年の米の作況指数も良くなっていると言えそうです。

しかし、現在の米作りの状況と農家の経済状況を見ると、豊作を素直に喜べない厳しい現実があります。豊作イコール米余り、来年度の生産調整で厳しい減反配分があるからです。米作りが経済の中心になっていた当時(減反などがない)は、素直に喜べたのかもしれません。とは言うものの、日本の農業は今も昔も米作りが中心です。昔の人々の知恵を、現代の私たちが大切に引き継ぐことがより一層求められると思います。

最後になりますが、氷筍と言えば久慈市山形町にある「内間木洞」が有名です。今年の一般公開は2月11日に行われます。先頃のテレビ報道で氷筍の様子を放送していましたが、昨年とは違って見事に成長していました。2006年の様子ですが、こちらからご覧ください。

2月14日追記・・・
11日の想定結果が報道されました。およそ200人の方が見守る中で測定されましたが、根元から1mほど上の胴回りがで4.8mありました。この太さから、今年は豊作であるとご託宣が出されました。願わくば、天候不順で農作業等が苦労しない年になってほしいものです。