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            冬虫夏草騒動?


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セミ穴から顔を出したキノコ、残念ですが冬虫夏草ではありません。本当に残念でした。

一カ月ほど前の墓参りの時でしたが、家の裏にある先祖の墓をお参りに来た妹が地面を見て叫んでいます。「何でセミの穴にキノコがあるの・・??」、その言葉を聞いて驚いた私です。セミの穴からキノコ・・?、これは冬虫夏草のセミタケだあ・・と言うことで騒動が始まりました。

異常気象とも言える夏の猛暑、6月中旬頃から連日30度です。そう言えば、今年はセミの初鳴きが早いのです。息子の記録によると、7月最初にはアブラゼミ、そして、ヒグラシまで鳴き出しています。いつも気にしない私ですが、やけにセミの穴が多いなあと思っていたのは事実でした。

成虫になるためには地上に出て草木の枝に留まって羽化しなければなりませんが、一枚の葉っぱに抜け殻が三個もついていた場面もあったようです。こんな事はほとんど見られないのですが、猛暑によるセミの幼虫体内時計が狂って大発生したとしか思えません。来年はセミの発生が少ないと予想されます。

話しを冬虫夏草に戻しますが、庭にあるセミ穴を見てみました。無数にあるセミ穴から小さな(直径1センチほど)キノコが出ていました。いつも見慣れているセミ穴ですから私は関心がありませんが、まさかキノコが生えているとは思ってもいませんから、勝手にセミタケと決めつけて興奮気味になった私です。

撮影は寺の墓参帰りでしたので夕方近くになっており、日陰で撮影条件は良くありません。掘り返しと本格的な撮影は翌日にしました。なあんだ・・冬虫夏草ではないのか、早とちりでがっかりした顛末を紹介いたします。お笑いあれと言ったところです。


冬虫夏草とは・・・

冬虫夏草(とうちゅうかそう、ふゆむしなつくさ)は、子嚢菌門核菌綱ボタンタケ目バッカクキン科冬虫夏草属の菌類の一種。コウモリガ科の蛾の一種の幼虫に寄生する。一般にはこの定義だが、昆虫に寄生する菌類は他にも自然界に多数存在し、それらも合わせて「冬虫夏草」と語られる場合もあるので注意が必要とされる。


セミタケとは、子嚢菌門核菌綱ボタンタケ目オフィオコルディケプス科オフィオコルディケプス属に分類される子嚢菌の一種である。子実体は高さ3〜6センチの棍棒状をなし、やや膨らんだ円筒形の頭部と、それよりいくぶん細い柄とからなる。頭部は淡い赤褐色〜灰褐色を呈し、その表面直下に、微細な粒状の子嚢殻が多数埋もれて形成される。柄は頭部よりも色が淡く、その基部は分岐することなく直接にセミの幼虫体につながっており、基部近くには、しばしば灰桃色のこぶ状突起を生じる。

子嚢殻の内部には無数の子嚢が形成され、一本の子嚢の内部には通常8本の胞子が作られる。胞子は非常に細長い円筒形をなし、多数の隔壁で仕切られるが、子嚢から射出された後、すみやかに隔壁部でばらばらに分断されて短い円筒状の二次胞子となる。

地中に生息するニイニイゼミの幼虫を寄主としており、日本では、初夏から初秋にかけて人家の庭や神社の境内などで見出される。(※ウイキペディアより)


セミ穴とアマガエル 8月13日、17:10・・・

今年の猛暑は、生物たちの生活リズムを完全に狂わしたようです。庭には無数のセミ穴がありますが、良く見るとアマガエルが出入りしていました。大きさが丁度良いので、住処にしているのかなあと思います。
セミ穴に隠れて上を狙うアマガエル セミ穴に潜み上をじっと見つめているアマガエル、穴の上に飛んできた小さな虫達は餌食になります。今までこんな光景は見たことがないと言いますか、気がつかなかった事でした。

日光直射状態の地面は30度を超えていますが、セミ穴の中は天然のクーラーとなりアマガエルも住み心地が良いと思われます。

しかし、周辺にはモグラ穴があちこちに張り巡らされていますので、モグラに見つかるとご馳走になりそうです。

セミ穴とキノコ 1 撮影は17:10頃で、セミ穴から生えているキノコと周囲の様子です。右上の白い物は、目印にしたカラスの羽です。

下の画像は少し接近し拡大撮影です。本格的なマクロレンズではありませんので、これ以上の接近は出来ませんでした。

気のせいですが、3コマ目は少し穴から出ています。時間が7分ほど経過しています。成長が早いのには驚きです。
セミ穴とキノコ 2 セミ穴とキノコ 3
セミ穴とキノコ 4・・・隣にもう一本生えてきました。

17:16、最初は一本だけと思っていたのですが、下から丸いキノコが出てきました。最初に撮影したときから10分ほど経過しています。

マクロレンズを使用し、地面に水平にカメラを置いて撮影したかったのですが翌日にしました。


8月14日、15:30・・・

60ミリのマクロレンズを使い、地面にシートを敷いてほぼ水平方向にして撮影開始です。

発見してから22時間ほど経過しています。1本だけと思っていたのが2本になり、穴の上に出て傘(子実体)が開いていました。長さは3センチ程になり、細く白い柄(直径2ミリ位)が確認できました。
生長したキノコ 1
生長したキノコ 2 傘の部分の接写です。ピントの合っている部分が少ないのですが、ひだ模様が見えますし、下の方にはつば(傘が開く前についていた部分)が見えています。

白い毛のような物がありますが、何かは不明です。
土面についていた菌糸? 掘り起こした土についていた菌糸の塊のような部分、拡大すると羽のような形に見えて細かい糸状の物がありました。

もしかすると、この部分から別のキノコが生えてくるのかも知れません。

根っこの部分の確認です。そのためにはセミ穴を注意深く掘り下げなくてはなりません。最初はカッターナイフで手前の方から少しずつ削り取り、最後は大きく断面を作るように土を掘り下げます。

キノコの根っこの部分と、さらに接写した様子です。この下にセミの幼虫があるのではと、興奮気味になりました。
掘り下げた状態 1
掘り下げた状態 2・・・黄色い物はササの葉と松の葉。 掘り下げた状態 3・・・左側にも菌糸の部分が見えています。
掘り下げた状態 4 周囲の土を削り、丁度斜面にそびえ立つ木のようになりました。付け根の部分は白い菌糸の塊があり、そこから上に伸びています。

しかし、ここまで来る途中で細心の注意を払って削り取ったのに、重さに耐えかねた一本がぽろりと根元から取れてしまいました。その瞬間、あれれ・・おかしいなと思いました。
何故ならば、セミタケは羽化前の幼虫に寄生し、そこからキノコが成長しているはずだからです。

寄生された幼虫がないのは、モグラ穴に作られたセミ穴のため食われてしまったのかなとさえ思いました。

モグラ穴から 1 ※地表から20センチほど地下にあるモグラ穴です。

セミ穴の下にあるモグラ穴を掘り返しましたが、キノコのあった場所の下に黄色っぽい糸の塊を見つけました。最初はこれが菌糸の塊かと思ったほどでした。
モグラ穴から 2 よく見て確認したら細いビニールの繊維の塊す。何でこんなものを穴に取り込んだのかは不明ですが、大きさは3センチほどのマユ玉の感じでした。

我が家の周辺にはモグラの通路があちこちにあります。こんな物を取り込んで、巣穴のベットでしょうか。それにしても出産場所としてはあまりにも浅すぎます。

もう一本は気をつけてキノコのついたままの全体をそっくりと掘りあげました。割ってみましたが、残念でしたが丸い菌糸の付け根の下には何もありません。

どうやらセミタケではなく、たまたまモグラ穴上に開いたセミ穴にキノコの胞子が付着し、そこから発芽して子実体を作り傘が開いたと結論づけました。

掘りあげた状態 1
掘りあげた状態 2 掘りあげた状態 3
掘りあげた状態 4 掘りあげた状態 5

結論です・・・

ウイキペディアで調べた結果を最初に掲載しましたが、セミタケはセミの幼虫に寄生した菌類が生長し、棍棒状の子実体が突き出て傘を開くことがないようです。それを知らなかった私の早とちりの騒動と言えそうで、気がついたら笑いが止まらなかった私です。セミ穴からキノコが出ていれば、思わずセミタケとなるのは仕方ありません・・。本当に悔しいのですがアハハと笑うしかありません。

資料には家の周りでも見られるとありますが、注意深く地面に這いつくばって調べれば発見できるのでしょうか・・?。希少な冬虫夏草の名前に惹かれて夢中になった瞬間のお粗末シリーズでした。お笑いあれ・・。


※2012年9月20日作成