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location:uchinome.jpトップ>アーカイブス山田編>1994年農耕馬・代かき体験学習 |
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東北馬力大会のまとめ文章を書きながらふと思ったことは、現代の生活の中で馬との直接的なふれあいの場はほとんど無い(無くなった)と言うことである。馬の力を一番必要とした農作業の場でも、完全に農業機械に代わってしまった今、農作業に馬の姿を求めたところで今の日本ではあり得ないことである。 そんなことを思っていたら、かつて勤務していた山田地区の小学校で農耕馬を使った代かき作業を間近に見た体験学習を思い出した。休耕田が多く見られる今の日本では、田んぼの有効活用の一つとして、子ども達に農業体験をさせようと言う学習の場が各所で見られる。 |
以前勤務していた小学校でも、山間の休耕田をお借りして餅米を植え、収穫時には餅をついて学区民の皆さんと楽しいイベントをしていました。実際の農作業には、PTAの皆さんの協力がないと出来ません。田お越しは耕耘機で掘ってもらい、その土をならす代かき作業は3年生以上の児童が田んぼに入り踏みつけてならし、その後は耕耘機でならしていました。 1994年5月13日、学校から500mほど離れた実習田に3年生以上の児童が移動しました。今は見られない農作業の再現と言うことで、NHKや岩手日報の取材がありました。馬の作業に先立ち子ども達が田んぼに入り、こなれていない土の塊を踏みつけて砕いていきます。 |
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実際の作業では、Sさんが馬の口輪につけた竹を持ち、馬を田んぼ全体に誘導して歩かせ土を砕きます。この仕事をさせ取りと言い、同じところを歩かないように平均的に田んぼを歩かせます。 馬の口輪に細長い竹竿を結んで、その端を持って馬を引き回す。これは女の子でも出来る手伝いで、じいもダポン、ダポンと馬が歩くたびに上げる泥しぶきを浴びながら一生けんめいした。時には、馬が子どもと見て言うことを聞かないときもある。馬に負けないように頑張って泥田の中を歩いたものだ。 |
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Sさんが馬の口輪につけた竹を持ち、馬を田圃全体に誘導して歩き土を砕いていきます。馬が引く馬鍬には取っ手があり、上から力を入れて田圃の土にめり込ませるようにします。この仕事は地域のお年寄りNさんです。作業のあとでお聞きしたら、「土が軟らかくて馬が早くてついて行くのが大変だった」と言います。(当時の校務日誌記録から) 子ども達も初めて見る作業の様子に驚いていました。耕耘機やトラクターが作業をするときは風景の一部として見ていますが、実際に馬と人が田圃の中で耕している姿を見て「びっくりしたー」がみんなの感想だったからです。 |
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昔は何処でも家族総出での農作業でした。大人も子どもも、作業分担に応じてがっちりと仕事をしたものです。そんな姿が見られなくなってしまった今の農作業です。私にとっても記念すべき場面ですが、こんなことがあったんだよと言う想い出の場面として、農耕馬による代かき体験学習は子ども達の心に残っていると思われます。 あれから14年ほど経ちますので、この場所に居る子ども達も25歳前後の若者になっています。機会があってこの場面をご覧になったら、当時のことを懐かしく思い出していだけると思われます。この時お世話になったSさんは、私が学校を去った翌年に40代の若さで亡くなったとお聞きしました。画像を作成しながら若いSさんの姿を思い出して、あのときはお世話になり有り難うございましたと御礼すると共に、心からご冥福をお祈り致します。(合掌) |