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昨年でしたが、釜石市公共埠頭で僚船海王丸のセイルドリルを見ました。会場では解説している放送が聞こえては居たのですが、記録をがっちりと取るのは無理でした。所々を聞きかじった程度で残念に思っていましたが、今回は目の前で繰り広げられる作業の詳細について理解することが出来ました。

船長の指示により、航海士、マストオフィサー、担当の甲板部乗組員、指示通り動く実習生が居て、全部人の手により作業が行われます。解説の方が話していましたが一切の機械を使っていません。それだけに担当者の指示が完全に実習生に伝わり、その通りの作業が進んでいくのですから、本当にセイルドリル(帆の訓練)だと言えます。実習生の皆さんは、「せーの・わっしょい」の掛け声で精神統一しながらロープを引きます。

◎実習生のこと
現在乗り込んでおります実習生は、全国五つ御座います海上技術学校の実習生91名、内女子が4名乗船しております。91名の実習生を指導し、また船を運航しております乗組員は59名、現在150名の乗組員実習生が日本丸で訓練を行い、そして生活を行っております。

白の上下の作業服、黄色の帽子を被っておりますのが実習生で御座います。ベージュの上下と腰に安全ベルト、そして肩に肩章を巻いているのが航海士、ブルーの上下の作業服、黄色の作業帽をつけているのは甲板部の乗組員で御座います。

間もなくマストに登りヤードに渡って、セイルを拡げる訓練の一の作業を開始致します。各マストには、はしご(シュラウド)のような形でマストのてっぺんまで登ることが出来ます。また、ヤードの端っこまで移動することが出来る形で登って参ります。実習生は一斉に作業を開始しております。それぞれのマスト、それぞれの人間が行うのですが、それは船長の号令いっかのもと、それぞれのマストのオフィサー、それぞれのマストを担当している甲板部の乗組員、それぞれが指示をし実習生一人一人が忠実にかつ確実に行う作業の流れで御座います。


マストの登る前の準備体操をしたり、リーダーからの指示をしっかりと聞き応答している様子が分かります。この時の航海士は女性の方でした。

◎オーダー伝達方法
船上で行われますキャプテンからのオーダー、それを伝え聞き各マストの実習生、甲板部乗組員に伝えるオーダー、そして乗組員実習生が行う報告は全て肉声で行います。各マストオフィサーだけはホイッスルを持っておりまして、止める、あるいは引くと言った笛を使うことも御座います。それ以外は全て肉声で伝える、デッキ上では大きな声で報告がされ、大きな声でオーダーがなされています。

洋上で風が強く波しぶきが強いときは、小さい声で報告をしても聞こえまさせん。そう言ったときは、思わぬ大きな事故につながります。したがって洋上でははっきりと、作業をしたならば報告をすることが大事なことになって参ります。
準備体操をする甲板部の皆さん。 航海士から指示を受けヘルメットとの確認をする実習生。 確認了解の挨拶でしょうか・・。


◎マストに登る・・・
ご覧になられて分かるように、登っていくハシゴのサイドが海側だけと言うことにお気づきでしょうか。陸側のサイドのハシゴは誰一人使っておりません。これはマストを上り下りする際には、風が吹いてくるサイドの方のハシゴを上り下りするわけです。これは高所作業の基本で、道理から考えるとハシゴに押しつけられる方向のサイドのハシゴに登っていく。風が吹いてくる方向、これを風上(ふうじょう)側と言います。風が吹き抜ける方向の側を風過側と言います。今はほとんど風が強くなくあまり意識しない様な風、4mか5mぐらいの弱い穏やかな風ですが、洋上でありますと10mから15mを越える中でも作業する、風上側と風過側ではずいぶん変わってきます。マストを上り下りする際には先ほど申しましたように、ハシゴに押しつけられるサイド、風上側を上り下りすると言った予測、安全作業の基本に則ってそれぞれ作業を行って参ります。

風を背にしてハシゴに登る、高所作業の基本です・・・とお聞きし私はぎくりとなりました。今は20mの鉄塔に登ることがないのですが、以前は少々の風でも登って作業をしていた事を思い出したからです。鉄塔は鉄骨で足場がしっかりしていますが、ロープのハシゴはグニャグニャで不安定です。慣れと言えばそれまでですが、高所作業は怖いので安全ベルトは必ず使用していました。実習生や甲板部の方々は、腰に安全ベルトは付けていますがほとんど使ってはいません。

縄ばしご(シュラウド)を最初に登る甲板部乗組員。 続いて実習生が登っていきます。


まず帆を拡げる作業の一番最初にやりますのは、帆を操るロープ類をデッキ上に整然と並べてそれらを操作する準備、それが終わったならばマストのてっぺん、帆げたヤードの端っこへ移動しまして帆を縛り付けてあるロープ(ガスケットと呼んでいる)をほどく。その作業が終わりましたならデッキ上に戻ってきて、デッキ上にあるロープを引っ張ったり伸ばしたりして帆を一枚ずつ張っていく作業を行います。

説明によるとマストのてっぺんはデッキから45mほどあり、作業する場所は高いところで35mはあります。実習生は全員裸足です。海王丸の時にお聞きしましたが、靴を履くと足の感覚が鈍りかえって危険だと言います。慣れて熟練している甲板部の方々は靴を履いていました。

私の率直な感想では、実際の帆を張る作業よりもヤード(帆げた)に括り付けている帆をほどく作業の方が迫力がありました。
ヤードから帆をほどく 1・・・一気にするすると登っていきます。 ヤードから帆をほどく 2・・・甲板部の乗組員の方がヤードの先端部まで行きます。 ヤードから帆をほどく 3・・・足場になるロープがたわんでいますね。
ヤードから帆をほどく 4・・・両足を拡げて足場を固めている様子が分かります。 ヤードから帆をほどく 5 ヤードから帆をほどく 6・・・ヤードの真下を登っていく女性実習生。
ヤードから帆をほどく 7・・・ヤードの上に立っています。 ヤードから帆をほどく 8 ヤードから帆をほどく 9・・・ロイヤルヤードの帆をほどいています。
ヤードから帆をほどく 10・・・一番重い帆、ロアヤードのフォースと呼ばれる帆をほどきます。多くの人の手が必要です。 ヤードから帆をほどく 11・・・ロアヤードの作業の拡大、重そうです。 ヤードから帆をほどく 12・・・メインますつから後ろのヤードの様子。作業する人が小さく見えます。

各マスト、先ほど皆さんがご覧になられたときからみて帆船らしく、帆がだらんとした状態になってきております。現在、すべてのセイルに乗組員・実習生が取りかかり、ほどく作業を終えた者は終わっていない作業を手伝いながら、上から下、真ん中側から外側、前から後ろ、それぞれ見渡して与えられた作業を終えて、順番にデッキ上に戻ってきます。今の状態、帆が帆げたやマストから解き放された状態をルーズ(開帆された状態)と呼んでおります。このルーズする作業を終えたならば、いったんデッキ上に戻ります。

だらんと帆が垂れ下がった状態をルーズと言うとお聞きし、辞書で正確な意味を調べてみました。ルーズ・・・だぶだぶの、ゆるんだ、固定していない・・・、と言うことでした。ふと思ったのは、この頃は廃れてきたようですがルーズソックスというのが流行りましたね・・。

ルーズされた帆 1・・・ルーズの名の通りだぶだぶの帆の状態です。 ルーズされた帆 2・・・四本のマストの様子です。
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