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        米寿の皆さんとの稲刈り作業


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秋晴れの田んぼで、小学生、米寿の方、そして委員の方々によって稲刈り作業が行われました。

5月15日のことですが、小学校の子ども達、米寿を迎えた地域の先達の皆さん、実行委員の皆さんで植えられた「陸羽132号」の苗です。奇しくもあれから132日目の9月24日、同じメンバーによる皆さんで稲刈りが行われました。機械化された農作業でなく、植えるときも刈り取るときも昔ながらの手作業になります。

特別に参加された4名の米寿を迎えられた皆さんと、孫や曾孫にあたる5・6年生の小学生が一堂に会し、手に手に鎌を持ち、一株ずつ刈り取る様子は今では見られない光景だと思います。一緒に作業した子ども達の心に、昔の稲刈り作業の大変さと、家族や地域を支えてこられた大先輩の姿が焼き付いていると思います。

秋晴れの田んぼで、子ども達と米寿の皆さんによる刈り取りの様子、刈り取った稲のまるき方(結束)、田んぼに立てられた杭に稲束をかける様子等々を画像で紹介いたします。



刈り取りを待つ田んぼの様子・・・

5月に田植えが終わった田んぼです。家の近くなので成長の様子を見ながらそばを通っていました。周囲の「ヒトメボレ」とは違った色合いに気がついていましたが、収穫間近になってすっかり倒伏していました。知人のお話ですと、「ヒトメボレ」と同じ肥料を入れたので成長し過ぎて倒伏したようだと言います。

刈り取る前に田んぼに行き、「陸羽132号」と「ヒトメボレの」稲穂の部分を比べてみました。ちょっと見には分かりませんが、「陸羽132号」の稲穂についている籾の形が丸く、数も多いことです。 「ヒトメボレ」の場合、籾の形が長く先端には細い毛がついています。専門家ではありませんので、間違っていたらお許し下さい。

下の画像の左は刈り取り田んぼの右側で、普通の「ヒトメボレ」の様子です。奥の方に開会式を行ったやぐら等が見えています。右の画像は、「陸羽132号」が植えられた田んぼでほとんど倒伏しています。
「ヒトメボレ」の田んぼの様子です。 「陸羽132号」が植えられた田んぼでほとんど倒伏しています。
刈り取った稲束を乾燥させる杭です。 刈り取った稲を杭に乗せて乾燥させるための杭です。刈り取った田んぼに杭を打ち込みます。刈り取りが終わってから数えたら、全部で39本ありました。


下の左側画像が「陸羽132号」の稲穂で、拡大すると丸みを帯びた籾であることが分かります。それにしても長い穂で、実りが多いのだなあと思いました。

右側が金札米「ヒトメボレ」の稲穂で、拡大すると籾が幾分細長くて先端に毛が生えているのが分かります。
「陸羽132号」の稲穂 金札米「ヒトメボレ」の稲穂


開会式での挨拶から・・・

刈り取り前の開会では、Hさんの進行で進められました。ここでは、実行委員長、実習田管理者、稲瀬小学校長、有限会社「たんぼ」の方々の挨拶の一部を紹介いたします。なお、聞き取りにくいところや、周囲の雑音等で正確に表記できない部分もありました。その点をお許し下さい。


実行委員長Tさん・・・

お早う御座います。事前に小学校の五六年生に現場で指導しましたが、指だけは切らないようにお願いします。今日の収穫行事に、たまたま東京からお出でになっています。この方は「有限会社たんぼ」のおにぎりやさんです。今日の日に花を添えていただき、あつく御礼申し上げます。

月一回東京で「ぬか釜の日」と言うことで、東京でもうもうとぬか釜をたきながらおにぎりを作っています。これが非常に懐かしいと言うお話を聞きました。今度の事業に、小学校が本当に献身的な協力体制を作っていただきまして感銘をしております。

本番は10月18日に式典があり、約300名ぐらいの方が参加の予定です。米で食ってきている所なのです。今、子ども達を中心にして、米作りの先輩達の伝説として、この地に残して行くことが本物の米作りではないかという感じがします。どうか怪我をしないようにお願いします。


実習田管理者Hさん・・・

これから稲刈りをしますけれども、稲刈りの注意と段取りの方をお話しをします。小学生の皆さん方には刈り取りをしていただきたいと思います。そして役員の皆様方には結束(まるきかた)の係と、ある程度刈り取りが終わりましたならば杭を突いて掛ける、そこまで役員に皆さんにお願いしたいと思います。ここに田んぼ一反歩ありますが、全て終了するまでお願いしたいと思います。

刈り取りの注意ですけれども、田んぼの方に行ってから怪我をしないような注意をしたいと思います。手前から刈り取りをした方が良いと言うことですが、子どもさん達は半分より向こうの方が刈り取りが楽なのです。こっちはプロの人達に刈ってもらわないとちょっと倒伏が激しいからです。


稲瀬小学校長先生・・・

5月の15日に植えた苗が、今日の刈り取り作業と言うことで稲刈りの日になりました。昨日は雨で心配しましたが、田んぼの方は入っても大丈夫な状態の様です。先程ご指導いただいたように、普段皆さんが見ている稲と違って丈が長い。その分重いのだと思います。

取り扱いがちょっと難しいと思いますが、怪我の無いようにして欲しいと思います。手で刈り取るという経験がないと思いますが、これまでの社会の学習・農業学習に合わせながら、今までの歴史の分も体験して欲しいなと思います。今日は六年生も特別に参加していただいています。


有限会社「たんぼ」のOさん・・・

四カ月前の五月にも一緒に田植えをさせていただいて、八十八歳の先輩の方々と小学生が一緒の田んぼに入って作業しました。良い会話が生まれて歴史を刻んでいく、代々技や気持ちを継いで行かれるんだなあと感じました。

僕は東京でごはん屋をやっています。いろんな種類のお米を使いながら十五年ぐらいやっています。始めて三年目ぐらいから十年ほどになるのですが、金札米をずーっと使っています。沢山食べ比べた中で、本当にダントツで美味しいのは金札米・・・。ここで作られてお米なので、小学生の皆さんはこのことに自信を持ってもらって「日本一なんだ」と言う自信を持って下さい。こうやって作っている所があって、作ってきてくれた先輩達が居ると言うこと・・、今日一日本当に感じてもらってください。

あちこちに田んぼがいっぱいありますが、この田んぼのお米が一番美味いと感じてもらえると思います。よそ者なのですが、本当に大好きでここに通って居ます。皆さん自信を持ってやってください。


米寿の皆さんは六名の参加予定でしたが、今日は男女二名ずつの四名の元気な皆さんでした。

5・6年生の皆さんと元気な米寿の皆さんです。 進行役のHさん
実習田管理者Hさん

実習田管理者Hさん・・・

これから稲刈りをしますけれども、小学生の皆さん方には刈り取りをしていただきたいと思います。そして役員の皆様方には結束(まるきかた)の係と、ある程度刈り取りが終わりましたならば杭を突いて掛ける、そこまで役員に皆さんにお願いしたいと思います。

刈り取りの注意ですけれども、田んぼの方に行ってから怪我をしないような注意をしたいと思います。手前から刈り取りをした方が良いと言うことですが、子どもさん達は半分より向こうの方が刈り取りが楽なのです。

実行委員長Tさん

実行委員長Tさん・・・

事前に小学校の五六年生に現場で指導しましたが、指だけは切らないようにお願いします。今日の収穫行事に、たまたま東京からお出でになっています。この方は「有限会社たんぼ」のおにぎりやさんです。今日の日に花を添えていただき、あつく御礼申し上げます。

本番は10月18日に式典があり、約300名ぐらいの方が参加の予定です。今、子ども達を中心にして、米作りの先輩達の伝説としてこの地に残して行くことが、本物の米作りではないかという感じがします。

稲瀬小学校長先生 稲瀬小学校長先生・・・

先程ご指導いただいたように、普段皆さんが見ている稲と違って丈が長い。その分重いのだと思います。取り扱いがちょっと難しいと思いますが、怪我の無いようにして欲しいと思います。

手で刈り取るという経験がないと思いますが、これまでの社会の学習・農業学習に合わせながら、今までの歴史の分も体験して欲しいなと思います。
有限会社「たんぼ」のOさん

有限会社「たんぼ」のOさん・・・

四ヶ月前の五月にも一緒に田植えをさせていただいて、八十八歳の先輩の方々と小学生が一緒の田んぼに入って作業しました。良い会話が生まれ、歴史を刻んでいく。代々技や気持ちを継いで行かれるんだなあと感じます。

僕は東京でごはん屋をやっています。いろんな種類のお米を使いながら十五年ぐらいやっていますが、本当にダントツで美味しいのは金札米・・ここで作られたお米なのです。



稲刈り作業上の注意・・・

今日は稲刈りなので手を刈らないように。手を刈らないようにするのだけれども、普通だればちゃんとまっすぐ立っているのだが、今回の稲は今みんなが食べている米の原種、一番の先祖ですから丈の長い。昔はこういう丈の長い稲なのです。

ちょっと肥料も多いんだけども、米のとれると言うことで、今日は皆さんが経験しないような、丈にすると1mもあるような長さなのです。それがこのまま立っていると楽なんだが、こういう風に倒れた状態です。これを刈り取るには非常に危険が伴ってきます。大げさなことを言うと、私の手も曲がっていますが稲刈りしたとき小指まで切ってしまった。みんなは小指を切らないように。大きくなってから役立つからね。絶対に小指を切らないようにね。

こういう様な倒れ方をしていると、絶対に小指はこういう風に持つの、見ててよ。ぎちっとだよ、マイク持つように(小指を立てる)もってはだめだよ。みんな分かったと言うことは怪我をしないと言うことだからね。そしたら必ずこういう風に持つのね、そして刈る。この刈ったのは一株、これを皆さんは五つ刈るの、一つ、二つ、三、四、五、これで一把になるの。刈ったら丁寧に置くの。そうしたら役員の皆さんがきて「わら」でまるきます。

早く稲刈りが終わったら「まるき方」を教えてもらって。まるき方は覚えれば簡単だが大変です。刈り取ったらもとを揃えておくの、そうでないと丸く人が大変だから。指を切らない様に、鎌で切った傷はなかなか治らないで痛いから。


子ども達を前にしての具体的な刈り取り方法の説明です。お聞きしながら撮影してた私も、なるほどなあと納得して見ていました。「稲刈りなので手を刈らないように・・」、Hさんは笑いながら話していますが、このことが一番大事だと思います。

一株の稲をぐいと引っ張ってみせるHさん。

倒れた稲の一株を持ち上げると、Hさんの腰よりも高い位置になります。軽く1mを越えています。

手はこうやって・・・ 手はこうやって・・・と、実際に手を開いて構えています。
間違っても、カラオケのマイクを握るようにしてはいけないよ。 間違っても、カラオケのマイクを握るようにしてはいけないよ、「小指は今に大事になるから」。聞いていた大人は笑いましたが、子ども達は分かりませんね。
株の根元をしっかり掴みます。 これが刈り取った一株です。
五株刈り取ります。

この刈ったのは一株、これを皆さんは五つ刈るの。一つ、二つ、三、四、五、これで一把になるの。刈ったら丁寧に置くの。そうしたら役員の皆さんがきて「わら」でまるきます。

田植えの時は、必ず三本の苗を植えることでした。その三本が成長するにつれて分けつし一株になります。五株ですから苗は15本ですね。実際に何本になっているか、数えるのを忘れていました。

五株を丸めて一束にしますが、Hさんではありませんがなれないと簡単には出来ませんね。かく言う私もやったことがありませんので・・。

これで一束になります。 このわらで丸きます。
根元をそろえてわらで丸きます。 なれないと簡単には出来ないよ。
鎌を手にし、自分の体験談からの注意を子ども達に話してくれたHさん。 まるき方は覚えれば簡単だが大変です。刈り取ったらもとを揃えておくの、そうでないと丸く人が大変だから。指を切らない様に、鎌で切った傷はなかなか治らないで痛いから。

鎌を手にし、自分の体験談からの注意を子ども達に話してくれたHさんです。お話をお聞きして、子ども達を思いやる細心の注意に心が温まる思いがしました。
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