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location:uchinome.jpトップ>暮らしの表情>催しアラカルト釜石埠頭・海王丸寄港その2>その3

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最後に一番下の重い横帆が拡げられます。

解説によると、この横帆は重さが2トン近くあると言います。一番大きく面積も広いのですから大変です。見ていてもすんなりと拡がらず、近くにあるロープに引っかかったりしていました。しかも後ろから浜風を受け、帆が大きくふくれてきました。このメインの横帆に限り、作業員がヤードに登り手作業で直していました。それにしてもでかい帆でした。

その後でしたが、ヤードの向き全体が修正されたように思います。最初の展帆時は船体にほぼ直角でしたが、正面に向かって右側が少し船首側に出ていたようにも思いました。不正確な判断ですが・・。
一番下の帆の展帆 1 一番下の帆の展帆 2
一番下の帆の展帆 3・・上手く拡がらないでヤード上で作業をしています。 一番下の帆の展帆 4ヤードの側に立つ人と帆の大きさ比べると、いかに大きな帆であるかが実感できます。


マストとマストの間にある縦帆が拡げられます。

縦帆の数は、船首側からミズンマストまでは4枚ずつ3カ所あります。ミズンマストとジガーマストの間が3枚と、ジガーマストに3枚の帆があり総計で18枚になります。ジガーマストの中間には、国籍をあらわす日章旗が揚がっています。
船首部の縦帆と横帆 後ろから見たミズンマストと横帆 船尾側の帆の様子


マストに登りヤードにくくられていた帆をほどき、甲板上で全員によるロープ引きの手作業で、全ての帆が開くのに40分ほどかかりました。午後1時50分過ぎ、場内放送がありました。セイルドリルをご覧になった方々へ「敬礼」の挨拶がありますとの事です。埠頭側の甲板に並び、一斉に敬礼する皆さんの表情はさわやかでした。埠頭を埋める多くの見学者がありましたが、いつまでも惜しみない拍手と「ご苦労様」と掛け声があがっていました。

ここで1時間ほどの休憩があり、午後2時45分から拡げた帆を畳む作業があるとのことでした。この帆を畳む作業は文字通り「畳帆(じょうはん)」と言われます。作業が終わった訓練生の皆さんは、船から埠頭岸壁に降りてきて記念撮影をしています。近くで見る彼らは、高校生ぐらいの若者達でした。屈託のない表情で賑やかに仲間と談笑している姿は、訓練時とは違った情を見せる一般の若者達でした。

敬礼前の緊張した様子 一斉の敬礼で挨拶する訓練生の皆さん。


青空の下、くっきりと映える姿の海王丸です。そうそう、こんな内容の放送があり慌てて船尾まで行って見た私です。

このままでは船が前に進むので、後ろからタグボートで引いています・・。帆船のスピードは、風速の向きの半分ぐらいの速度が出ます。今までの海王丸では、21ノット(時速37kmほど)が最高でした。普通は右舷後方45度に風を入れて走ります。操舵の方法によって、風上70度までは進めます。

ヨット等の操舵を見ていると、かなり傾いて走行しています。大型帆船の「海王丸」の場合、頂いた資料の写真を見ると順風満帆の状態で傾いて航海しています。
左前方からの勇姿、とにかく大きいので全体の姿を収めるのが大変です。 左前方からの縦位置画像。
帆に風を受けて前に進まないように、タグボートが山力で後ろに引いていました。 埠頭に静かに係留されている海王丸、今回一番のお気に入りです。


大型帆船・海王丸の「総帆展帆」の様子を目の辺りにしました。大型帆船「海王丸」・・、船上に張り巡らされたロープの数は・・、滑車の数は・・と色々な思いが浮かんできます。「よくからまないな・・」、一本一本のロープにそれぞれの役割機能がある。それを熟知していないと、バランスをとりながら全体を見ての総帆展帆は出来ないことです。

その場所場所での指揮系統、そして全体の指揮系統に少しの遅滞やミスは許されない。熟知した人間のなせる技の結集があればこそ、壮大な総帆展帆の姿になるのだろう。船長の経験と熟練による指揮判断、本当に素晴らしいことだと感動しました。厳しいことでしょうが、一つの祖機体である目的を達成する過程では、一人ひとりの勝手な判断や手抜きは許されない・・。そんなことを感じさせられた時間でした。

本来ならば、最後の畳帆作業まで見るのが礼儀だったでしょうが、帰り等の都合で埠頭を離れた私でした。
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