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          2008チャグチャグ馬コ


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鬼越蒼前神社から出て盛岡市に向かう馬コのパレード・・・本当は背景に岩手山がくっきりと見えるのですが厚い雲がかかっていました。

私にとって3年前に見たチャグチャグ馬コでしたが、時間的な関係から盛岡市内旭橋での撮影でした。その時以来の課題でしたが、チャグチャグ馬コの集合場所と出発点になる滝沢村鬼越蒼前神社で撮影したいなと思っていました。朝6時に家を出て高速道を走り、駐車場の関係でシャトルバスに乗り現地に着いたのが7時半頃でした。

今回は念願の鬼越蒼前神社での撮影です。神社への馬コの集合は8:30、出発は9:30で2時間以上間があるのですが、数多くの観光客やカメラマンで賑わっていました。


チャグチャグ馬コの里滝沢村・・・
滝沢村は、岩手県のほぼ中央、県都盛岡市の西部に位置し、村 として人口5万人を超え、全国第一位の人口を有する村です。みちのくの初夏風物詩として知られる「チャグチャグ馬コ」は、チャグチャグと鈴の音も軽やかに、色とりどりの装束をつけた百頭近くの馬コが、滝沢村の鬼越蒼前神社から盛岡市の八幡宮までの約1 5kmの道のりを行進します。

岩手県は古くから馬産地として知られており、農民が家族同様にして飼うようになると南部曲り屋が生まれ、こうして培われてきた愛馬精神から自然に生まれたのが、馬の守り神である「駒形神社」や「蒼前神社」をまつる信仰です。盛岡地方では滝沢村の鬼越蒼前神社かこの信仰の中心となり、端午の節句には馬を連れて蒼前神社にお参りする風習が生まれました。滝沢村近郷からたくさんの馬が神社に集まるようになると、馬具などに趣向を凝らし、装束を馬に着せる飼い主が現れました。これが「チャグチャグ馬コ」の原形になったといわれています。

この「チャグチャグ馬コ」は、岩手の初夏を彩る風物詩として全国に知られ、昭和53年には「記録すべき無形の民俗文化財」に選定され、平成8年には環境庁の「残したい日本の音風景100選」に認定されています。

昔は旧暦の5月5日、端午の節句に行われていましたが、昭和33年(1958)から新暦の六月15日に変更になりました。この日は梅雨の最中にもかかわらず、不思議と雨に見舞われる事が少なく、晴れの特異日として知られていました。平成13年からは、出馬される方々が参加しやすいようにと、また、多くの皆さんにご覧いただくために、6月の第二土曜日に行われるようになりました。  (※頂いた案内資料から)



神社前の広場は、多くの馬達が家族に手伝ってもらって装いの最中でした。各地から馬を運んできた大型トラックがならび、無心に餌を食べている馬もありますし、順序よく色々な装束を身につけている馬もありました。境内では、子ども達による滝沢駒踊りが奉納されていました。

装い・・・
「チャグチャグ」とは、馬コの首つるした大きな鳴輪(なりわ)と葬具につけられた大小の鈴が奏でる協和音を表しています。祭り当日は、早朝から家族総出で馬具や装束の取り付けが始まります。その順序には一定のしきたりがあります。最初に鞍を着けて二布ぶとんをかけ、結わえ上げて腹部を包み込みます。続いて真鍮製の鳴輪、むながい、しりがい、首よろい、まびさし、鼻かくし、耳袋と進みます。はづな、花模様の「まんじゅう」がついたおもがいなども取り付けられ、最後に吹き流しと呼ぶ垂れ布をさげます。これらの装束は古式防具の名残をとどめているといわれ、民俗学的にも貴重です。
装束の配色はそれぞれの家で趣向が凝らされ、金具や鞍などをのぞき、昔ながらに家族の手で丹精こめてつくられます。チャグチャグ馬コは手作りの祭りでもあるのです。
               (滝沢村観光協会編集の「南部盛岡 チャグチャグ馬コの記」より)
チャグチャグ馬コの装い・・・南部盛岡 チャグチャグ馬コの記から引用。
鬼越蒼前神社入り口です 装具を付ける馬コ達 1・・・馬コと馬主の語らいが聞こえてきそうです。大きな馬コの目が魅力でした。 装具を付ける馬コ達 2・・・馬コの優しい目つきに引かれます。
装具を付ける馬コ達 3・・・頑張れやと話しているのでしょうか。 装具を付ける馬コ達 4・・・一つ一つ丁寧に着飾っていきます。 装具を付ける馬コ達 5・・・ほぼ装束が終わった馬コ。
装具を付ける馬コ達 6・・・優しく語りかけていますね。 装具を付ける馬コ達 7・・・娘さんでしょうか、手のぬくもりで語りかけています。 装具を付ける馬コ達 8・・・これから15kmも歩くのでまず食べなくては。


鳥居をくぐると奥の方に鬼越蒼前神社が見えてきます。普段の日に訪れると、人影もなく静かなたたずまいを見せていますが今日はかなりの人出で混み合っています。本殿に向かう左側には、馬コの健康安全を祈願して奉納された馬コが並んでいます。

本殿正面でお賽銭を上げ中の様子を撮影してみました。天井の欄間には奉納された絵馬が飾られてあります。やっぱりここは馬コの神様なのです。神社周辺の境内では、全国馬方節大会やチビッ子相撲大会が行われるそうです。
鬼越蒼前神社 1・・・鳥居をくぐって本殿に向かいます。 鬼越蒼前神社 2・・・奉納された馬コ達です。
鬼越蒼前神社 3・・・本殿の内部の様子です。扁額や馬がありました。 鬼越蒼前神社 4・・・イベントが行われる場所で、今にここに馬コ達が勢揃いしてきます。


私が境内に入った頃、幼児達による滝沢駒踊りが奉納されていました。解説等を聞き逃したので滝沢村HPの記事から紹介してみます。

就学前の子ども達でしょうか、身体の前に馬頭を立て、ちょうど木馬の中に入った格好で踊ります。動きがはね回る子馬の仕草に似ています。チャグチャグ馬コに乗る稚児達にも負けない可愛らしさがありました。案内によると、踊りは10分ぐらいあったのですが、私は途中から見て撮影しましたので全部の場面ではありません。

滝沢駒踊り・・・
遠く南部領内では畜産がさかんに行われて、南部馬の名声を高めていたが、この踊りは青森県八戸地方から岩手県北部一帯の大野村・軽米町・岩手町にかけて伝えられている。内容は、放牧中の馬の動作を基本にして逞しさと愛らしさを巧みに表現した踊りである。古くは野馬取りを擬して始められたともいわれている。やがて江戸時代の子供たちの玩具として流行した竹馬遊びが集団化したのが現在の駒踊りの起りとなった。滝沢村の駒踊りは、大野村から大正時代に盛岡郊外の外山牧場に伝わり、昭和に入って外山から来たものである。

踊りの型は、放牧してる馬の様々な動きを捉えたもので、踊り手の駒7頭に駒曳きが1人つき、ササラと木馬の手綱についた鈴の音を響かせて踊るしぐさは、子供たちだけの踊りとしても勇ましく、また近隣市町村の馬の守護神として信仰される蒼前神社、及び馬を曳いて蒼前参りをした牛馬の無病息災を祈願するチャグチャグ馬コなど、馬にゆかりの深い滝沢村にとって貴重な文化財といえる。(※滝沢村HPの記事から)

滝沢駒踊りの子ども達 1 滝沢駒踊りの子ども達 2・・・唯一の大人の方で駒引き役とのことです。 滝沢駒踊りの子ども達 3
滝沢駒踊りの子ども達 4 滝沢駒踊りの子ども達 5・・・しぐさがすごく可愛いのです。 滝沢駒踊りの子ども達 6
滝沢駒踊りの子ども達 7 滝沢駒踊りの子ども達 8・・・笛と太鼓の大人の皆さん。 滝沢駒踊りの子ども達 9・・・木馬の中に入っている様子が分かります。
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