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         早池峰神楽・権現舞(岳神楽)


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岳神楽・権現舞、この場面は獅子頭を持って会場を清めるときの様子の一部から切り出したものです。

権現舞は神楽の最後に必ず舞われる演目で、神楽に惹かれて撮影するようになってからかなりの場面で見てきました。2009年11月に行われた石鳩岡神楽交流会で、ゲスト主演された岳神楽の皆さんによる権現舞を観たときのことです。今まで何回となく観て撮影してきましたが、舞手のお二人が獅子頭を手に舞う仕草に心を奪われて私です。

下舞がおわり、獅子頭を手にして舞ながら権現様の大きな目をきーっとにらんで目線を合わせる場面があります。今まで観ていて気にもしなかったことですが、この目線の厳しさに心を打たれた私です。たまたま撮影していた場所が左側に位置していたことから、権現様の大きな目が正面に見えていても目を合わせる舞手の方の目が見えません。

このことが心にあったこともあり、2010年1月3日早池峰神社参集殿で行われた岳神楽舞初めに出かけてきました。開演が10時半ですが、撮影場所の確保のことがあり家を出たのは6時半過ぎでした。雪がなければ70分ほどで行けるのですが、元旦から降り続いている雪が多くいつもよりは時間がかかりました。

舞初めの演目は鶏舞から始まって全部で10演目あり、最後の権現舞は11番目で始まったのが午後三時でした。舞初めの様子は後日まとめる予定ですが、ここでは17分ほどの権現舞の様子を私なりにまとめて紹介いたします。的確に表現できなかったり、間違い等があると思われますがご容赦下さい。また、正式名称は獅子頭ですが、親近感を込める意味で権現様と表現しました。

※解説の一部は、郷土文化研究会編による「早池峰神楽」の解説と、神田より子氏の書かれた文献「早池峰山伏神
  楽」を参考にしました。



神楽舞台脇にある権現様・・・

参集殿西側には舞台が設けられており、中央には二間四方の注連縄による結界が張られてあります。結界の左側に太鼓と鉦の方が座る畳が敷かれ、右側には机が置かれ権現様とあげものほめに使われる酒、米、麻縄(?)が置かれてあります。

結界の後ろには、奉納早池峯神社と書かれた神楽幕が張られてあります。
舞台右に置かれた獅子頭やあげものの色々です。


下舞・・・

権現舞は二人の舞手で舞われます。最初に「下舞」と言われる舞から始まります。石鳩岡神楽交流会で舞われた方と同じ方で、権現様を持つのが岳神楽保存会会長のOさんです。扇を手にしての舞から始まりますが、最初扇が右手にありますが、左手に移動しくるりくるりと回されます。

その後右手に持った小型の錫(?)を頭上に高く投げあげます。この間、もう一人の方が権現様を手にして、扇や錫をしっかりと見つめるような仕草が続きます。最後に腰にした刀を拝して下舞が終わります。
下舞 1 下舞 2
下舞 3 下舞 4・・・手にした錫をぽーんと上に投げ上げます。
下舞 5 下舞 6・・・扇回しの一連の動作。
下舞 7・・・腰の刀を抜き獅子頭に一礼します。 下舞 8・・・刀を会場の人に捧げます。

権現様を手にしての舞・・・

続いて権現様を手にしての舞になります。権現様の正面で手を合わせた後、左手を衣の中から権現様の中に入れて高く持ち上げます。今回は撮影場所を舞台右側に設けたこともあり、全ての動作がはっきりと見えました。今回初めて気がついたのですが、神楽幕に対して右側に権現様が位置するように舞うと言うことです。

画像では静止して見えますが、舞台上では激しい動きになります。あの大きな権現様を左手で高く持ち上げての舞です。重さがどれほどあるか分かりませんが、かなりの体力が必要だと思われます。権現様を持つOさんは、ほとんど目を閉じた状態での舞が続きますが、権現様の大きな目をしっかりと捉える場面は両目をしっかりと開いていました。私はこの場面の撮影がしたかったのです。

一連の舞が終わると、Oさんはくるりと体を衣の中に入れます。その後、「カタカタ」と歯打ちの音が響きます。
獅子頭を手にしての舞 1・・・正面で一礼します。 獅子頭を手にしての舞 2・・・獅子頭と対面しこれから一番の見せ場になります。
獅子頭を手にしての舞 3・・・このシーンを撮影するのがねらいでした。獅子頭の目は見えていません。 獅子頭を手にしての舞 4
獅子頭を手にしての舞 5 獅子頭を手にしての舞 6
獅子頭を手にしての舞 7・・・衣を肩に掛けてくるりと廻り中に入ります。 獅子頭を手にしての舞 8・・・全身が衣の中に入りました。


あげものほめ・・・

権現様を高く掲げた状態になると、あたかも上から権現様が見下ろす迫力のある場面になります。衣の中にいるOさんは左手で高く権現様を持ち上げ、右手は下あごの部分にあるはずです。右手を動かすことにより、上下の歯がぶつかり合い「カタカタ・カタカタ」と迫力とリズム感のある音が響きます。

※あげものほめ
  供えられた五穀(今回は米)、御酒などのあげものを讃め、豊穣を予祝してやります。


今回は、それ以外のものとして「麻縄束?」と思われるものがあげられていました。胴取りの方が最初に「米」をあげ、次に今日頂いた「お祝い」、そして「酒」、最後に「麻縄束」があげられました。その都度両手に掲げて権現様のまわりを歩き捧げます。うーんと思ったのは麻縄束です。今はもの凄い貴重品ですから・・・。

あげものほめ 1・・・米を捧げます。 あげものほめ 2
あげものほめ 3・・・いただいたお祝いでしょうか。 あげものほめ 4
あげものほめ 5 あげものほめ 6・・・お酒を捧げます。
あげものほめ 7・・・麻縄束を持っています。 あげものほめ 8
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