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            権現舞あれこれ


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石鳩岡弟子神楽交流会(三団体)権現舞の火伏せ舞。

2007年11月18日に行われた石鳩岡弟子神楽交流会(三団体)権現舞からの画像です。権現様が水の入った柄杓を加え、その水を撒くことで火伏せの祈祷になると言います。

権現舞は地元では山伏神楽の権現様と言い、権とは仮という意味がありまして、現というのは現す、神様が仮にこういうお姿になって皆様の前に表すことになります。最後に胎内くぐりというものを行います。権現様の胎内をくぐって、この一年の罪汚れから身体を清めて頂くというものでございます。(※会場での解説から)

私も三団体弟子神楽交流会を拝見し、三頭の権現様の迫力ある舞に圧倒されていました。また、解説の方の軽快なお話が素晴らしく、会場の皆さんも笑いながら聞き入っていました。胎内くぐりの一節です・・。

本日は特別にお客様十名ほど、ご希望される方はお受け致しますので集まって頂きたいと思います。本当は皆様を全部、権現様の胎内をくぐって頂きたいのですが、権現様もある程度体力が必要ですので・・・。大きな権現様ですから重たいのです。それを両手で上に持ち上げるのですから、体力がいることになりますね・・・。




         権現様(獅子頭)の表情

権現様(獅子頭)は、動物の獅子とは違い神様の仮の姿であり、それぞれの神社の神の仮の姿(化身)と言われています。数多くの獅子頭を見たわけではないのですが、それぞれの流派によって微妙な形の違いがあるようです。ここではたまたま撮影できた権現様の姿を紹介します。

歴史のある古い権現様は、陳列ケースや倉庫に保存されているのがほとんどです。ここに紹介する権現様は、すべて管理者から撮影許可を頂いています。

早池峰神楽の一番古い権現様。 大迫郷土文化保存伝習館に飾られている権現様

早池峰神楽の一番古い権現様と呼ばれる獅子頭、胎内に文禄四年(1595)の年号がありもっとも古いものと言います。

県内にある権現様の中で、銘のあるものとしては六番目に古い権現様です。神楽にあって権現様は、御神体であり信仰の中心です。(※解説文より)
大償神楽の権現様。 大迫郷土文化保存伝習館に飾られている権現様

早池峰大償神楽と書かれた幕がついています。これは新しいものですね。

大ヶ生山伏神楽権現様。 盛岡市大ヶ生地区に伝わる大ヶ生山伏神楽舞納めで見た権現様です。権現舞を舞った方のお話ですと、慶長年代(1600年頃)のものと言います。400年以上前の権現様と言うことになりますね。

黒森神楽御隠居様と呼ばれる権現様。 2008年1月3日、黒森神楽舞立ちで撮影したものです。神社境内にある保管倉庫が開けられ、御隠居権様と呼ばれる権現様を見ることができました。

ここには20頭の御隠居様が保存されていますが、一番古いものは南北朝初期のもの(推定)と言います。
(※頂いた資料から)
黒森神楽現役の権現様。 これが現役の権現様(獅子頭)です。黒森神社神前に祀られ、神官様の祈祷で神が降りると言います。この権現様を携えて、山麓にある山口公民館で舞い始めの儀式が行われます。

その後、今年は北回りの神楽巡業に出かけます。

我が家の権現様 1・・・正面から見ると威厳があります。 我が家に古くからある権現様です。私が小さい頃ですが、奥の部屋の床の間に桐の箱に入った状態で飾られていました。

子供の頃ですが、暗い床の間の権現様の大きな目と目線が合うと、ぎくっとして緊張したことを思い出します。

今になると可哀想だなと思うのですが、権現様は必ず神社の神前で魂を入れて、悪魔払いや五穀豊穣を祈る為に舞うのです。我が家の権現様は、神社で魂を入れてもらうことがなく、長年床の間で座っていました。

我が家の権現様 2・・・斜め横からの様子、髪は和紙を重ねたものです。 ある方に踊らせないと暴れるよと言われ、地域の神事に貸し出したこともありました。そのときですが、古くなった幕(衣の部分)を新調していただきました。

今まで飾りっぱなしにしておいた権現様です。新年の神棚に初めて飾ってみました。そのついでですが、我が家の権現様の身体検査をしました。

髪の毛は和紙をびっしり束ねたものになっていて、厚さが5センチほどあります。頭の高さは約22センチ位、あごの付け根の幅が30センチほどあります。

金色に塗られた歯の幅が22センチ、鼻の高さが16センチほどあります。そして、衣の幕を入れた重さが3.5kgほどになります。
我が家の権現様 3・・・少し口を開けました。 少し口を開けた様子です。画像でははっきりしませんが、小さな耳が麻糸でぶら下がっています。動かすと耳がぶつかり、からんからんと音がします。

はっきりわからないと思いますが、下あごの部分にひもが付いています。右手で頭を持ち、左手で下あごのひもを持って動かしますと、「かたかた」と歯を噛み鳴らす事ができます。
我が家の権現様 4・・・思いっきり口を開け頭の中が見えます 思いっきり口を開けた状態です。よその大切な権現様ではこんな事ができません。ケヤキか栗の固い木部をくりぬき、頭の下がほぼ空洞になっています。

その中に支える横木が二本あり、下の方のつかむ部分の角が取れて丸くなっていました。下の横木の両側に耳が下がっています。

子供の頃からあった権現様です。多分ですが、祖父が興味を持って手に入れたものと思いますが、100年ぐらい前のものになるのでしょうか・・。

神社で魂入れは出来ませんが、我が家の御明神様で祝詞をあげ、退屈しないようにしなければと思います。


今まで各地の神楽を鑑賞してきましたが、演目の最後には必ず権現舞が舞われます。そして、会場に居る皆さんの厄払いや安全祈願をしています。

うまく説明できませんが、今まで見てきた権現舞は権現様を携えての舞の前に、その場を清めることから始まります。笛、太鼓、鉦の囃子にあわせ扇を手にもった舞手がゆっくりとした動作で舞います。これを「下舞」と言います。

次に権現様を持った方が舞ながら権現様を高くさし上げます、そのあと幕(衣)を被り中に舞手が入ります。先ほど下舞を舞った方は衣の先端部を持ち二人一組で舞が舞われます。舞が進みますと、あの大きな歯をカタカタと噛み鳴らします。これを「歯打ち」と言います。

各流派によっての違いがありますが、このカタカタととなる歯で頭を噛んでもらうと病気予防になると言われますし、権現様の頭と被る幕の中を通ることを「胎内くぐり」と言い、清めの儀式になると言います。神楽の最後の権現舞は見ている方に人気があり、特にも「頭かじり」と「胎内くぐり」の場面では我先に出て行く方が多いのです。

最後は権現様が柄杓をくわえて水をまく動作があり、これは火災予防の「火伏せ」の儀式であると言います。これから紹介する各団体の権現舞は、「下舞」、「頭かじり」、「胎内くぐり」、「火伏せ」の順序にまとめてみました。


ここでは神楽の数ある演目の中から、権現舞だけをまとめてみました。中心になるのは2007年に撮影したものですが、それ以前に撮影したものや、これから各地の神楽を鑑賞し権現舞を増やしていきたいと思います。

権現舞タイトルの文字か、画像を直接クリックしてお入り下さい。
熊野権現開眼護摩供
南笹間山伏神楽権現舞
熊野権現開眼護摩供 南笹間山伏神楽権現舞

早池峰岳神楽権現舞
石鳩岡神楽権現舞
作成中です。しばしお待ちください。 作成中です。しばしお待ちください。

早池峰大償神楽権現舞
黒森神楽権現舞