岩手の鍾乳洞に戻る


        龍泉洞水源地帯観察会


ウチノメ屋敷 レンズの目 自然の表情 暮らしの表情 ウチノメアーカイブス
岩手の鍾乳洞 ほっづぎある記 心のオアシス  

location:uchinome.jpトップ>岩手の鍾乳洞>龍泉洞水源地帯観察会

 サイトマップ


事務所でのミーティングが有りましたが、今日の参加は何と8名のみ。男性は自分を入れて2名、女性が6名でした。講師の先生方は、日本洞穴学研究所のYさん、Sさん、Tさんの皆さんです。最初に、岩泉地区地質図を見ながら石灰岩地帯の説明がありました。以下の文章は、講師Y先生の説明を参考にして作成しました。

この地区の石灰岩は、地質学的には安家石灰岩と言われる洞穴が出来やすい石灰岩です。南北にずーっと広がっておりまして、北の方は久慈まで続いています。およそ40kmになる巨大な石灰岩です。石灰岩は水に溶けやすいので、川の働きでどんどん下に地下水脈が出来てきて、それが干上がってきて洞穴になるわけです。石灰岩地帯は地下を水が通って行く特質があります。それらの地点をこれから見ていくわけです。

丸印が水の湧き出している所(泉)です。そのほかにも真ん中辺にありまして、安家の元村付近にも沢山あります。北の方の端神(はしかみ)にも小規模ですがあります。

湧き出してくる水はどこからしみ込んでいのるか、黒い丸印が沈み込みの地点(ポノールと言う)です。沢に水が流れていてポノールのところで消える、地下に消えると言う意味です。龍泉洞から安家まで17カ所あります。更に北に行けば多くあります。それらの一部が龍泉洞の水源地帯と言うことになります。

龍泉洞に集まってくる範囲はおよそ45平方キロぐらいの面積になり、龍泉洞の集水域になります。その北には安家洞の集水域、更に北の方には氷渡洞の集水域、それからその東側にしず(清水)の泉と書いていますが、安家元村の集水域になります。更に北には、はしかみ(端神)の集水域という風に分けられます。

午前中は大体龍泉洞が中心で、午後は氷渡洞の集水域を観察したいと思います。両者を比較することによって、何故龍泉洞の水がきれいなのかと言うことが分かります。

具体的には最初に龍泉洞の中を見たいと思います。龍泉洞は最後に水が湧き出すところです。



4月中旬に来たときは、入り口からの水がすごい勢いで流れていました。今回はすっかり枯れて干上がっていて、川底のコケがきれいな緑色をしていました。
干上がった洞口の川 1 干上がった洞口の川 2

説明をされているのは、洞穴学研究所のY先生です。入り口から出る水が無かったのは、洞内に入ってみてはっきりしました。足下を流れる長命の滝や玉響きの滝の水位が下がっていましたし、前に入ったときは天井からの水滴が多くカメラが汚れましたが、今回はほとんど落ちてくる水滴はありませんでした。

ここでは地底湖のことや、水の流れを調査するために塩を水に入れて溶かし、電気抵抗の変化で流れる速さや出口を調べるとのことでした。
説明するYさん 玉響きの滝


洞穴の前を流れる清水川(地元ではしず川と呼ぶそうです)の川岸(龍泉洞側)にある流出口(湧き出し口)です。先ほどの干上がった川には水がありませんが、この岸辺の穴からはどんどん流れ出していました。また、川底からも湧き出している様子が見られました。

ここでは水の測定をし、含まれるカルシウムイオンの含量を測定しています。
清水川湧き口 川底からの湧き水


新しく発見された龍泉新洞は、8千〜1万年前にこの洞窟を使って生活していた人達が居て、その後すぐに何かの原因で口がふさがってしまった事や、重力の変化で地下の水流を調べるとの説明がありました。

龍泉洞と龍泉新洞を巡検してから、石灰岩地形を一望できるという黒森山(1107m)に向かいました。


車4台を連ねての行動でした。途中の沢で沢水の中に含まれるカルシウムイオンを測定したら、龍泉洞の水の約十分の一位でした。

当然ですが、この沢は石灰岩の地形でなく砂岩系の地層とのことでした。
黒森山に向かう
途中の沢にて 1 途中の沢にて 2

黒森山の頂上の手前です。上まで道路があるのは、ここに牧場があるからだと言います。見晴らしが良く、本当は太平洋まで見えるそうだが今日は霞んでいて見えない。

眼下の石灰岩の山との違いを説明されました。石灰岩の山は独特の地形をしていると言います。


黒森山から眺める皆さん
カルスト地形 1 カルスト地形 2


下山しながら安念沢に入りました。沢には水がありません。行けども行けども枯れていましたが、やっとの事で水の潜り口(ポノール)を見つけました。上流からの流れは少ないのですが、ここから下流は完全に水が無くなっています。ここで地下に潜った水は、龍泉洞まで続くというのですからすごいことです。

周りは採り頃の山菜だらけ、自生している大きなスズランの株もありました。それだけ自然どっぷりの場所でした。
安念沢ポノール 1 安念沢ポノール 2
                         次のページへ →