風景の表情に戻る


      巨大プロジェクト・奥州市胆沢ダム


ウチノメ屋敷 レンズの目 自然の表情 暮らしの表情 ウチノメアーカイブス
岩手の鍾乳洞 ほっづぎある記 心のオアシス  

location:uchinome.jpトップ>自然の表情>風景の表情>巨大プロジェクト・奥州市胆沢ダム

  サイトマップ


2008年1月7日のダム堰堤の様子です。深い雪の中で静かに春の来るのを待っています。

二月末に訪れた八戸市にある・通称八戸キャニオンは、何回も訪れても壮大なスケールに感動する石灰岩採掘跡の造形美です。雪が採掘段差の平面に積もり、普段は見ることの出来ない立体的な美しさを見せてくれます。先頃トップページの背景画像にしましたが、私の住む奥州市にも人工的な巨大造形美のあることを忘れていました。

それは、2005年(平成17年)秋に本格的なダム本体建設工事が開始され、2013年(平成25年)の完成を目指してダム本体の盛土工事を行っている胆沢ダムです。このダムが建設される胆沢川上流は、石淵ダム、川沿いの渓谷が見せてくれる新緑と紅葉等の撮影場所にもなっていて、毎年訪れている場所になっていました。

ダムの工事現場としての撮影は2006年(平成18年)からの記録があります。記録した画像の中から、ダム本体建設工事の場面を拾い出してみました。しかし残念ですが、2008年(平成20年)6月14日8時43分に発生した岩手県内陸南部を震源とする震度6強の地震により、胆沢ダム周辺の国道、市道の山腹崩壊等により通行不能になり現在に至っております。

この画像は2008年1月7日に訪れた現場の様子です。白一色ではっきりしませんが、平らな部分は埋め立てられたダム本体の部分です。ここでは、2006年5月・6月、2007年4月、2008年1月・4月、そして地震後の6月に撮影した様子を紹介いたします。


岩手県奥州市胆沢区に流れる胆沢川の上流には、岩手五大ダムの一つである石淵ダムがあります。石淵ダムは、洪水調節・灌漑・発電を目的として作られた多目的ダムです。日本で最初のロックフィルダムであり、1953年(昭28)に完成しました。当時の費用で13.4億円の巨費を投じ、8年の歳月をかけた難工事だったと言います。

しかし、時の経過と共に生活が豊かになった反面、水や電力の不足が懸念されることから、新たな北上川総合開発計画の一環として胆沢ダムの建設が進められています。胆沢ダムは、洪水調節・河川環境の保全・農業用水の補給・水道水の確保・発電を目的とした多目的ダムであり、完成は2013年(平成25)を予定しています。

今年度(2006年)の予算が167億円ぐらいあり、完成までの費用はコスト削減と言うことで、2240億円にならないような対策でダム建設計画を進めているとのことでした。

(※2006年に行われた胆沢ダム工事現場見学会で頂いた資料や会場での説明参照)



新しく付け替えられたR397のカーブと橋です。 2006/05/16・・・工事の様子

桜の時期が終わった頃、思いついてダム工事の現場に出かけてみました。少々曇った日でしたが、胆沢ダム展望台まで家から30分ほどの距離です。

胆沢ダム建設にかかわり、現在のR397が水没するので新しく作られた道路です。大きなループのように曲がる道路は、周囲の景色とマッチしています。

橋の下を流れるのが胆沢川で、遙か上流の方にダム本体の工事現場が見えています。

この道路を通り、トンネルをくぐると程なくして工事現場を見下ろせる胆沢ダム展望台に着きます。ここからは眼下に広がる巨大な工事の様子を見ることが出来ます。
展望台から見下ろした工事現場ほぼ全景の様子。 展望台から見下ろした工事現場ほぼ全景の様子で、ダム堰堤の基礎分の基礎の工事が行われていました。何もない山を削り取り、この部分に高さ132m、堰堤の長さ723mの巨大な建造物に変化していきます。

向こう側の削り取られた斜面の上の少し下、ここまで堰堤が造られていくのです。

堰堤部分の基礎の基礎の拡大と工事の様子です。側までは行けないので望遠レンズで切り取りました。周囲の景観と重機の大きさ・働いている人々の大きさの対比から、巨大な建造物である事がお分かりかと思います。

基本的にこの場所は胆沢川の川底であり、岩盤や砂利層であると思われます。岩盤ならば掘削し平面にしますが、砂利層であればコンクリートを打ち込み固めるのでしょう。専門的な事は分かりませんが・・・。

堰堤部分基礎の拡大と工事の様子、まだコア材料が入っていません。
川底の様子の違いで工事の内容が違うように見えました。 川底の岩盤が削られて平らになっていました。
胆沢ダムの内部構造説明 胆沢ダムの内部構造

コア・・・
水を通しにくい粘土質の土でできている。

フィルター・・・
コア(粘土)が流されないように、コア両側は砂利層で保
護している。

ロック・・・
コアやフィルターを支えるために頑丈な岩石を積み上げ
てできている。

ダムの長さ 723m   高さ  132m  
ダム堰堤の標準断面図 標準断面図

常時満水位   海抜345.6m

ダム堤頂標高 海抜364m

ダムの高さ   基礎から132m


2006/06/24 胆沢ダム工事現場見学会から・・・

ここでの画像は、2006年6月24日に行われた胆沢ダム工事見学会からの抜粋です。その時の詳しい様子はこちらからご覧下さい。丁度一カ月程前に見た様子と比較して、堰堤部分の基礎部分にコア材料が埋め込まれ始めているのが分かります。コアは粘土質で茶色なのではっきりと区別できます。 

ここでは、ダム堰堤の一番重要な基礎部分になる工事の様子をご覧下さい。

ダム展望台から見た工事の全景。 堰堤基礎部分の拡大。コア材の埋め込みは始まったばかりです。今後、工事が進むと共にこの部分の様子が変貌していきます。
ダム堰堤の崖側の様子です。斜面中央に大きな溝が造られています。 コア埋め立て部分と崖側の様子です。
ダムの心臓部とも言える、一番底になる部分の様子です。 ここはダムの心臓部とも言える、一番底になる部分の様子です。左側は山の斜面であり、中央の平らな部分は現在の胆沢川を堰き止めた堰堤部分です。

茶色に見えるのがコアと言われる粘土層であり、これを固めてどんどん高くなっていきます。

最終的には左端の上まで(高さ132m)作られ、周囲が頑丈なフィルター部とロック部に被われます。
コア部分をがっちりと固めています。 コア部分の敷設の状況です。コア材を平らに敷いて、ブルドーザーや振動ローラーを使って何層にも固めます。

元来からあった川底の岩盤との接点は、コア材を密着させるために手作業で行っていました。

コア材盛り立て作業は、つい最近始まったばかりとのことです。基礎をがっちりと固め、132mまで積み上げると言いますから、「凄いなあ・・」の言葉しか出ませんでした。


2007/04/07・・・工事の様子

雪解け後の様子を見たくなり、2007年4月7日に訪れたときの様子です。

昨年見た見学会の時と違い、周囲の岩盤に掘られた部分がコアで埋まり、今年中には平らになるなあと思いました。
雪解け後の工事の全体
堰堤部分の拡大です。中央に見える深い溝が「監査廊」とのことでした。 昨年の6月24日の様子よりも、コア部分の周囲がフィルター岩石で埋まりつつあるのがはっきりします。

コアの中央を山側に延長すると、深い溝が造られて居るのが分かります。展望台にあるダム堰堤の構造図には、「監査廊」と書かれてあります。監査とは、調べたりチェックする意味がありますので、ダム堰堤の中を漏水とかのチェックをするという意味なのかなと思いました。

かなり大きな深い溝なので、もしかしたら歩きながら人の目でチェックするのかも知れません。この場所にかかる圧力はどの位になるのだろうか・・、想像しただけで身震いがします。(本当のことは分かりませんが・・。)
2006年末でのダム堰堤盛立工事進捗図

2006年末でのダム堰堤盛立工事進捗図から

コア 26.5%・・・高さ36m、フィルター 17.6%、

ロック 25.3%で合計 24.7%・・・ほぼ四分の一を埋め立てた事になります。

                        次のページへ →