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          一関市千厩・夫婦石


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夫婦岩入り口全景です。
一関市千厩町の街中にある夫婦岩、以前にも撮影していますが天候が悪く画像化していませんでした。先頃の事でしたが、「せんまやひなまつり」に訪れた時に再度撮影してきました。夫婦岩と言いますと、仲の良く並んだ二つの石と思いたくなりますが、どうしてどうして見方によっては男女のシンボルとも言えそうな迫力のある巨岩です。

ここでは、よこしまな想いをめぐらさず太古の自然が創り上げた造形美の素晴らしさとして、しばし心に留め置いて欲しいと願います。現場の案内文を読んで、こんな形の巨石が二つ並んでいるとは、偶然にしても素晴らしいことだと思いました。先人達が千厩の宝として、壊さないように後世に伝えてきたものだといいます。


夫婦岩の由来・・・

太古北の沢、天王山を挟んで流れる大河弓手川の激流は土砂を浸蝕し、この地に花崗岩から成る巨大な男女両性の象徴が奇しくも出現した。神道も仏教もない時代、この自然の偉大な造形に我々の祖先は眼をみはり崇敬の念をもって神として祀った。

雄然たる龍頭は列強なる陽茎に支えられ天地正大の気、この地に発する観あり、男石の後ろに日本の美風を堅守し豊満にして慎ましやかな女石は、谷間の白百合の如く万人の感動をよぶ。この赤裸々な自然の成せる好一対の象徴は蓋し希有にして本邦一の景観である。千厩観光協会   (※現場にある案内板から)



夫婦岩・・・

天王山の入り口に並んでいる二つの巨石は、夫婦和合の御神体。千厩町のシンボル的存在です。男性を象徴する巨石は周囲10m、高さ5mあまりの天然御影石です。

それと寄り添うようにして女性を象徴する石が並んでいますが、その位置の配置の妙はなんともほほえましい、他に類のない見事な景観となっています。夫婦和合の神、万物創造の神とされ、全国からたくさんの男女が参拝に訪れています。(※観光協会HPより)

夫婦岩 1・・・ほぼ全体の様子です。 夫婦岩のほぼ全体の様子で、前面に見える大きな石が男石です。その左後ろにひっそりと見えるのが女石です。中央に見える石段を登り鳥居をくぐると「彌榮神社」があり、更に上の広場に出ることができます。

またここには写っていませんが、男石の右前面には「子宝地蔵」があります。

下の二つの画像は、男石を右側から見た様子と更に右横から見た様子になります。巨大な球状の花崗岩になります。
夫婦岩 2・・・斜め右方向から。 夫婦岩 3・・・右真横から。
夫婦岩 4・・・後ろの方から。 左の画像は、階段を上り男石の後ろから見た様子です。後ろから見ると、丸い球状ではなく細長く見えてきます。画像で見ると、後ろに位置する女石の方が大きいようにも見えます。



最後の三コマ目は、由来を書いた案内板と「山神・金剛山」と刻まれた巨大な石碑です。
夫婦岩 5・・・巨大な女石と前に立つ男石。 山神と金剛山の石碑


男石と女石・・・

ここでは、それぞれ二コマだけの画像で構成してあります。

最初の二コマは男石ですが、上の部分は巨大な花崗岩の丸石です。しかし、根元の部分の構造が発見当初のものとは違い、コンクリートで堅めれれてあります。周囲が10m、頭の部分の高さで5mあると言いますので、巨大な石球が浮かんでいることになります。

次の二コマは女石です。男石の後ろ側にひっそりと寄り添っています。場所換えて上から見ると、巨大な花崗岩が半分に割れぴったりとくっついています。自然の造形美に驚きます。
男石 1・・・下の岩石がコンクリートで囲われています。 男石 2・・・上の部分。

女石 1 女石 2


子宝地蔵について・・・

このお地蔵様は、子宝地蔵として、天王山に鎮座する夫婦岩と共に、古くから奉られてきました。この子宝地蔵には、夫婦岩と一緒に参拝すると、子宝に恵まれることはもちろんのこと、お産が軽く済み、また、悪阻が軽くなどの御利益があると言い伝えられており、全国からたくさんの皆さんが参拝に訪れております。

なお、隣の「おいとこ館」には、安産祈願ののお礼、夫婦岩に関わる資料の展示、また、日本一大きな参拝祈念スタンプ等を取り揃えておりますので、どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。※千厩町観光協会

子宝地蔵をよく見ると、建物の土台になっている部分も巨大な花崗岩で造られています。この土台の花崗岩が元々ここにあったものなのか、後から運ばれたものかは定かではありません。

夫婦岩と子宝地蔵 1 子宝地蔵 2


天王山公園・・・

夫婦岩の脇の階段を上ると、子宝の神が奉ってあります。そこをさらに上ると天王山公園にたどり着きます。公園からは千厩の町並みと山並みが四季の千厩を感じることが出来ます。

また、「夫婦岩観光まつり」が開催されると、公園には女性部などが手作りした夢あかりが点灯され、幻想的な世界を演出します。(※観光協会HPより)


一番上が公園広場になり、高い場所から千厩町内を見渡すことが出来ます。以前に来たときから気になっていたのですが、この広場には数個の巨大な花崗岩が埋まっています。地上に出ている部分は1m程もあるのでしょうか・・、しかし、その傾斜と地下への広がりを想像すると、ここに埋まっている花崗岩はとてつもない大きな岩石になります。

私が興味を持ったのは、この巨岩を加工しようとしたと思われる掘削の丸い穴が周囲に無数にあることでした。丸い穴の一部には、打ち込んだ鏨(たがね)と思われる鉄の棒が入った部分もあります。想像するに、この天王山全体が昔からの御神体の山であり、人々が崇め敬ってきた場所になっていると思えるからです。

そうそう、ここには夫婦岩と相性の良い「子宝明神」もありました。頑丈な格子戸があり中の様子をのぞいてびっくりします。巨大な「金精様」がどーんと置かれてあります。残念ですが、画像としては掲載いたしません。

天王山公園入り口階段 石段を上ると平坦地になり、左手には「彌榮神社」、右手には「子宝明神」が鎮座しています。「子宝明神」にはシンボルでもある巨大な金精様が祀られてあります。

この場所から更に階段を上ると、かなり広い平坦地になります。周囲には手すりがまわされ、地表には多数の花崗岩が埋もれているようです。
彌榮神社 子宝明神・・・前にある木の棒は?、右後ろにも見えていますが。
天王山公園広場からの展望 天王山公園広場から千厩町内を見渡します。

ここには花崗岩の露頭と言いますか、かなり大きな花崗岩が埋まっていました。

下の画像は、一番大きな花崗岩の周囲の様子ですが、無数の丸い掘削穴が開けられています。このすそ野の広がりから想像すると、かなり巨大な花崗岩がこの場所に埋まっていそうです。

この部分については資料等がありませんので、あくまでも私の推測であることをお断りしておきます。
埋まっている花崗岩 1 埋まっている花崗岩 2


夫婦岩・・・フリー百科事典『ウィキペディア』より

夫婦岩・夫婦石は日本各地にある奇岩・名勝の名称。二つの岩が、夫婦が寄り添うように見えることから名付けられる。海面から飛び出した岩と、山中の岩に大別できる。岩が三つ以上あって、そのうち二つだけを夫婦岩・夫婦石と呼ぶこともある。

江戸時代の浮世絵師が描くなど、三重県伊勢市二見町の二見興玉神社にある夫婦岩が古くからに知られ、一般的には「夫婦円満や家内安全」、「海上保安や大漁追福」の象徴や祈願祈念でもある。古くは古神道における磐座信仰(いわくらしんこう)といわれるものがあり、自然に存在する象徴的な場所やもののうち、特に巨石・岩や山を神体とし、神が宿る場所として信仰した。そのため注連縄を飾り、鳥居を備えたりして、そこに神が鎮座している証としている。

また、古神道や現在の神道に息づく表裏一体という概念の具現化であり、例えばこの世は、現世(うつしよ)と常世(とこよ)からなるという考えや、七福神のうち恵比寿と大黒が二柱そろって一つのものとして信仰されたり、また箸や履物を両方そろって一膳や一足という数え方も日本独特といわれる。

このことから、地蔵や道祖神において夫婦が一体となって象られたり、二つの大小の岩や石像が一対となったものが祀られている。このような夫婦信仰とも言われるものが世の中に時代とともに広まり、身近なところでは夫婦茶碗などになり、同時に戸主や家といった家族という枠組みを作る上での、子作り・子育て・子宝信仰にも深くかかわっている。

これら磐座信仰と表裏一体と夫婦信仰(夫婦和合ともいい、子孫繁栄や祖霊信仰の根幹でもある)という考えが、一体となって祀られる対象となったものが、夫婦岩である。

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