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倒木裁断 5 太い枯れ木なので、運搬するダンプにはそのままでは積まれません。はっきり覚えてはいませんが、2mほどの長さに切断したようです。ダンプには三本しか積まれなかったと思います。
倒木裁断 6

重機で持ち上げてチェンソーで切っていきます。

切断した面を見ながら思いましたが、中まで腐っている部分があり用材にはなりません。

お聞きした話ですが、チップに出来なければ薪にするしかないと言います。しかし、暖房に薪を使用する家もほとんどなく、廃材処理で焼くしかないようです。また、家の周りに植えた木(杉の木が主流)は枝が多く、用材に加工するのが難しいと言います。

倒木裁断 7 倒木裁断 8
倒木裁断 9 この部分の直径が80センチほどありました。何もなければ太い柱が何本もとれるのですが、腐っている部分ですから板にすらなりません。

昔ならいざ知らず、本当にもったいないなあと思います。
倒木裁断 10 倒れる時の支えになってくれたエノキの後ろの部分です。この場所に根元直径1.2mほどの杉の巨木が生えていました。しかし、実際に生きていた部分は巨大な幹のエノキ側の一部だけです。

普段は厚い樹皮で見えないのですが、この部分が上に伸びる木の様になり、水分や栄養分を補給する樹皮の中の幹になっていたと思われます。

切り株が二個ある様に見えますが、この部分で自立する巨大な木を支えていたのですから、いつ倒れてもおかしくない状態でした。
倒木裁断 11 枯れた杉の巨木は6本ほどに切断されていました。作業としては簡単で、重機でつかまれた杉の木を50mほど離れた田んぼ側の道路まで運びます。

頭領の仕事はエノキの枝おろしに移ります。

エノキ枝おろし 1

エノキの枝おろし・・・

巨大な枯れ木の支えになり見事に曲がってしまったエノキです。本来の姿は杉の木と並んで生えていました。

頭領の立つ場所がほぼ4m程の高さがあり、根元の太さが50センチほどあるエノキです。

それにしても、高い木へするすると登ってしまう頭領の身の軽さに驚いてしまいます。長年この道で仕事をなさってきた方ですが、熟練技とは言え見とれてしまいます。

頭領が身につけていた作業上の装備を解説してみます。一番大切なのは、腰に付けている安全ベルト、足下には生の立木に登るためのくさびともいえる金具です。

腰のベルトにぶら下げている小型のチェンソー、このチェンソーだけで枝(太い幹の部分ですが)を切り込んで降ろします。

エノキ枝おろし 2 エノキ枝おろし 3
エノキ枝おろし 4 この場所で7mほどありますが身軽に作業をします。下で見あげている方は手にロープを携えており、頭領からの指示が出るのを待っています。

ロープを固定し下で引っ張り、屋根にぶつからない様にして切り落とします。
エノキ枝おろし 5 ここまで登ると10mは越しています。枝の傾き角度、幹にがっちりとくさびを打ち付けて身体を固定している様子ははっきりと見えません。

熟練技とは言え驚くのみです。
エノキ枝おろし 6 頭領が立つ場所の幹にロープをかけて、目の高さの場所でチェンソーを使い切り落とします。

先端部の切り落としなので、下で見ながら撮影する私ははらはらしてしまいます。作業をする皆さんにとって、予定されたいつもの作業だと思います。
エノキ枝おろし 7 エノキ枝おろし 8
エノキ枝おろし 9

程なくしてばりばりドスンと先端部の枝が落下します。高さがかなりありますが、それほど太くはないので安心して見ていられました。

遠くからの撮影なのではっきりとはしませんが、屋根を滑り落ちてきました。

エノキ枝おろし 10 先端部の細い部分が切り落とされましたが、最後は南側に分岐したかなり太い枝(幹)の部分の切り落としです。

この場所はドスンと切り落とすと、トタン屋根にぶつかり屋根が破損します。重機の爪にワイヤーを掛け幹の根元に固定します。

落下する角度を見ながら、重機のオペレーターに慎重に指示を出していました。
エノキ枝おろし 11 エノキ枝おろし 12
エノキ枝おろし 13 分岐した幹を慎重に切ります。一気に全部切り落とさないで、半分ぐらい切り込みます。その後、幹の自重でばりばりと折れ込み、ワイヤーでつり上げ固定した所で切り落とします。

長年の熟練技でした。
エノキ枝おろし 14 エノキ枝おろし 15
エノキ枝おろし 16 重機で吊り上げられた幹の部分ですが、切り残した細い枝の部分がトタンに触れています。ここからは徐々に重機を下げ地面に降ろし作業が完了です。

頭領から見せてもらった足下部分の金具です。長靴の内側に固定された爪の部分で、がっちりと木に幹に食い込ませ滑り止めにします。もっと若い頃の私であれば、是非とも欲しかった枝払い用の金具です。

また秘密兵器と言いながら見せてもらったのが、ワイヤーを巻き込んだ枝払い特注の命綱でした。
枝払い専用足場金具 1 枝払い専用足場金具 2

いぐね・えぐね・・・

生活形態の変化に伴い、農村風景の中から姿をを消しつつある「いぐね・えぐね」です。少し前まではどこの家にも境界線に杉の木を植えて屋敷の風除けに役立てていました。我が家の場合も、二年ほど前に屋敷の西側に植えられていた杉の木を全部伐採しました。高齢化世帯にとって、屋敷の広い面積に散らばる杉の葉拾いは大変な作業になり、かなりの費用がかかりましたが仕方ありませんでした。

一方、お隣奥州市胆沢区では農村風景「散居の家」をキャッチフレーズに、積極的に家の周辺に木を植え昔ながらの農村風景を維持保存させています。いぐねの杉の木が生長し大きくなった時、色々な問題が発生するかもしれませんが、そこに住み生活する人達に穏やかなぬくもりの心をかもし出してくれるものと信じます。

                                                      (2014.02.22 作成)
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