三陸沿岸被災地 その2 陸中山田町・大浦に戻る

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大津波で破壊された小谷鳥海岸です。手前から向こうまで防潮堤がありました。
大浦小谷鳥海岸・・・

大浦漁港から南に2.3km向かった場所に小谷鳥集落があります。太平洋の外洋に面した風光明媚な海岸、ここは砂浜ではなく直径が5ミリほどの小石の浜です。波打ち際を歩くとめり込んで歩きにくいのですが、ちょっと時化ると外洋からのうねりが大きな波を巻き上げ「どどーん」と打ち付けます。台風接近時には、2km以上離れた住宅にもその音が聞こえたほどです。

小谷鳥海岸に向かう途中、漁村センターや大浦小学校の校定には仮設住宅がかなり建てられていました。ちょっとした峠を下ると小谷鳥海岸が見えてきますが、住宅や建物は一切ありません。

若い頃見た小谷鳥海岸には防潮堤等はありませんが、二度目の勤務時に見た海岸には集落を津波から守る400m程の防潮堤が築かれ守られていました。3月11日の大津波に襲われた小谷鳥海岸、山田町広報誌によると25m程の波高の大津波で防潮堤や防潮林、20世帯の住居や加工施設等が完全に姿を消しました。

広報誌には直後の航空写真が掲載されていますが、海岸からおよそ900m程遡上しあと少しで大浦漁港の方向に越えるところでした。900mと言う距離は、明文社発行による「東日本大震災復興支援地図」から測定してあります。瓦礫等はすでに片付いていましたが、海岸の様子は荒れ果てたままの様子であり信じられませんでした。

小谷鳥海岸 1 小谷鳥海岸を見下ろした様子・・・

以前は、海岸が見えなくなるほど巨大防潮堤があったのですが、両側の基礎分が残るのみで中央部分は流されていました。

破壊されたコンクリート堤防は見当たりません。どこに流されたのでしょうか、推定波高25mの巨大な波に直角にあたった部分は完全に破壊です。
小谷鳥海岸 2 防潮堤の基礎分からむこうの山側を見た様子です。大津波前は、この場所に400m(高さ8程)程の長い堤防がありました。

砂浜をよく見ると、明らかに堤防の壊れたコンクリートや防潮林の松の木が転がっています。また防潮堤の復旧が始まるのでしょうか、海岸でボーリング作業をしておりました。
小谷鳥海岸 3 小谷鳥海岸 4
小谷鳥海岸 5 小谷鳥海岸 6
小谷鳥漁港 1 海岸の左側を進むと、小谷鳥漁港が見えてきます。本来ならば多くの漁船等が繋留されているのですが、一隻しか見えていません。

砂浜等が無いのでコンクリート須賀が造られ、ここではユニック設備で漁船を引き上げているようでした。ユニック装置は四来基ほど見えています。

漁港の沖合にある堤防は無事だったようです。大津波の時は水中深くに位置していたので難を逃れたと思います。
小谷鳥漁港 2 小谷鳥漁港 3
埋め込まれた「漁業権基点」 岩場で撮影していたら、埋め込まれた「漁業権基点」なる銘板を見つけました。設置者は岩手県となっています。

「漁業権基点」について調べてみると、この基点は海岸の各所に設置され、自治体の漁業権の区割り等に使われているとありました。

定置網の設置を始めとして、口開け等の立ち入り区域が制限される大切なものです。私としては初めて見ました。

浜を歩く 1

海岸に降りてみる・・・

最初にも書きましたが、ここには砂浜が無く5ミリほどの小石の波打ち際になります。歩くと靴がめり込み、ざくざくと踏みしめて歩くことになります。

被災当時は瓦礫の山だったと言いますが、片付けられてきれいになっています。しかし、浜の上の方の窪地には当時のゴミ等がそのまま残っていました。

浜を歩く 2 浜を歩く 3
浜を歩く 4 小谷鳥漁港の堤防が沖の方に伸びていますが、浜への付け根の部分が流失していました。堤防壁面にはパネルが貼られてありますが、逆光部分になりはっきりとは読めません。
浜を歩く 5 沖の方に見える堤防は破壊されていますが、手前は基礎部分が流失したのみで他は被害が無かった様です。しかし、海面下を見るとコンクリートの塊等が見られ、船の接岸等は困難だと思われます。

釜石市以南の海岸は、1m以上の沈降が認められていますが、山田町ではどうなっているのでしょうか?・・。

浜には長い杉の木が転がってそのままなっています。防潮林も流失したと言いますのでその時の物なのか、他から流れてきた物なのかは定かではありません。
浜を歩く 6・・・転がっている松の木
浜を歩く 8・・・これも杉の木、左側の山から流れた基でしょうか。 浜を歩く 9・・・長い杉の木です
浜を歩く 10・・・窪地に溜まった水と漂流物。 浜の上の方で見られた窪地の様子、水溜まり(沢水が溜まった?・・)には漂流したゴミ等はそのままです。細かいところまでは手が入らないのが現状だと思われます。

天候が素晴らしく、抜けるような青空に見えています。空は良いのですが、足元の風景はこれからが復旧・復興です。一日も早いかつての風光明媚な小谷鳥海岸になって欲しいと思います。
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