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似鳥のサイトギについて・・・

最初にも触れましたが、似鳥のサイトギとは、男衆が燃え上がるサイトギの火を叩くときに生じる煙や火の粉の流れ方と、本殿祭壇に例大祭一週間前に置かれた「おこもり」と言うご飯で造られた先の尖った柱の形態変化、この二つの変化を総合判断して、神官がその年の作柄を判断する古来から伝わっている占い行事です。

ここからは、似鳥のサイトギを構成する四つの要素別にまとめて見ました。四つの要素別とは、神事(おこもり)水垢離裸参りサイトギの煙と火の粉の流れの構成になります。



18:10神事・・・

18:10頃、例大祭の神事が始まった。神社内に幕が張られ、その奥に祭壇が置かれてある。幕の内側に入るのは神官のみであり、氏子の方や総代の方は幕の前に座っています。

神事 1
神事 2 祭壇には供物があげられ、野菜等はよく見えたが肝心の「おこもり」がどれであるかは分からない。最初は赤い棒のようなものが見えたので、それかなと思ったが違うようでした。

神事の後は直会になります。よく見ると、背広姿の方と背中に「新山」「八幡宮」と書かれた半纏を着ています。
神事 3 直会が始まりました。
お酒をついでいる方、この方から色々と教えられました。 主催者の方でしょうか、神官の隣に座っておられた方です。この方から「おこもり」の撮影許可や裸参りのお話をお聞きし感謝しています。

権現舞・・・

実際にどこで舞うのか気になっていました。たまたまでしたが中を見ていたら、した舞の方が外に出てきたので「どこで舞うの、配置はどうなりますか」とお聞きしてみた。

「神社の中で舞いますよ」と具体的な配置まで教えてくれた。ネットで調べたら、「した舞の時の刀舞が凄いとお聞きしましたがやるのですか」と言うと、「そうです」とのこと。

「でも、師匠が高齢で(米寿)参加できません。私がやりますが、まだ伝授されてません・・」と笑っておられたのが印象に残りました。

権現舞 1・・・これから権現舞がを始まります。
権現舞 2・・・太鼓の方。 左手に太鼓・鉦・笛の方が座っていますが、鉦を手にしているのは中学生でした。狭い神社の本殿で舞いますので外からは良く見えません。前の方の隙間から撮影する程度だったのが残念でした。
権現舞 3・・・権現様を拝みます。 権現舞 4・・・した舞いでの扇を使った舞。
権現舞 5 ここで見た権現舞は、した舞の舞い方が私が見てきた権現舞とは違っていたように思います。断片的にしか見ることが出来なかったのですが、した舞の時に見せる刀舞いについてはほとんど撮影できません。
権現舞 6・・・首からかけていた布を鮮やかな手つきで振ります。 権現舞 7
権現舞 8 権現様(獅子頭)を携えての舞いになります。板戸一枚の隙間からの撮影ですから、ほとんど切り取り画面と同じでした。

しかし、権現様を持つ方とした舞の方との呼吸がぴたりと合い、権現様を見つめる柔和な表情に見とれていた私です。

ここでは撮影できなかったのですが、もう一人の方が出てきて、権現様に白い帯を噛ませて引いている場面も見られました。
権現舞 9 権現舞 10
権現舞 11・・・獅子頭を見つめる柔和な表情が心に残ります。 権現舞 12

「おこもり」を撮影・・・

祭壇を見ただけでは、どれが「おこもり」なのか分からなかった。と言うよりも、奥の方がよく見えないので祭壇の供物等がはっきりしないことにもありました。

19:30頃、権現舞が終了し祭壇前に誰もいなくなったので、入り口から祭壇の供物等々を撮影していました。責任者の方から、「中に入って側まで来て写して良いよ」と声をかけられました。「左端の白い尖ったものがおこもり」と教えられ、最高に嬉しくなった私でした。

祭壇にあげられた供物です。
木彫りの彫刻と赤いのはカマボコでしょうか。 三宝に立てられた五本のおこもり。
おこもり先端部の切り取り拡大、黄色い粟粒が分かります。 望遠レンズでしっかりと撮影する。ご飯を凍らせた物なのですが、正確には五穀で作られたご飯を固めて凍らせたものになります。

調べてみると五穀とは、米・麦・粟(あわ)・黍(きび)・豆のことを言います。これらを混ぜてご飯にし、柱状にして先端を尖らせたものが五本三宝に乗っています。

撮影した画像を見ると、三宝に五穀ご飯を敷き詰めその中に五本の柱を立て居るように思えます。長さは30センチ位、太さは6センチ位ありますか・・。拡大すると、粟や豆が黄色になっているので判別出来そうです。


20:10頃水垢離が始まる・・・

水垢離場で場所取りをしていたら、たまたま側におられた方が二戸市観光課の方であった。答申を受けたので、今年からがっちりと記録をとっていると話しておられた。ついでなので、二戸市のことについて色々と専門的な話をお聞きすることが出来た。九戸城のことやクロスラミナ等とのことをお聞きすることが出来ました。

今回保存すべきと言う答申がされたので記録しています。正式に指定になると、その内容を忠実に記録を起こして保存しなければならなくなるし、一切の変化や変更がこれから出来なくなるので、これも良し悪しが生じてきます。
お聞きしていて、郷土芸能や伝統行事の保存は大変だなあと改めて思い知らされました。


20:10頃・・水垢離が始まる。水垢離場の脇には社務所になるのか小さな建物があり、その中に若者達が入っていった。周囲からは「頑張れよー」の声が上がっていました。ほどなくして水垢離の儀式が始まりました。ここでの水垢離は全員が一斉に並んで水をかぶるのではなく、一人ずつ出てきて南に向かって一礼する。その方向にカメラや見る人達が並んでいます。カメラの放列は自分も含めてかなりの人達でした。

下帯一つと言うよりも、昔ながらの越中褌姿で裸足です。一礼した後、水を張った桶に手桶を入れ水を汲み上げ、一気に肩や頭の上からかぶります。中には、片手で一気に上まで持ち上げてかぶる方もあった。次々と交代して十人の男衆が水をかぶっていきます。水垢離で身を清める厳粛な瞬間でした。

待機する建物の入り口から次の方の表情が見えますが、その表情を見ていると緊張感が見ている自分にも伝わってきます。終わった方は建物に戻っていきますが、裸足なので渡り板が滑って転びそうになります。終わったので急いでいるせいか、ほとんどの方が滑って転びそうになっていた。礼に始まり水垢離を二回、気合いを入れて一気にかぶります。見ている人達から拍手と歓声が上がっていました。

水垢離 1・・・権現舞でした舞を舞った方です。手桶に水を汲みます。 水垢離 2・・・手桶の水を肩からかぶります。
水垢離 3・・・片手に手桶を持ち一気に頭からかぶっていました。 水垢離 4
水垢離 5 水垢離 6
水垢離 7・・・権現舞で獅子頭を持った方でした。 水垢離 8
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