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     イギリス海岸・護岸修復工事見学会


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川の中の仕切りに囲まれた工事現場の様子
昨年秋から二度ほど花巻市にあるイギリス海岸を訪れ、水が引いた泥岩層を撮影しサイトで紹介していた私です。宮澤賢治命名によるイギリス海岸ですが、支流の瀬川付近の泥岩層がかなり露出し観察することが出来ました。当然ですが、宮澤賢治の観察した頃とは違い、北上川の治水管理がされ流量が調整されていますので、現場にある写真のような泥岩層の露出等は見ることが出来ません。かなり水の引いている泥岩層を歩きながら、昔の風景に想いを馳せていました。

1月31日付けの地元新聞「岩手日報」を見て、思わず引きこまれた記事がありました。・・・「護岸工事を進めている花巻市上小船渡の北上川西岸のイギリス海岸で現場見学会を開く。工事に伴い川の水をせき止め、普段見られない川底の泥岩層やアケボノゾウと思われる足跡の化石なども見ることができる。見学会は明日2月1日10時から」・・・、と言うことで早速現地を訪れてきました。

家から40分ほどで行ける場所ですが、いつも利用している駐車場は工事車両とが置かれているので10分ほど離れた公園に置くことにしました。ページを編集するにあたり、再度イギリス海岸について調べ直しまとめてみました。見学会では、宮澤賢治作品に関わっての説明もありましたが、あくまでも泥岩層と足跡化石に絞ってまとめてあります。

トップの画像は、川の中の仕切りに囲まれた工事現場の様子です。高い場所から撮影しましたが、皆さんがの眺めている目線の方向に足跡化石があります。


イギリス海岸駐車場 1 イギリス海岸駐車場・・・

いつもですとのどかな川辺の駐車場ですが、雪が多く重機や砂が山積みになっていました。工事中でもあり、関係者以外は立ち入りが制限されていたようです。

散策路にもなっている堤防通路は鉄板が敷かれ、そのまま工事現場の川底まで続いています。
イギリス海岸駐車場 2 堤防通路 1
堤防通路 2 斜面を下ると工事現場になりますが、見学時間前でもあり遠くから眺めるのみです。報道関係の方でしょうか、テレビカメラを持った方が降りていました。

それにしてもすごい量の土砂を使用し仮設の重機通路を造っています。

国土交通省岩手河川局水沢出張所長挨拶・・・

本日はイギリス海岸に関心のある方、沢山集まって頂きまして有り難うございます。今回の現場見学会と言うことで説明会を開催するにあたりまして、予想よりも沢山の方にお集まり頂きまして有り難うございます。工事の概要については後で説明いたします。今回の見学会が何故今の時期に行うかと言うことですが、普段は川の底になって近寄ることも出来ない、普段見ることが出来ない、また川に降りることも出来ない川底の状況が、今回の工事ををするための締め切りを施工します。

それによって、是非この機会に皆さんにも観て頂きたいとので、今回の説明会を開かせて頂きました。後ほど工事現場の下に降りて頂きますけども、注意点については後ほど説明させて頂きたいと思います。本日一時間ほどですが、普段見られない地層等を観ていたければと思います。


宮沢賢治記念館長・・・

まず、イギリス海岸という賢治作品がございます。これは農学校の先生をやっているときに、農学校の生徒を連れてここの川に来て「海だぞー」と言うことで泳いだと言うことです。色んなエピソードがございまして、隣の女学校は夏は海浜学校に行くんだけれども、農学校の生徒は海に行けない。それでここに来て「海だぞー」と言うことで一緒に泳いだと言う賢治先生の姿が現れている作品です。

何故ここをイギリス海岸と名付けたかと言う賢治さんの思いが書かれております。ここの泥岩の色がドーバー海峡のイギリスあたりの海岸を思わせると言うことでイギリス海岸と名付けたんだよと言うことです。その中で50〜100万年ぐらい前の地質であるという見方をしております。これは今の地質年代とは見方が違います。賢治先生はここで生徒達と地質の勉強会、それから偶蹄類の標本を取ったと言うこともその中に書かれています。

これが作品を通してのイギリス海岸ですけれども、もう一つ大きな賢治作品の中に現れるのは心象風景です。なんと言ってもご承知の銀河鉄道の夜という非常に重要な地点であります。賢治さんが亡くなるまでずーっと推考を続けた作品ですが、その重要な地点プリオシン海岸がまさにここです。後ろには軽便鉄道が走っていていたということで、賢治さんの心象の重要な場所であると言うこととイギリス海岸が重なってきます。

しかも、賢治さんはこのイギリス海岸がきれいな美しいだけではなくて、修羅の場所だという位置づけをしております。これは仏教的な意味合いもありまして非常に難しいのですが、そこに鬼を観たり修羅を観たり白亜紀の爬虫類の幻想を観たり、そう言うイメージの心象の場所でもあります。

具体的な農学校の先生の場所でもあり、賢治作品の深い心象の何億年前の場所だということです。猿が石川と北上川上流からの火山灰土と、何億年も前の北上山地の泥岩がここで合流して、第三期の泥岩層になるという位置がその心象を現す場所になったんだという事だと思います。

もう一つは、賢治さんの時代には瀬川の流れが全く違っており、丁度平行に流れておりました。ここの瀬川の流れと賢治さんの時代の流れが違うと言うことをご了解頂いて、現地見学をしてして頂きたいと思います。

(※現場での記録から)

開会挨拶をされる国土交通省岩手河川局水沢出張所長 開会挨拶をされる国土交通省岩手河川局水沢出張所長です。右側でスピーカーを持っており方が現場の責任者であり、工事概要について説明されていました。
イギリス海岸について説明される宮澤賢治記念館館長

見学会の前に、改めまして賢治作品とイギリス海岸と言うことでいくつかご紹介しておきたいと思います・・・、と語られる賢治記念館館長。

イギリス海岸命名由来と心象風景の原点がこの地ににあるという説明でした。

説明を聞く見学者の皆さん。 説明会は10時開会ですが、最初に用意した資料が80部とのことで不足になり、追加、また追加で見学希望者が200名をこえていました。

さすがに若い方はあまり居らず、私年代の皆さんが多かったようです。天気も素晴らしかったので、新聞を見て多くの賢治フアンの方が訪れたと思われます。

工事概要の説明・・・

それでは簡単ですが工事の概要を説明させて頂きます。お配りしてます資料ですが、施工場所はこちらのイギリス海岸の護岸になりまして、遊歩道の下の方になります。過去の洪水とか一昨年の六月にも洪水がありまして護岸が崩れたと言うことで、その下の泥岩がだんだん浸食されて護岸が崩れたと言うことになります。

これの対策と言うことで、コンクリートの擁壁を造り守ろうと言うことで現在工事を進めているところです。擁壁の下の方に泥岩の層が広がっており、通常の工事ですとダンプとか工事用車両が入って行くと泥岩を痛めてしまいます。泥岩をなるべく傷つけないように砂を敷き、その上に鉄板を敷いて工事用車両が入っていけるように配慮しております。

その際ですが、大型土嚢を置き水が来ないように止めているのですが、水をせき止めて工事をするところを確認しておりましたところ、アケボノゾウの足跡も確認されております。今日ご覧になることが出来ますが、こういう機会じゃないと観る機会がないと思われます。是非この機会に観て頂きたいと思います。

(※現場での記録から)

工事現場に降りる 1 工事現場に下りる・・・

200名を超す方が訪れましたので、全員が入りきれなくなり半分に分けられて工事現場に降りました。

今まで見ていた場所ですが、大型重機が通行できる様に斜面に土盛りをして通路を造成し、大型土嚢を組み込んで川の流れを遮断し川底を露出させて工事をします。
工事現場に降りる 2 先頭の皆さんが一ヵ所に立ち止まり眺めています。この場所にアケボノゾウの足跡化石(窪み)があります。すごい人ですから、順番待ちの見学になります。

後半になった見学者は散策路の柵から見下ろしていました。
散策路から眺める皆さん 1 散策路から眺める皆さん 2
工事現場に降りる 3

泥岩層の上に造られた厚さ1m程のコンクリート護岸、根元の部分がすっかり浸食され浮き上がっています。

説明によると、洪水が発生し水量が多くなると川岸がさらに削られます。それを防止するためにコンクリートの擁壁を設置するとのことです。

見学現場の様子ですが、水溜まりの中を皆さんが眺めています。この場所に直径が最大で20センチ程の丸い穴が開いています。この穴が、泥岩層に残されているアケボノゾウの足跡だろうと推定されています。

工事現場に降りる 4 工事現場に降りる 5
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