潜水艦救難母艦「ちよだ」・久慈港入港に戻る

ウチノメ屋敷 レンズの目 自然の表情 暮らしの表情 ウチノメアーカイブス
岩手の鍾乳洞 岩手の蘇民祭 ほっづぎある記 心のオアシス
ドキュメント  

location:uchinome.jpトップ>暮らしの表情>催しアラカルト潜水艦救難母艦「ちよだ」・久慈港入港>その2

 サイトマップ


「ちよだ」一般公開・・・

今回の久慈港に入港した潜水艦救難母艦「ちよだ」は深海救難艇(DSRV)を積載しており、一般公開で乗艦(乗艦券不要)し見学できることを知りました。先にもふれましたが、映画等に出てくる実物を目の当たりに出来ますので期待して久慈港まで走りました。

今まで巨大船への乗艦は今回で三隻目になります。一番大きかったのは、八戸港で見て乗船した「ちきゅう」号、釜石港で見て乗船した「かいれい」です。軍艦への乗艦は今回が初めてであり、どこまで見学が許可され撮影できるのかが最大関心事でした。いつものくせで「撮影できますか?」とおたずねしたら、「ご自由にどうぞ」とのことでした。

大型船大好きなのは私だけではありません。裏方の息子もおなじなのですが、以前乗船した「ちきゅう」号とは違い軍艦です。狭い通路やタラップの移動は視覚障害者には無理と判断し、車の中での待機になりました。残念ですが仕方ありません。

ここでは、午後二時から実際に乗艦し、可能な限り撮影した画像から次の三部構成で紹介いたします。DSRVの資料画像と撮影した詳細画像、艦橋(ブリッヂ)内の様子、エンジンルームを中心にした船内の様子になります。

一般公開に併せて、バス一台の学生諸君が大挙見学に来られました。バスの名前を見て納得です。「岩手県立種市高等学校・海洋開発科」・・・全国唯一の潜水士養成課程の若い皆さんでした。私も何となく学生諸君の後を追いかけて見学コースを歩きました。何しろDSRVの職務と関係のある学科ですから、見学する方も説明する方も内容が豊富でした。


DSRVの艇内一般配置図。
DSRVの救難操作の実際。
DSRV・・・

深海救難艇(:Deep Submergence Rescue Vehicle、DSRV)は、海中で遭難・沈没した潜水艦の乗員を救助する専用の潜水艇である。

深海救難艇は救難に特化した小型潜水艇であり、そのために必要な装備を持っている。潜水艦救難艦への搭載や、空輸の後に潜水艦や船舶へ搭載する事で事故海域へ移動する。潜水艦に対する救難手段を持つ事は潜水艦乗員の士気を保つために重要である。

米国や日本の深海救難艇は相互に接続された三つの耐圧球からなり、これに外殻を張った複殻構造を持つ潜水艇である。前部耐圧球は乗員と操船設備からなり、中部耐圧球は下部に接続ハッチを持つスカートを備えた救難区画、後部耐圧球は機械室となっている。外部監視装置としてソナー、投光機、テレビカメラ、窓を備える他、必要に応じて障害物を除去出来る様にマニピュレーターを備えることもある。推進用のプロペラに加えハッチに正確に接近・接合するために前後左右にスラスターを持ち微妙な位置調整が可能となっている。機関は蓄電池により電動モーターで駆動する。このため移動は低速で、広範囲の捜索にはむかない。

(※会場で頂いた海上自衛隊発行による「ちよだ」AS-405の資料から転記)
深海潜水装置 船内に入るタラップを登り切った場所にあった深海潜水装置です。これについては説明を聞き損なったのですが、資料によると実際に潜水して救難活動をするようです。

潜水最大深度が300mとあり、すごい水圧に耐えないと救助できません。

下の画像二コマは歩きながら撮影したものです。
左のDSRVと深海潜水装置 下船する時に見た同じ場所。
DSRVの船首側 DSRVの船首側になります。真上に赤い突起部分がありますが、前方水平ソナーと説明が書かれてあります。

真横と下に穴が開いていますが、この部分の水流により位置を微妙に移動させることが出来るスラスタが組み込まれています。
説明される案内人 1

案内人の腕章を付けた方が説明をされていました。以下の説明文章は現場での記録からです。

幸いにしてDSRVが潜水艦の救助をしたことが無いのですが、過去に何度か飛行機が墜落した時など海底に潜り、飛行機の状態がどうなっているのか調べに行ったりしています。

本艦ではないのですが、呉にいる「ちはや」と言う船は、愛媛丸がハワイ沖で潜水艦とぶつかって沈んだ時の捜索に出かけたりしております。

説明される案内人 2
作業訓練中の画像を手にし、色々お話をされています。
何かご質問はと言う問いに対して「潜水能力はどれくらいですか」と誰かが質問しました。

「ちょっと深さまでは言えないのですよ・・、いっちゃうと潜水艦の能力に触れますので」。一回潜行したら四時間、実際はもっと潜行できるのですが・・。
説明される案内人 3 訓練中の隊員の心境をさりげなく話されていましたが、一歩間違うと生死に関わることになります。

私も何度か経験があるのですが、潜水艦の上でハッチを開けるということは、何かのはずみでハッチが外れることがあると、中にいる人間はそのまま助からないので、もう何とも言えない気持ちになります。

ドッキングしていても何百メーターの水圧がかかっているわけで、水圧だけでひっついています。今までそう言う事故はないのですが、そのような状態なので中にいる人間は何とも言えない状態になります。
発着架台とDSRV DSRVと一体になった装置のように見えますが、よく見ると発着架台の名称プレートが貼り付けられています。

架台の上にDSRVが一体となって乗っていますが、実際に海中に入るにはこの場所の船底が開放されそのまま海中に降ります。

一定の深度に達した所で、架台からDSRVが遭難潜水艦まで単独で移動し乗員の救出にあたります。その様子がオペレーションの図から見とれます。

下の画像は船尾の様子であり、スラスタとスクリュー見えています。
船尾の様子 1 船尾の様子 2

艦橋のプレート 艦橋(ブリッジ)内の様子

艦橋のプレートです。この真下に入り口ドアがありました。中に入る時目についたら撮影したくなりました。

最初に目についたのが艦橋操縦盤です。もっと大がかりにものと思っていましたが、一般公開できる内容はここまでなのでしょう。

艦の出入港時や、DSRV(潜水艦を救助するための機械)を使用する際に艦橋で速力の返還や主機の出力の変換ができ、バウ**スタンスラスタ(横移動やその場にとど*ための装置)の翼角(プロペラの角度*でき、それを管制出来る装置です。同じ装置はエンジンルーム内にもありました。
艦橋内の様子 1 艦橋内の様子 2
艦橋内の様子 3 艦橋からの眺めです。狭いようですが意外と広く、周囲全面が窓になっています。実際にこの場でだ輪を回し操船するのでしょう。

今になって気がつきましたが、昔のイメージの大きな舵輪が見えませんでした。今の船には大きな舵輪は無いのでしょうか。

艦橋はかなり高い場所になりますので、眼下に広がる風景は素晴らしいなと思います。
艦橋内の様子 4・・・左端の若者は種市高等学校の生徒さんです。 艦橋内の様子 5
艦橋内の様子 6・・・船首方面の俯瞰です。 艦橋から俯瞰した船首部分、以外と狭く小さく見えています。頂いた図面から換算して、艦橋の高さはおよそ15mほどありそうです。
艦橋内の様子 7・・・艦長だけが座れる責任ポスト。 最初は赤いシートの椅子が何を意味するのか分かりませんでした。説明の方が、「艦長固有の色であり、我々は絶対に座られません」と話していました。

ご自由にどうぞと言われたものの、周囲の人の視線が気になり座りませんでした。

一色艦長がここに座り、指揮系統を一切士官に任せて操船している姿が浮かびました。艦長の指揮系統は絶対でしょうから、威厳と重みのある赤い椅子でした。

休憩室 1 船内の様子から・・・

艦橋を降りた私は、種市高校の生徒さんの後に続き船内を歩きました。高い場所に移動する時のタラップの急傾斜に息が切れそうでしたが、若い皆さんに負けないように続いて歩きました。

この場所は休憩室(食堂)のようであり、乗員氏名の札が色別になっていました。賞状や盾が飾られてありました。
休憩室 2 奥の棚にあった炊飯ジャーとコーヒーメーカーです。
狭い通路 狭い通路と、あちこちがドアで仕切られていました。前を進むのが生徒さん達ですから、撮影しながら遅れないように続きました。

下の画像は、説明板に深海潜水装置DDC(T)と記されてありました。詳しいことは不明です。
エンジンルーム 1 エンジンルーム・・・

船を動かす心臓部にあたるエンジンルームです。中央上にはしごがあり、そこまで入ることが出来ました。しかし、一方通行になり生徒さん達が優先でした。

公称馬力は、ディーゼルエンジン6,000馬力×2の出力になります。両側にエンジンが置かれ、それぞれに独立したスクリューがついています。
エンジンルーム 2 エンジンルーム 3
左舷後方甲板 狭い通路と急傾斜のタラップを降りて甲板までたどり着きました。船内に入ったのがブリッジ下からでしたので、中央部のエンジンルームを見て船尾の方まで来たことになります。

どこをどのように歩いたのか、一人で歩けば迷子状態になります。先の方に見えているのが、下船タラップのようです。
敬礼をして送ってくださった曹士さん 午後二時に乗艦し、あちこち見て歩き下船したのが午後二時四二分でした。あっという間の四十分でした。今にして思うと、もっと色々可能な限り見たかったと思います。

この場で敬礼をして送ってくださった曹士さん、色々ありがとうございました。機会があったら、別の自衛艦を訪問したいなと思いました。

航海中の「ちよだ」の勇姿

航海中の「ちよだ」の勇姿・・・

入港歓迎式で一色艦長から次のお話がありました。

・・さて、ちよだでございますが、昭和六十年三月就役いたしまして艦齢二十九年を迎えたところでございます。海上自衛隊の中でも最古参の艦艇でございます。就役以来神奈川県の横須賀を母港といたしまして、文字通り潜水艦の救難活動を念頭におきまして各種訓練等に従事されました・・。

また、DSRVの説明をされていた方からも同様のお話があり、自衛隊の艦船は30年となると最古参になるのかなあと思いました。さりげないお話によると、今の「ちよだ」は退役し新しい任務の艦船が建造されるとのこと・・。真偽のほどは分かりませんが・・。
                                                   (※頂いた資料表紙画像より)

昨年は岩手の港湾に自衛隊艦船の入港がありましたが、体調不良で出かけることが出来ませんでした。今年は無理をしてでも出かける予定でいます。めったに見ることも出来ませんし、ましてや体験乗艦となると心が躍ります。

                                                       (2014.05.28 作成)

      潜水艦救難母艦「ちよだ」最初のページに戻る →