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観察メモ 2・・・

11:15、頭の先から殻が破れ新しい身体が出てくる。最初の古い殻(幼虫当時のもの)は尾の方にたぐり寄せられ、どんどんと新しい蛹の身体が出てくる。たぐり寄せられた殻は尾の付け根で丸め込まれ、最後はぽとんと身体から落ちていった。

ここら辺は見ている自分がかなり興奮していることが分かる。何しろ始めた目の当たりにした蛹の誕生の瞬間である。知らず知らずに頑張れと声を掛けている自分がいた。初めて見た蛹誕生の瞬間であり、最後はぴくりとも動かなくなった。蛹も疲れるのだろうなあ。気がついたら11:19、まだ完全にスリムな蛹の身体にはにはなりきれないので、腹部は丸々と太っている。これから体内の余計な水分は尿として出され、スリムな身体になるはずである。

12:25いつも見る細長い蛹になっていた。ドラマの始まりは三時間前、一番の見せ場である身体が出てくるクライマックスは15分ほどになる。

蛹の身体が出てくる  1 蛹の身体が出てくる・・・

初めて見る貴重な瞬間の連続でした。身体がどのように出てくるのか全く知らなかったので、身体の変化から目を離せなくなりました。そして、シャッターを押す瞬間もです。

セミなどのように背中が割れるのかと思っていました。例えるならば、靴下をまくって脱ぐ動作に似ていました。
蛹の身体が出てくる 2 頭の先端が割れて、そこから押し出されるように身体が出て来ました。蠕動運動のようにと書きましたが、まさにその通りであり、幼虫当時の殻がまくり込まれて尾の方にたぐり込まれていきます。

画像数がかなりありますが、動画を意識して構成してみました。
蛹の身体が出てくる 3 蛹の身体が出てくる 4
蛹の身体が出てくる 5 頭が出ると、あれれと言う間に殻が割れて蛹の身体が出てきました。身体を支えている糸と、脚の位置のずれなどから動きが判断出来ます。
蛹の身体が出てくる 6 蛹の身体が出てくる 7
蛹の身体が出てくる 8 蛹の身体が出てくる 9

殻がたぐり寄せられる 1 ここからは後半に入り、出てきた蛹の身体の位置と、尾の方へまくり込まれた幼虫当時の殻(皮膚)の移動を確認して下さい。

画像数が多いのですがご容赦を・・。
殻がたぐり寄せられる 2 殻がたぐり寄せられる 3
殻がたぐり寄せられる 4 殻がたぐり寄せられる 5
殻がたぐり寄せられる 6 殻がたぐり寄せられる 7
殻がたぐり寄せられる 8 殻がたぐり寄せられる 9
殻がたぐり寄せられる 10 尾の方へとたぐり込まれた幼虫当時の殻(皮膚)は、すっかりたたみ込まれ尾の方でまとめられます。

頭の皮膚の色と身体の皮膚の色が対称的に違います。
殻がたぐり寄せられる 11 殻がたぐり寄せられる 12
殻がぽとりと落ちる 私が見ていた最後の画像で、次の瞬間にはポトンと下に落ちていきました。あれれと言う間にです。うまい具合に落ち込んでいく瞬間が記録出来ました。

メモにも書きましたが、ここまで息をするのを忘れるくらい夢中になっていました。
蛹の原形 1 すっきりとした出来たての蛹です。まだからだが柔らかく触れることが出来ませんし、身体全体が幼虫当時の大きさ(太さ)と変わりません。

蛹の原形 2 蛹の姿に変化・・・

すでに蛹の形にはなっていますが、まだ身体全体の太さが変化していません。

丸かった身体や尾の部分が細くなり、尖った形に変化していきます。
蛹の原形 3 蛹の原形 4
蛹の原形 5 蛹の原形 6
蛹の原形 7 身体がスリムになり、尾の方が細く尖ってきました。見ていない時に余分な体液(尿として排出)を尻から出したはずですが、残念ですが気がつかず撮影していません。

完成した蛹 1 完成した蛹・・・

やっと全体が細長くなり、身体が曲がっていつも見られる蛹になりました。まだ出来たばかりなので緑色をしていますが、やがて茶色ぽくなります。

羽化する時は中の羽根の色が見えてくるので、全体が黒っぽくなってきます。これから寒くなるので、家の中ではともかく外では羽化は無理です。
完成した蛹 2 頭の部分の拡大です。角のように見えるのですが、真横からなので尖った状態だけでした。複眼等もはっきりしていません。
完成した蛹 3 身体が外側に反るように曲がり、尾の先端部が尖っています。
完成した蛹 4 これで完成です。後はいつ羽化出来るのか、今後の気温等との相談です。
抜け殻 真下から 抜け殻の全体像・・・

折りたたまれていますが、伸ばすことが出来れば蛹全体の大きさを超えます。

最初から、真下から、真上から、真横からの画像になります。さすがに固い成分と見えて、頭の部分は折りたたまれません。

縮まった抜け殻の表面には、幼虫当時の模様が見えています。
抜け殻 真上から 抜け殻 真横から

おわりに・・・

今年は、例年にないほどアゲハ幼虫に魅せられたと言えます。ご覧になった皆さんは、むさ苦しい、毛こそありませんが、間違いなく毛のない毛虫と言える幼虫です。ガラス水槽には、まだ蛹になれないでいる五齢幼虫が数匹います。日に日に寒くなっていく秋の日です。仮に蛹になれたたとしても、その先は不安要素がつきまとい成虫にはなれないと思われます。

その後同じような蛹になる瞬間を、水槽の中で四頭以上見てきまさいたが回を重ねるにつれて当たり前の事になり、動きが予想できるようになりました。やはり最初の変化が一番の見せ場であり、もの凄く興奮したと言えます。

最後の画像は、幼虫頭部の拡大です。昆虫の変態の変化は、脳から分泌されるほるもんです・・、と教えて下さった学生当時の教授の話を思い出したので切り取り画像にしてみました。今ならさしずめプログラミングされた「DNA」と言うことになります。

昆虫のこの様な変化、幼虫、蛹、成虫と身体の組織がそれぞれの段階で見事に変化していく。この変化は完全変態と言われるものですが、一体この変化の源は何なのだろう。学生時代の事ですが、昆虫学の教授にお聞きしたら、「それは全て脳から分泌されるホルモンの働きです」。その当時は「そうかホルモンか」と理解して来たつもりでした。今なればさしずめ、全ての細胞に仕組まれている「DNA」の働きであると言えそうです。

それにしても、アゲハの幼虫ならず自分の身体も含めて、生物の身体の神秘性とは分からないことだらけであると言えます。分からないから学問が進歩するする・・、60年前に学んだ昆虫学や発生学を思い出していました。

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