昆虫の表情に戻る


          空蝉・せみの抜け殻


     

location:uchinome.jpトップ>自然の表情昆虫の表情>空蝉・せみの抜け殻

 サイトマップ


葉にしがみついている頭部の様子です。頭の様子ががっちりと鎧に囲われている感じになります。
空蝉・せみの抜け殻・・・

昨年の夏、採集して玄関口に置いていたセミの抜け殻を見ていたら、私が愛読している佐伯泰英氏の著作「居眠り磐音江戸双紙」の内容を思い出しました。空蝉ノ念(45巻)の文章に、・・・老い紅葉にしがみついている空蝉の姿を、主人公に対決する老武芸者の生き様に思えます。・・・かさかさに乾いて干からびていた。だが、形をしっかりと保ち、空蝉の脚は老樹の木肌をしっかりと掴んで留まっていた。蝉の一生はわずか数日だった。脱皮した蝉はとっくにこの世から消えていたが、抜け殻は執念を見せて、「生の名残り」を保っていた・・・。

多分アブラゼミの抜け殻だと思いますが、一冬家の中で過ごした空蝉を改めてじっくり見ていると不思議な気持ちになります。厳しい冬が過ぎ去り春ちかしの日差しにつられ、家の周辺で昨年の空蝉を探してた見ましたが自然状態での保存は難しく見つけることが出来ませんでした。

何故セミだけが抜け殻として別名が認知されているのか、他の昆虫だってサナギからの抜け殻が沢山あります。昆虫でなくても、ヘビの脱皮の抜け殻があります。これはあくまでも抜け殻であって他の名前(空ヘビとか)がありません。

ここでは、昨年夏にマクロ撮影で接近して画像化した中から紹介します。トップの画像は、葉にしがみついている頭部の様子です。頭の様子ががっちりと鎧に囲われている感じになります。羽化する時、細かい部分もそっくりと殻から出て成虫の形が作られていきます。見ていて飽きない生命の神秘とも言えます。

                                                       2015.03.06 作成

せみのぬけがら 1 頭部正面の様子・・・

一対の目と触角、顔の中央にぶら下がる樹液を吸い出す口吻が見えています。
せみのぬけがら 2 少し上の方向からの撮影・・・

身体が出てきた背中の裂け目が見えています。長い地中生活で土を掘り動き回るために、前肢が逞しい造りになっています。
せみのぬけがら 3 身体側面の様子・・・

トップの画像原画ですが、逞しい脚で葉にしがみついている様子です。撮影するアングルや方向を変えてあります。

手にすると柔らかいので壊れてしまいます。このままの形を保存できたら良いなあと思います。
せみのぬけがら 4 せみのぬけがら 5
せみのぬけがら 6 背部の様子・・・

身体の出た後が、背中の割れ目になって見えています。ここから反り返るようにして頭部が出て、羽化が完了します。アングルと方向を変化させてあります。
せみのぬけがら 7 せみのぬけがら 8

セミの抜け殻を「空蝉(うつせみ)」と言いますが、単なる抜け殻というのであればヘビの抜け殻を思い出します。田んぼの中にある我が家には、何匹かのヘビが住み着いており、時々見つかるのが大きな抜け殻です。あたかも靴下を脱ぎ捨てたと同じように見えます。見事な抜け殻、後日展開して貼り付け撮影してみたいなと思います。


呼び名・・・

日本ではセミの幼虫または、その抜け殻について、全国共通の名称は存在しないが、多くの方言で成虫と区別する名称が存在する。一方「空蝉(うつせみ)」はセミの抜け殻の古語である。また、セミの抜け殻を蛻(もぬけ)と呼ぶこともあるが。この言葉はヘビなど脱皮をする動物全般の抜け殻を指しセミに限らないほか、現在は専ら『蛻の殻』という慣用句として用いることが殆どである。

日本では、地上に出ると短期間で死んでいくセミは、古来より感動と無常観を呼び起こさせ「もののあはれ」の代表だった。蝉の抜け殻を空蝉(うつせみ)と呼んで、現身(うつしみ)と連して考えたものである。珍しくはあるが、阿波の由岐氏などがセミの家紋を用いている。
                                                         ※ウイキペディアより