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          花巻市・イギリス海岸


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9月1日の瀬川と北上川の合流点にある中州の様子。泥岩層の中州がはっきりと見えていました。

八月の末頃、盛岡市に向かうときのことでした。北上市黒岩地区に入り北上川を見たら、連日の猛暑でかなり水位が減り普段は見られない川底が見えています。この時ひょいと心に浮かんだのが、花巻市にある宮澤賢治命名によるイギリス海岸のことでした。

宮澤賢治が命名したイギリス海岸については、子どもの頃から知ってはいましたが実際に出かけて見たことはありませんでした。おぼろげに記憶していた場所は、遠野方面に向かう朝日橋上流の川底だと思い込んでいた私です。午後四時を過ぎていましたが、北上川に架かる朝日橋(花巻市街側)たもとに停車しました。はっきりと「イギリス海岸入り口」の表示があるのですが、車で入られない堤防のサイクリング道路になっています。朝日橋の南側から河川敷に降り、道なりに走りましたが行けども行けどもそのような場所は見つけられません。

花巻市の地図を出し詳細部分を調べたら、かなり上流方向に入り口の表示があることを確認しました。何とか駐車場に車を入れ、堤防から川底を眺めてみました。すでに何台かの車が止まっており、訪れる方も居られます。川底を眺めたのですが、それらしき様子は見られません。案内図を見てあれれとなりました。ここから散策路を200mほど上流に向かわなくてはならなかったからです。


イギリス海岸・・・

猿ヶ石川と北上川が合流する西岸で水が引くと白い泥岩が露出します。それがイギリスのドーバー海峡に似ていることから、賢治はイギリス海岸と名付けました。渇水期には、長い期間の増水浸食作用により出来た、細長い溝状と壺穴状の泥岩層の背を見せます。ここから賢治は、生徒達とバタグルミの化石や第三紀偶蹄類の足跡を見つけました。                                                (※駐車場モニュメント画像から)

       
トップの画像は、9月1日に撮影した瀬川と北上川合流点にある中州(泥岩層)の様子です。地方新聞にイギリス海岸の記事があり早速訪れました。一週間ほど前より水が引き川底はっきり見えています。再度訪れたときの様子と合わせてページを作成しましたが、モニュメントに刻まれた画像と文章を読んでいたらはっとなりました。

宮澤賢治の精神の原風景がイギリス海岸にあったことを知った私は、慌てて9月11日に訪れてモニュメントの詳細を撮影してきました。このページの構成は、現場を三回訪れた内容をまとめて作成してあります。撮影日により色調等の違いがありますがご了承下さい。

                                                      (2012.09.12 作成)



道路からの入り口

入り口の様子

R4号花巻駅口交叉点から東に向かう道路を進むと、イギリス海岸入り口の表示があり、その側には大きな看板があります。

入り口案内看板 案内看板

花巻水辺プラザイギリス海岸地区案合図と書かれた看板です。

イギリス海岸地区案内図 看板拡大図

拡大すると、周辺の詳細内容と通行区分がはっきりします。

花巻水辺プラザイギリス海岸地区案合図

駐車場にある看板からの切り出しです。赤く書かれた現在地には、独特の三本の石碑があり、イギリス海岸についての説明と1970年代に撮影された画像がパネルに印刷されてあります。入り口にある案内図と内容的に同じですが、作成が新しので切り出してみました。
花巻水辺プラザイギリス海岸地区案内図

石畳道路 駐車場に入る

道路から駐車場入り口までは石畳道路になっており、北上川堤防は「歩行者自転車専用道 賢治さんと歩く心象ロード」になっています。

直進すると駐車場になります。
駐車場の様子 堤防から見た駐車場です。多くは置けませんが、入り口付近やその周辺に大きな駐車場があります。

駐車場北上川沿いに、モニュメントの石柱や案内看板が立っています。

川辺に立つモニュメント

駐車場北上川沿いに、三本の石柱が立っています。花崗岩の石柱を上の方で切断し、その下にイギリス海岸に関わる画像が印刷され文字が書かれてあります。最初に訪れたときはさほど気にしなかったのですが、画像に書かれてある文章を読んでいる内に詳細を知りたくなり三度目の訪問になりました。

下の画像左側は、最初に撮影したもので駐車場側の様子です。右側は北上川から見た様子になります。文字が確認できる距離からの撮影になりましたが、クモの巣やホコリ等がついていたのできれいに取り払ってから撮影しました。合計で12の画像がありますが、イギリス海岸の様子と文字の部分を中心に選んでいます。

                                                           (※9月11日撮影)

モニュメント 1・・・駐車場側から モニュメント 2・・・北上川水辺から
モニュメント画像 1 イギリス海岸

ここは、賢治さんにとって興味の尽きぬ場面で、思い立つと夜中でもここに訪れています。沢山の作品がこの情景をモチーフとして描かれています。

川面を渡る風、ゆったりと流れる北上川、青い空と白い泥岩に外国の風景を思い浮かべ、夜空の天の川と北上川の重なりから「銀河鉄道」のイメージを膨らませました。

賢治さんにとって、ここイギリス海岸は身近に「異界」を感じるイーハトーブの入り口なのです。

農学校の生徒と遊び、亡き妹トシと交信し、時を超え恐竜時代に跳躍し、見えないものに触られる場所なのです。
モニュメント画像 2 賢治さんは北上川の鈍く光る流れを、一秒九トンの針を流していると詩の中で詠んでいます。なるほど、川の流れは光る針の束が連なって流れているように見えます。

川が一秒九噸の針を流していゐて 鷺がたくさん東に飛んだ 「詩 開墾」
モニュメント画像 3 イギリス海岸

ここは、猿ヶ石川と北上川が合流する西岸で水が引くと白い泥岩が露出します。それがイギリスのドーバー海峡に似ていることから、賢治はイギリス海岸と名付けました。

第三紀の頃は海の渚であったと推定され、賢治は修羅の渚と詩っています。
モニュメント画像 4 賢治はこの場所を好んでいました。夏の夜空に南北に流れる天の川と地上を流れる北上川の間を小さくてたよりない軽便鉄道が橋を渡って行きました。

そんな光景から、不思議な名作「銀河鉄道の夜」が生まれました。
モニュメント画像 5 渇水期には、長い期間の増水浸食作用により出来た、細長い溝状と壺穴状の泥岩層の背を見せます。

ここから賢治は、生徒達とバタグルミの化石や第三紀偶蹄類の足跡を見つけました。
駐車場案内板 駐車場の案内板

イギリス海岸、イーハトーブの風景地、イギリス海岸のバタグルミの説明が書かれています。
1970年代のイギリス海岸風景 イギリス海岸風景

1970年代に宮澤賢治の実弟「宮澤清六」氏の撮影画像

駐車場川辺から 1

駐車場川辺から

駐車場川辺から見た北上川です。水辺を見ながら泥岩層を確認しました。

白い崖は泥岩の乾燥した様子であり、良く見たら浸食している川底も分かります。(※9月11日撮影)

駐車場川辺から 2 駐車場川辺から 3・・・溝状の泥岩層の部分

散策路 1 散策路

駐車場から上流方向に散策路があり、瀬川との合流点までは200mほど歩きます。上流に向かうにつれて合流点が見えてきます。合流点には中州(泥岩層の岩)が見えていました。

瀬川との合流点には階段状の石造りになっており、散策路の終点として腰を下ろして眺めることが出来ます。

この画像は8月27日に撮影したものですが、それほど水が引いて居らず川底の泥岩層ははっきりしません。時刻は午後四時過ぎでした。
散策路 2 散策路 3
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