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         2012紅葉の葛根田渓谷


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渓谷入り口にある玄武洞の上流から見た様子

葛根田渓谷・・・

先頃のテレビ番組で、岩手山麓にある葛根田渓谷の紅葉が見頃になっていると報じられました。たまたまですが、翌日は盛岡市に出かける用事があり午前中に現地まで走りました。家から東北道を利用すると、渓流の入り口にあたる玄武洞まで90分ほどで到着です。

渓谷入り口は網張り温泉口になりますが、天気に恵まれ同じ目的の方々の車が多くなっていました。ここから渓流沿いに進むと、玄武洞、鳥越の滝、滝の上温泉、終点は葛根田地熱発電所までおよそ10km程のドライブになります。途中まではセンターラインが整備された道路ですが、それ以外はかなり狭い部分もある渓谷沿いの道路になります。あちこちに待避所があり、お互いに注意しあって走行していました。

今回のメインは紅葉散策ですが、私の最終目的は地熱発電所にありました。そこまでの渓流と紅葉の様子を紹介いたします。晴れ上がった青空に映える紅葉は最高であり、正直の所、今まで撮影してきた渓谷の中では最高であったと思います。

トップの画像は、渓谷入り口にある玄武洞の上流から見た様子です。



玄武洞・・・

私が玄武洞を知ったのは昭和30年代初めの学生時代のことです。岩手山登山口の一つでもある網張り温泉口から西に少し入った場所にありました。学校現場に勤めるようになった頃、盛岡市太田地区からはそれほど遠くない場所でもあり何回か訪れています。

最初に訪れたのは今から50年以上も前のことですが、洞穴と言うよりも玄武岩柱状節理の基部が崩れ落ち、渓流に凹んだ部分が生じ洞窟のように見えていたことから命名されたものです。

葛根田川の左岸に、幅160m、高さ70mの断崖が続いている。網張火山初期の噴火によって流れた溶岩が造り出したと言われる柱状節理が見事で、天然の造形美には感嘆するばかりだ。背景に重なり合う山が、春の新緑、秋の紅葉を際立たせる。流れの色は透明というよりエメラルドグリーンに近い。朝の木漏れ日に輝く瞬間の美しさは格別だ。

「葛根田の大岩屋」と呼ばれ国の天然記念物(*特別天然記念物)として指定されているが、平成10年9月の地震により崩落してしまった。                                                                                                                     (雫石町HPより)

崩落前の玄武洞と比較するため、50年前に撮影したカラースライドを探したらその様子がはっきりと見られました。凹んだ部分の奥行きと高さは不明ですが、頭上に張り出し威圧感を与える窪みであったと思いだしています。このカラースライド、少々カビ等がありますがそれほど退色していないので後日紹介したいと思います。

玄武洞駐車場から 1 玄武洞前駐車場・・・

網張り温泉入り口から葛根田川沿いに進むと、左側の小高い場所に駐車場があります。崩落以前は立ち入り禁止の金網はありませんでしたが、危険であると言うことから背の高い金網が張られています。

駐車場からは玄武洞(窪みが僅かに残っている)の切り立った崖と柱状節理の部分が見られます。切り立った崖と紅葉、そして澄み切った青空、眺めは最高でした。
玄武洞駐車場から 2 駐車場の柵ぎりぎりから見下ろした様子です。左側に進むと滝の上温泉方面、地熱発電所へと続きます。

画面中央右側に凹んだ部分がありますが、崩落後に残った窪みの部分になります。この上の崖が地震で崩落し、以前の様子は伺えません。
玄武洞駐車場から 3 網張温泉口の方向になります。画面左中央部に柱状の岩石が見えていますが、これが玄武岩柱状節理と言われる部分です。

この駐車場には、玄武洞に関する案内板を見つけることが出来ませんでした。せっかくの景観地ですから、案内板が欲しいところです。
葛根田川上流 1 駐車場から出て少し上流に進むと、路肩が広くなり車を置けました。そして、駐車場付近にあった背の高い金網も張られていません。

その場所から葛根田川に降りてみました。現在は水流が少ないのですが、急激な増水に注意してくださいと看板が立っています。

長靴を履き渓流に降り、流れまで行き上流方向を眺めました。
葛根田川上流 2 同じ場所からの上流の様子です。渓流の対岸、南向き斜面はきれいな彩りでした。

玄武洞が見える場所まで河原を下りました。角の取れた丸い大小様々な石が転がっています。足を取られないように気をつけて下流に向かいました。滑ることはないのですが、カメラを持っての河原下りは注意が必要です。

下の画像は下流の様子になります。玄武洞(画面中央の凹んだ部分)の近くまでは立ち入られませんが、何とか様子が分かる場所でストップです。
葛根田川下流 1 葛根田川下流 2
葛根田川下流 3 近寄るのはこれが限界です。切り立った崖の下がくびれ込んでいます。崩落前は、ここに洞穴と似たような食い込みがありました。

崖の上の紅葉、本当に今が見頃でした。我が家の子ども達が幼い頃、この河原近くでバーベキューを楽しんだことがあります。今は亡き父母も一緒でした。

葛根田地熱発電所・・・

玄武洞から8km程上流まで進むと、道路が閉鎖され上流には進めなくなります。この場所に東北電力株式会社が経営する「葛根田地熱発電所」がありました。火山に恵まれた岩手には二ヵ所の地熱発電所があり、一つは八幡平市にある松川地熱発電所で何度も訪れています。二つめの葛根田地熱発電所は、訪れるのが今回が初めてのことになります。資料によると、開設が昭和53年(1978)5月26日となっていました。

青空に浮かび上がる水蒸気と渓谷の紅葉が、何とも言われない趣をかもし出しています。画面からは伺えませんが、排気塔から出る水蒸気のもの凄い音が耳に突き刺さるほどの迫力がありました。


葛根田地熱発電所は、東北電力が管理運営する地熱発電所で岩手県雫石町に位置し、東北水力地熱が提供する蒸気を利用している。

発電設備:総出力:80,000kW[1]
1号機:定格出力50,000kW 営業運転開始:1978年(昭和53年)5月26日

2号機:定格出力30,000kW 営業運転開始:1996年(平成8年)3月1日                                                       (※ウィキペディアより)

葛根田地熱発電所 1 道路の突き当たりで車を止め、登ってきた坂道を見下ろしました。左側の配管(冷却のための送水管と思えます)が上流まで続き、右側にはあちこちから噴気の水蒸気が見えます。

行き止まりなので進めないのですが、右上を見上げると四角の建物がありました。多分事務所だと思われます。後から来られた方々が上の方に進んでいきますので、私も道なりに斜面道路を進みました。
葛根田地熱発電所 2 葛根田地熱発電所 3
葛根田地熱発電所 4 道路を上りながら見た噴気の様子です。あちこちから高熱の水蒸気が噴きだし、立ち入り禁止になっています。

この場所で何をしているのかは分かりませんが、高熱の水蒸気か冷却水の配管だと思います。

八幡平の火山活動を思いだしていました。
葛根田地熱発電所 5 葛根田地熱発電所 6
葛根田地熱発電所 7 坂道を登る途中にゲートがあり、これより先は立ち入り禁止です。注意書きがあり、電話で確認し許可を受けた方しか入られません。

松川の地熱発電所には見学場所と資料室があり、施設の解説や詳細の資料等を頂けました。ここでも見学できるものと期待しましたが、危険なので立ち入り禁止となっているので仕方ありません。

下の画像は、引き返す途中の道路から見下ろした様子です。冷却水の配管が上流から下流まで続いています。
葛根田地熱発電所 8 葛根田地熱発電所 9
葛根田地熱発電所 10 道路脇の冷却水配管が下まで続きます。画面中央奥に水蒸気が見えていますが、発電所のある場所です。
葛根田地熱発電所 11 松川地熱発電所にもありましたが、高圧高温の蒸気の流れるパイプが見られます。はっきりとしたことは分かりませんが、この近くに蒸気タービンと発電機があります。
葛根田地熱発電所 12 二本の排気筒から、耳をふさぎたくなる音を出しながら蒸気が出ています。周囲の山間の紅葉と水蒸気、そして、吸い込まれるような青空、見ていて飽きない迫力がありました。息子が撮影した一号機の様子です。
http://youtu.be/IudYw7vdVXI


下の画像は縦位置にして、はき出される水蒸気の迫力を並べてみました。側にいると話し声が聞き取れないくらいの音がします。

左右二本の排気筒、右側の排気筒の先端が腐食しぶるぶると揺れ動いています。錆のつき具合と腐食から、この場所が一号機なのかなと思います。
葛根田地熱発電所 13 葛根田地熱発電所 14
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