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         八幡平市・松川温水路


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八幡平市にある松川温水路の一部です。水路が段々になっており水温を上昇させる働きがあります。
八幡平市・松川温水路・・・

私が温水路のことを知ったのは、先頃訪れた猿ヶ石用水地区・稲瀬調整池を見学をした際、説明の方から「八幡平市のだんだん水路(温水路のこと)」がおもしろいですよ・・と教えられたことによります。岩手県内各地の灌漑用水路分水工を見てきていましたので期待しましたが、資料を集めて温水路を調べると分水工とは違いました。

温水路とはあまりなじみの無い言葉ですが、文字通りに水路で水を温めるというものです。八幡平市松川の場合、灌漑用水に利用するには八幡平の雪解け水で水温がかなり低いと言います。そのための水温上昇施設とでも言えそうです。松川の水を高い所から一気に流すのではなく、川底に段差を何カ所も設置し水の流れを空気に触れさせ、水温を上昇させる仕組みです。


上流駐車場 刈屋地区明治百年記念造園遊園地案内板より

この公園は、土地改良施設(松川温水路)が持っている国土保全など、さまざまな公益的機能を十分に発揮させるため、地域の人々による共同の色々な展開を促し、その効果の広域的な普及を図ることを目的として土地改良施設と併せて周辺整備を行ったものです。

松川のかんがい期間中(5月〜9月)の水温は9℃〜27℃と極端に低い。そこで、水稲では17℃以下では冷害障害が起こるといわれているところから、水温上昇をさせる施設が必要とされ、水面積を出来るだけ広くし、滞流時間を長くすることにより日射および大気のもつ熱量を流水に吸収させる施設としてこの温水路が設置されたものであり、この温水路により約2.7℃の水温上昇が見込まれている。

規模:延長1300m、水路幅20m、水深0.45m、落差工35カ所)


トップの画像は八幡平市にある松川温水路の一部です。水路が段々になっており水温を上昇させる働きがあります。

ここでは温水路の中程の堤防から上流と下流の様子を撮影した画像から紹介します。撮影場所がもう少し高く、水路の中程まで行けるのであれば俯瞰画面が素晴らしい様子になります。残念ですが、温水路1300m全体を見通せる場所はありません。
                                                       (2014.09.18 作成)



上流駐車場から続く白樺林の直線道路。 上流駐車場付近・・・

八幡平から西根地区に向かう時、必ず通る白樺林の直線道路です。今まで何度も走っていて気がつかなかった松川温水路が側にありました。

上流駐車場から白樺林の反対側を眺め、温水路の様子に注意して走りました。道路脇の水路に気軽に入られる場所があり、路肩駐車で水路に向かいました。
温水路を含む案内看板
明治百年記念造園地案内・・・

上流駐車場にあった温水路を含む案内看板です。

全長1300m、水路幅20m、水深0.45m、落差工35カ所の説明が書かれてあります。

案内板の片隅に、既存水田の場所が指定されています。区画はともかく、私に理解できたのは側溝水路の様子でした。下の画像二枚がその様子になります。
既存水田 1 既存水田 2

上流の様子 1 温水路の様子・・・

道路側の温水路堤防は、雑草がきれいに刈り取られてあります。そこに立って上流を眺めると、水路の段々が分かりました。

また下流に目をやると、明らかに低くなっていく水路の様子が分かります。
下流の様子 1 下流の様子 2
上流の様子 2 落差45センチあるのでしょうか、このような様子で35カ所の段差が続いています。流れ落ちる水流が沢山の空気を含ますし、その都度水温も上昇するのでしょう。
上流の様子 3 何とか上流方面を見通してみました。流れ落ちる水が白く見え、その場所に段差があることを示しています。

下の画像は段差部分の様子と水の流れの様子です。温水路の様子を見ていると、人の知恵と言いますか、水の流れに段差を設けて暖めるという発想の素晴らしさに気がつきます。
段差の流れの様子 1 段差の流れの様子 2


温水路端末から見た様子・・・

下流にある駐車場に車を止め、温水路の端末を見るために少し上流に歩いてみました。ここには水路の端末があり、狭まった水路の一部が大きな水車を回し可愛い水力発電施設があります。「修羅と化す松川を治めて60年」と書かれた看板があり、明治百年記念公園小水力発電所の説明がありました。

小水力発電所とはいうものの最大出力が9.9kwあり、発電された電力は東北電力に売電されており、さながら現代のソーラー発電のシステムと同様でした。安定した水の流れが無ければ売電できる発電は無理です。この温水路を見ていると、私に教えてくれた江刺土地改良区の方が話された「段々水路」の表現がぴったりでした。
下流駐車場から見た温水路・・・

温水路端末で、水車部分に入る水路と一般の水路に分かれています。案内板によると段差は35カ所ありますが、単純計算をすると約15.8mの落差がある事になります。
下から上流を見上げると、段差が数多く見えるはずなのですがそうはいきませんでした。何とか上の段差が見えないかなと言う願いで撮影した一コマです。


修羅と化す松川を治めて60年・・・

昭和26年1月8日、食糧増産の国家的要請に応えて松川土地改良区が設立され今日に至っております。国立公園八幡平を源とする松川は、土地改良区の主要な水源であります。松川は一面厳しい川で、洪水と渇水を繰り返し、先人はその克服のために辛苦を重ねて努力してきたのであります。

その松川を有効適切に利用するため県営松川地区排水改良於事業を施行し、昭和53年度をもって完了したことから安心して農業を営むことができるようになりました。

松川土地改良区
八幡平市
岩手県土地改良事業団体連合会
                                                          (※現場の看板から)

案内看板 案内看板・・・

昔の方々の苦労が忍ばれる文章が書かれてあります。
発電所水の取り入れ口。 温水路の端末は狭められ二つの流れに分けられます。

右側の水路が下流にある大きな水車を回し、小水力発電施設になっています。
36枚の羽根を持つ水車が勢いよく回転しています。 水車の様子・・・

直径6.5m 幅1.0m 羽根36枚の水車が勢いよく回転しています。

発電施設まではっきりと見てきませんが、シャフトの先端部に回転を上げるギアと、発電機がつながっています。
現在のは圧電量 現在の発電量を示す表示パネル。8.4kwの出力でした。

案内板下の部分の拡大と説明です。発電と売電の仕組みがおもしろかったので、案内板から切り出してみました。この温水路、いつの日にかまた訪れてみたいものです。


明治百年記念公園小水力発電所・・・

この水車は、昔から使われてきた下掛け水車に最新技術を加えたものです。水路の落差から落ちる水を水車の羽根で受け、水車を毎分4.5回転、発電機を毎分1,000回転させ発電を行います。発生した電力は、電力会社に売っています。また、この小水力発電所は約14世帯で使用する電力を発電することができます。

明治百年記念小水力発電所の説明
発電と売電の仕組み
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