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        2014水が抜かれた湯田ダム


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道の駅壁面の看板に心が引かれました。

水が抜かれた湯田ダム・・

湯田ダムな巨大なタイムカプセル!?・・、「水中に遺された生活の記憶に思いを馳せて」と題しての書き出しの看板が道の駅壁面に掲げられていました。撮影している時は吟味して読んでいませんが、画像処理をしながら記録されている看板等の文章を吟味しながら読みました。そこには、心に迫る当時の記録が記されていることを改めて発見しました。

今まで何度も湯田ダムの側を通りながら、何故か一度も奥まで立ち入ったことがなっか私です。岩手県のほとんどのダムの場合、堤体上を通れるのかはっきりとは分かりません。車で走ることが主流になっている私の場合、よほどのことが無い限りダム堤体上を徒歩で通過することはありません。

湯田ダム場合、夜間のライトアップに訪れたことがありますが、ダム堤体入り口付近で行き止まりになっていたことから、立ち入り禁止と思い込んでいました。盛岡市郊外の四十四田ダムの場合でも、ダム全体を眺めることは可能ても堤体上を散策することは許可されていなかったと思います。

九月末ごろだったでしょうか、北上市に向かう途中で和賀川の落合を通過する時、北上川水流の色に比べて和賀川の水流がかなり濁っていることに気がついていました。上流地域で大雨が降ったのか位に思って居た頃、新聞紙上にダム水位低下による濁流汚染問題が取り上げられました。

・・・取水口の定期点検のため、水位を下げた湯田ダムから堆積した泥が流失し下流の和賀川の漁業に打撃を与えている。産卵期を迎えているアユやサケが窒息し激減。川底に厚く泥が堆積し産卵が出来ないため、来年以降も影響が続く恐れがある・・・。

泥の流出がそれ程深刻な問題になった居るとは知らなかった私です。十月中旬に訪れた錦秋湖上流にある貯砂ダムですが、貯砂ダム下流の川底が干上がり僅かな流れになっていた錦秋湖でした。今回は湯田ダムの川底を撮影し、可能であればかつての生活の跡が確認できることを期待し出かけたのが十一月中旬のことでした。

トップの画像は、道の駅「錦秋湖」の壁面に掲げられていた看板からの切り出しです。湯田ダムな巨大なタイムカプセル!?・・、「水中に遺された生活の記憶に思いを馳せて」の書き出しが心に迫りました。

ここでは、堤体上から見た湯田ダム周辺の様子を中心に、可能な限りかつての生活の跡を探る目で湖底の様子を紹介いたします。

湯田ダム・・・

所在地:岩手県和賀郡西和賀町杉名畑、ダム湖:錦秋湖(ダム湖百選)。
ダム型式:重力式アーチダム、堤高:89.5 m、堤頂長:265.0 m、利用目的:洪水調節・不特定利水・発電。

湯田ダムは岩手県和賀郡西和賀町(旧・湯田町)、一級河川・北上川水系和賀川に建設されたダムである。国土交通省東北地方整備局が管理する特定多目的ダムで、北上特定地域総合開発計画に基づき計画された「北上川五大ダム」の第三番手として計画・建設された。

堤高89.5メートル、型式は全国に十二基しか存在しない重力式アーチダムで、東北地方では唯一の存在である。水没住民との補償交渉が難航した初期事例としても知られている。ダム湖は錦秋湖(きんしゅうこ)と呼ばれ、北上川水系では田瀬湖に次ぐ大規模な人造湖であり、観光地でもある。
                                                      (※ウイキペディアより)

                                                     (2014.12.24 作成)


堤体上から見た湯田ダム周辺の様子・・・

ここではダム堰堤上の通路を歩き、高い場所から俯瞰撮影した画像を元に、堰堤外側と内側の様子を紹介いたします。堰堤入り口まで来たのは数えるほどしか無く、しかも、自由に歩けなかった覚えがあります。そんなこともあり足が遠のいていました。今回は工事中でもあり、265mの堰堤上を自由に移動しながら撮影が出来ました。撮影するためとは言え現場に出入りしていたのは私一人でした。

撮影時刻が正午前後であり、ほぼ逆光線にに近い画像がほとんどでした。広い場所を一枚の画像に取り込むため、超広角気味のレンズを使用しています。そんなこともあり、画像の歪みや予期しないフレア等が写り込んでいることをご容赦ください。
ダム堤体外側の様子 1 堤体外側の様子・・・

駐車場から見た湯田ダム正面の姿です。全体のスケールがあまりにも大きいので可愛いダムに見えますが、堤体全長が265m、水の流れている川底からの高さが60mほど、このタイプのダムは東北では唯一のものです。
ダム堤体外側の様子 2 対岸に向けて、堰堤上をあちこち見下ろしながら歩いてみました。放水口の上に平らな部分があり、ここで工事をしていました。

特設された場所では無く、のぞき窓のある場所ですから出入りをする通路等が完備されているようです。

水が出ているゲートはコンジットゲートと言い、堤体中の下部に設置されます。非常用洪水吐き、常用洪水吐きとして使われています。
ダム堤体外側の様子 3 ダム堤体外側の様子 4
ダム堤体外側の様子 5 真上から見下ろした工事中の現場です。落下防止用の周囲のフェンスが目に入ります。天井部分のコンクリートの修理のようにも見えます。

フェンス部分も後から鋲止めをしているようで、修理完了後には撤去されるのかもしれません。
ダム堤体外側の様子 6 真下を眺めている目線を水平に移動すると、ダム下流の和賀川の渓谷が見えてきます。

この狭さく部分の渓谷は当楽渓谷と呼ばれ、和賀川の流れに侵食された深い渓谷で、岩と松の自然美がきれいな場所で知られています。

ダム堰堤の影が映りこんでいましたが、私の陰は見つけられません。
ダム堤体外側の様子 7・・・ダム堤体部の通路。 対岸まで延々と続くダム堤体部の通路です。幅がどの位あったか不明ですが、あまり広くない通路でした。

下の画像左側は、対岸から見下ろした堤体部分の根元の様子です。長い鉄ばしごが下まで続きますが、ほとんど垂直に近い角度であり、かなり錆が上がっていました。

下の画像右の場合、視線を水平に戻すと入り口の方向が見えてきます。狭さく部に重力式ダムを埋め込むために、岩盤を削り取り基礎を造った様子が分かります。右端中央部は、R107の道路になります。
ダム堤体外側の様子 8 ダム堤体外側の様子 9
ダム堤体外側の様子 10 このゲートはクレストデンターゲートと言います。遠くから眺めると、五基のゲートが目に入ります。このゲートは異常洪水時にダム天端からの越流を防ぐための非常用のガートになります。

堤体内側 1 堤体内側の様子・・・

ダム堤体部分にはかなり水が貯まっていました。しかし、ここから上流はかなりの水位低下により普段は見えない湖底部分が見えています。

堤体内側 2 ダム管理事務所と湖側の様子です。いつもの水面レベルからどれほど減水しているのかはっきりしません。

右端斜面に階段が延々と下に伸びています。多分ここにはダム管理用のボートが係留されているのでしょうが、このくらい水位が下がった場合に降りてくるには怖くなります。手すり等も何もありませんので、ロープ等が張られているのでしょう。
堤体内側 3 岩場部分の拡大です。流木等の防止フェンスが、長いロープに沿って中央部にある小島までつながります。
堤体内側 4・・・ダム堤体部湖面側 事務所側からダム堤体部を眺めました。左端にスケールが刻まれていましたが、カメラの解像度では確認が出来ません。

左端のゲートは二基のコンジットゲートであり、その奥には五基のクレストゲートが見えています。
堤体内側 5・・・対岸にある取水塔付近の工事現場 遙か対岸にある取水塔付近の工事現場です。まだまだ工事中ですが、最初に驚いたのは小型ながらクレーン車が見えたことです。

取水塔付近まで行けるダム堰堤からの道路等が一切ありません。色々考えてみたのですが、場所を変えて見ていたらなんと、山をくりぬいた通路があるではありました。
湯田ダム・錦秋湖マップ 湯田ダム・錦秋湖マップ

拡大画面ではダム内にある大型レクリエーションエリアに活用されている様子がはっきりします。

ウインドサーフィン、手漕ぎボートエリア、水上バイクエリア、錦秋湖川尻総合公園、貯砂ダム内の手漕ぎボートエリア等々が記されています。

下の画像は拡大画面でご覧ください。
湯田ダムの概要 湯田ダム案内板
慰霊碑 ダム事務所前の一角に慰霊碑がありました。現在周辺の整備と補修が行われていました。この場所からは、ダム湖内の様子が一目の場所になっています。

下の画像は、水が張られるときれいな景観を見せてくれる小山、そして、水の無い今だから見ることができりコンクリートの建物跡、無残な姿ですが見ることができます。
堤体内側 6・・・小山のように見える小島。 堤体内側 7・・・コンクリートの建物跡。
慰霊碑のある場所から見た上流方向。 慰霊碑のある突き出た場所から見た上流方向、水面に遺された樹木の姿、建物跡のコンクリートが見られます。

画面右端を過ぎたあたりに道の駅「錦秋湖」があります。
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