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        2015一関市舞川・金山棚田


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昔からの地形に稲が植えられています。初めて見ると見とれてしまいます。

一関市舞川・金山棚田・・・

今まで岩手の棚田風景と言いますと、北限の棚田として知られる同じ一関市内大原地区の山吹の棚田しか知りませんでした。たまたまでしたが、同じくクラブのメンバー宅を訪れた際、頂いた資料が何と一関市舞川・唐ノ子地区にある金山棚田の資料でした。購読している農業新聞に「美しき金山棚田満喫」と題して掲載され、早速一関まで訪れて撮影してきたとのことでした。そのことをお聞きした私は、早速一関まで走ったことは言うまでもありません。

思い出しますと、昨年の同時期の事ですが、所属するグループの皆さんと大東地区にある山吹の棚田を訪れました。山吹の棚田は段々圃場とは言え、ここ金山棚田より水平に長く整地され耕作機械の導入が可能であり、水利等の不便さとはあるものの、平地の田んぼとさほど違いが無いなあと思ったほどでした。

今回の金山棚田は、山間地の田んぼの整地をほとんで手を掛けず、昔からの地形のままでの稲作であるようです。説明看板にも書かれてありますが、耕作面積が四十二アール(平地の田んぼ換算ではほぼ一枚の圃場)であり、最小面積は畳二枚(一坪)であると書かれてありました。

先人が大切に保存管理されてきた昔からの田んぼを目の当たりにするにつけ、食の基本である稲作は本当に大変な作業であった事が伺われます。現地に入り、 ・・上の段から下の段に水が落とされる田越灌漑の実際を見て・・当時の状態がそのまま残されていることに大きな感動を覚えました。

金山棚田の名の通り、現地に住まいする金山さん家族の血の出るような努力の積み上げがあり、今に至っていることを忘れてはならないと思いました。

                                                       2015.06.30 作成


舞川・唐ノ子地区入り口 1

一関市舞川・唐ノ子地区に向かう・・・

棚田のある舞川・唐ノ子地区、残念ですがこの地区を車で走った記憶がありません。したがって、地域を特定するのにかなり苦労をしました。

ネット資料による検索によると、私の家からの順路は次のようになりました。国道342経由で県道14号線に出て、「JA南舞川」交差点を左折し県道261号線で「唐ノ子」集落に向かいます。

画面の案内標識を見つけて左折します。

舞川・唐ノ子地区入り口 2 きれいなカラー印刷の標識です。矢印通りに行けば、この地点から900mほどであり、徒歩でも約20分と書かれてあります。
舞川・唐ノ子地区入り口 3 私は行けるところまで車で進むことにし、そのまま進入しました。アスファルト舗装が切れるあたりから砂利道になりますが、ほどなく終点の表示がありました。
駐車場から棚田までの道 1 道路左側に設けられた駐車スペースと可搬式トイレがありました。このトイレはありがたかったですね。

棚田までの道路は200mほどあり、駐車場が無いので徒歩でお願いしますとありました。

明るいところまでの道路はきれいになっていますが、この先は金山さんの住宅になります。

木の枝に赤いひもが結ばれていますが、杖代わりにどうぞという思い遣りでした。
駐車場から棚田までの道 2 駐車場から棚田までの道 3

溜め池周辺の様子 1 溜め池周辺・・・

暗い杉木立の中を抜けると、目の前に溜め池とアジサイの花が広がります。

この溜め池が水源になり、上から下へと流されていきます。
溜め池周辺の様子 2

ブラックバス放流禁止

放流した場合、3年以下の懲役300万円以下の罰金。

※特定外来生物による生態系に係わる被害の防止に関する法律(外来生物法)により規制されています。

この池のブラックバスは駆除しました。

溜め池周辺の様子 3 溜め池に落ちないようにガイドロープが張られています。

水面にはスイレンが咲き乱れ、陸地にはアジサイが咲いていました。
溜め池周辺の様子 4 私は池の畔をぐるりと歩きましたが、正面には観察用の手作りの櫓が設置されていました。
溜め池周辺の様子 5 溜め池の全景です。水深がどれほどありますか、これだけの水量で灌漑水利は間に合うのでしょうか。

棚田の上の方を歩いた時、コンクリートの水路や塩ビパイプによる配管が見られていました。
溜め池周辺の様子 6 棚田観察撮影用の木製の観察台です。

斜面に出っ張っていますので、遠くを立体的に見るのに役立っていました。

金山棚田の説明板です。

未来に残したい一関の原風景  金山棚田

農業史学者古島敏雄の著書「土地に刻まれた歴史」によれば、水田開発の始まりは丘陵・山地に刻まれた小さな谷からであるとしている。この棚田も丘陵・山地に拓かれた小さな棚田である。面積は、四反二畝(四十二アール)の中に百数枚の田を数える。

水源は、沢水・天水・溜池であり、上の段から下の段に水が落とされる田越灌漑が行われている。開拓された時期の記録はないが、古老の話によると江戸時代後期とのことである。拓かれてから百年以上にも亘って伝統的農耕(手作業)を継承して美しい棚田の景観を今に伝えている。

苦労して造ったものは大切にしたいものであるが、圃場条件の悪さや耕作者の高齢化からこの景観を維持していくことは困難な状況になって来ている。金山棚田を守る会では、食を考えると共にこの棚田を地域の宝として守る活動に取り組んでいる。

平成二十五年五月二十五日

金山棚田を守る会

(一関市農村地域活性化モデル支援事業)
                                                           ※現地の看板より

観察台から周囲を見渡すと、大きな田んぼ、小さな田んぼ、今は耕作をやめている田んぼがはっきり分かります。溜め池の周辺は高台になっていますので、畦畔を崩さないように注意して歩くと細かい様子が見えてきます。しかし、決して無理して畦道を歩かないようにすべきです。修復するのに大変ですから・・。

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