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        花巻市・花輪堤ハナショウブ


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道路脇に花輪堤ハナ。ウブ群落の看板が

花巻市・花輪堤ハナショウブ・・・

岩手県内のアヤメ見学の場所を検索していたら、花巻市宮野目地区にある国指定天然記念物「花輪堤ハナショウブ」の紹介が目に入りました。資料を手に入れ見ていたら、なんとなんと、今から半世紀以上前になる学生時代、列車通学で毎日見ていた場所だったことに気がつきました。

JR東北本線花巻駅を盛岡方向に進み、次の駅である花巻空港駅(当時は二枚橋駅)に到着する手前の沼地に群生する「ハナショウブ」が大変貴重なものであり、昭和10年4月に国指定の天然記念物になったと言います。


国指定:花輪堤花菖蒲群落・・・

花輪堤花菖蒲群落は国指定の天然記念物で、宮野目小・中学校の北、JR東北本線のすぐ東側の平地にあります。指定地域は約16,700uに及び、ノハナショウブ自生地としては本州北限といわれています。周辺は芝生・花壇・草地・丘の「花輪堤 花菖蒲ふれあい公園」となっており、市民の憩いの場として使われています。

花輪堤花菖蒲群落のノハナショウブの花の色は、淡い赤紫色や青みがかった紫色などさまざまで、開花の季節(6月下旬から7月上旬)には色彩あざやかな可憐な花を観察することができます。堤は天然記念物の指定地域であるため立入禁止となっていますが、鉄道線路沿いの道路や公園内北側の丘の上からは、指定地域内で咲いているのを見ることができます。また、公園内東側の花壇(栽培圃場)で、栽培株が咲いているのを見ることができます。

                                                           (※花巻市HPより)


最初に訪れたのが6月24日のことで、どこを見てもハナショウブの姿が見つかりません。案内によれば7月上旬とありましたので、中旬にあたる7月17日にも訪れました。ここではメインの画像を二回目の訪問に置き、両方の画像を組み合わせてページを作成してあります。


ハナショウブ群落地入り口 1

国道4号花巻空港手前の交差点(宮野目小学校・中学校に向かう)を西に進むと、道路脇に花輪堤ハナショウブ群落の看板が目に入ります。

たまたまですが、二回目に訪れた時は「開花中」と書かれた看板を見つけ期待して現地に入りました。

JR東北本線手前の場所に駐車場があり、何台か車が止まっていました。

ハナショウブ群落地入り口 2 ハナショウブ群落地駐車場 1
ハナショウブ群落地駐車場 2 駐車場からは東北本線を走る列車が見られ、花輪堤の敷地境界が線路脇まで続きます。

案内の立て看板 駐車場から入った草原に案内の立て看板があります。花巻市のサイトで調べた内容には、・・・現在、群落の周辺は公園となっており、市民の憩いの場として活用されています。・・・と書かれてあります。

看板の後ろの土地が一段と高くなっていますが、この場所が堤の堤防になっています。
案内の立て看板からの切り出し 看板から現地案内図を切り出してみました。

市民の憩いの場所の区画は正方形であり、赤線で囲った堤周辺部分が国指定の天然記念物区域であり、立ち入り等が一切禁止されています。
花輪堤に向かう 画像正面に堤土手に上る部分があり、その下は広い草原でした。

たまたまですが、最初に訪れた6月24日の時は、上り口に数本の花ショウブが咲いており、きれいな様子を見せていました。

資料では栽培圃場がある事になっていますが、堤の東側にそれらしき場所があったものの、ハナショウブの姿は見られませんでした。
花輪堤土手の部分

草原より一段高い堤土手通路に上ると、堤の中が見えてきます。しかし、草の背丈がかなりあり、中の様子を見ることができません。

堤の周りには二段のロープが張られ、立て札がありました。・・・これより先は、天然記念物の指定地につき、立ち入りを禁止します。文化財の保護にご協力をお願いします。・・・  
                     花巻市教育委員会

花輪堤の様子 1 堤の中が見える場所、堤の水位調節の水門です。この部分には草が生えていないので、この場所に立つと堤の奥までしっかりと見えてきます。

手前の部分に水門と水位表示のレベルがありました。画像を拡大してみたら、水深が1.5mほどありました。

左端の様子と中央部分の様子ですが、かなり向こうの湿地なのでハナショウブが咲いているかどうかは不明です。水取りが数羽浮かんでいました。
花輪堤の様子 2 花輪堤の様子 3
花輪堤の様子 4 堤湿原の右端(北側)を見ていたら、噴水の水柱が見えてきました。本当は噴水の正面まで立ち入りが可能なのですが、草が猛烈に茂り通路等も見当たりません。

案内説明にありましたが、公園内北側の丘の上から見下ろすことが可能なのですが、今回は無理しませんでした。

画像拡大をしてみても、青い花びらの色等が見つかりません。どこで開花中なのか疑問にも思います。
公園駐車場トイレ 公園駐車場の中にトイレがありました。あかりとりのステンドグラスがハナショウブで、かなり手の込んだ造りだなあと思いました。

線路側の道路 二回目の訪問の時、線路側の道路から見た堤内の様子です。

ススキとヨシが私の背丈ぐらいに伸びており、ほとんど切れ目が無いくらい密生しています。これでは花を探す事は無理でした。
天然記念物の石柱 天然記念物花輪までが分かる石柱です。

せめてこの場所だけでも、ススキを刈り払ってくれれば中の堤湿原が見えるのですが・・。
湿原と対岸の様子 やっと見つけた草の切れ目から対岸を見ました。

中央部分が水門の場所になります。

この画面の左端松の木根元に一輪の花があるのですが、確認は難しそうです。

拡大画面にすると、あちこちに布の付いた支柱が立てられています。

いつの日か分かりませんが、この場に咲いていたという調査の確認だと思います。
草だらけの北側の丘 草だらけの北側の丘です。本来ならばこの場所は立ち入り可能なのですが、踏み込める場所が見当たらないほど草が密生していました。

開花中と表示するならば、この時期だけは草刈りをして欲しいです。

楽しみに来られる方があるはずですから・・。

ハナショウブ 1 6月24日に撮影したノハナショウブ、堤の登り口にあった数本です。

青紫と言いますか、アヤメの一般的は色に通じます。まだ枯れてはいませんでした。
ハナショウブ 2 同じ場所にあった赤紫系統の色違い、固有の色等が不明です。

アヤメとカキツバタ、そしてハナショウブとの違いはどこにあるのでしょうか。

私にはいずれの品種も同じに見えてきます。
ハナショウブ 3 広範囲の沼地を探しましたが、群生地の名がどこにいったのかと思えるほど見当たりません。

かろうじて見つけたのが三本で、内一本が画像を拡大して見つけたほどです。

ラッキーな事でしたが、花にモンシロチョウが飛来した所を発見。慌ててピントを合わせた時には飛び去る所でした。
ハナショウブ 4 緑の中に紫色が無いかと必死で探した結果がこの一本です。

かなり離れた場所からの望遠レンズでの切り取りです。


花輪堤ハナショウブについて、ネット検索で資料収集していたら気になる記事を見つけました。

いつのことかはっきりしませんが、天然記念物であるノハナショウブの個体数調査をしたことがあったようです。

そのデータを見て、これでは見つかられないなと思いました。この広い面積の湿地に、220本ほどしか咲いていなかったようです。

自然のままに見守るのが良いのか、はたまた、いくらかでも手を入れて増殖を図るのが良いのか、意見の分かれる所でしょう。


現地案内看板より・・・

国指定天然記念物
花輪堤ハナショウブ群落
昭和十年四月十一日指定
所在 花巻市西宮野目第五地割
面積 約16,700平方メートル

ハナショウブは通常水辺や水中に栽培されますが、自生のノハナショウブは水流のある高原や湿地はもちろんのことですが、まったく水気のない乾いたような林の中や路傍などでも見ることができます。ノハナショウブの花は、六月下旬から七月上旬のころに見られ、色は紅紫がふつうですが、まれには白い花もあります。

この花輪堤ハナショウブは、ノハナショウブの北限の代表的な群落で、紫・青色を帯びた紫・赤味がかった紫など花の色の変化に富んでいることと奇形花の出現で知られています。このように貴重なノハナショウブを保護するために、環境整備に努めていくことが大切です。

同じ頃に国の天然記念物に指定されているハナショウブには、三重県多気郡明和町東野にある花ショウブ群落、そして鹿児島県姶良郡栗野町木場にあるハナショウブ自生南限地帯があります。

貴重な天然記念物ですので、指定地内に入ったり植物を採取することは法律で禁止されています。

平成七年八月   花巻市教育委員会


学生時代の頃、黒沢尻駅(現北上駅)から盛岡まで毎日列車通学をしていました。SL機関車に牽引された列車は、花輪堤の付近を通過するのが朝の七時過ぎでした。夏の時期はともかく、冬の時期はこの辺で日が昇り明るくなるのが常でした。車窓からの堤の光景が今になっても思い出されます。しかし、国指定の天然記念物とは今の今まで知らなかったことが悔やまれます。

学生時代の想いでの中に、花輪堤のハナショウブは入っていません(恥ずかしながらこれでも生物学専攻でした)。何となく車窓から見た記憶が残っていますが、今となると確定できるほど定かではありません。

最後の画像説明にも書きましたが、私個人としては、もっと数多くの花が咲いていると思った花輪堤ハナショウブでした。群落と言うことは株の集合体があちこちに分散していることを意味します。たった一本のぽつぽつとした集まりでも数がまとまれば群落になりますか・・・。

機会があったら、来年再チャレンジしてみたいなと思います。

                                                      (2014.07.26 作成)

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